売上増の無限ループを実現する 営業DXの表紙

売上増の無限ループを実現する 営業DX


本書の要点

  • 営業DXによって「営業活動の効率化」と「個人の能力に依存しない営業体制の構築」が実現する。特別な能力を備えた人材でなくても、デジタルを使えば、長時間労働をすることなく成果を上げられる。

  • 中小企業のマーケティング活動では、無料のGA4(グーグルアナリティクス4)を使ってデータを収集し、月次で分析し、徹底的に改善しよう。

  • SFAを活用するコツは、報告書→連絡書→計画書→情報共有→先行支援の5段階で役割を変化させていくことだ。先行支援の段階に到達すると、蓄積した情報をもとにアドバイスがもらえるため、安定的に成果が出せるようになる。

1 / 4

売上増の無限ループを実現する「営業DX」

中小企業が「営業DX」すべき理由

maroke/gettyimages

人口減少が進むと、足で稼ぐ従来型の営業は限界を迎える。担当エリア内の顧客密度が落ちて移動効率が悪くなるため、どうしても売上が減るからだ。成果を出したいなら、デジタルの力をうまく使い、営業活動の効率を上げる必要がある。

採用と育成も課題だ。大手企業ですら人材採用に苦労する中、中小企業が飛び抜けた営業力を持った人材を採用するのも、採用した人を優秀な営業人材へと育て上げるのも難しい。人手不足の中小企業が営業成果を上げるには、個人の能力に依存しない営業体制の構築を目指すべきだ。

営業活動の効率化と個人の能力に依存しない営業体制の構築。営業DXならこの2つを実現できる。特別優れた人材でなくても、デジタルを使って能力を底上げすれば、長時間労働をすることなく成果を上げられるのだ。

本書における「営業DX」の定義は次のとおりだ。

「データとデジタル技術の活用を前提として、営業部門の枠を超えて顧客接点を見直し、新規客獲得から既存客フォローまで一気通貫させるプロセスを構築することで、営業支援と省人化を実現し、営業生産性を高めること」

一般的な営業活動のプロセスは、マーケティング・見込み先獲得→リード育成・スコアリング→営業・商談・見込み管理→見積管理→受注・請求・回収→アフターフォローである。本書でもこの流れに沿って営業DXのしかたが解説されるが、要約ではこのうち「マーケティング・見込み先獲得」「リード育成・スコアリング」「営業・商談・見込み管理」を取り上げる。

2 / 4

マーケティング・見込み先獲得

リードを集め、育てて、格付けする

まずは「マーケティング・見込み先獲得」のフェーズについて解説する。

新規の見込み客を発掘するためのマーケティング活動のことを「リードジェネレーション」と呼ぶ。将来の見込み客(リード)を取り込むための活動だ。

リードジェネレーションで見込み客を集めたら、次は「リードナーチャリング」と呼ばれる段階に移る。この段階では、見込み客の購買意欲を高めていく活動を行う。

さらに次の段階は「リードクオリフィケーション」だ。見込み客を購買可能性に基づいて「格付け」する。そして、契約に向けてクロージングを行う。

大手企業においては、マーケティング部門がこれらの一連の流れを担当し、営業部門のためにアポイントを取ってくれる。一方、中小企業にマーケティング部門はない。ならば、営業部門がマーケティング機能を併せ持ち、リードを獲得し、育てていく必要がある。

LCAに必要な4つの要素

リードを作るための様々な活動をLCA(Lead Creation Approach)という。LCAの具体例としては、商品やサービスを紹介するWEBサイトの作成、情報発信のためのブログやSNS発信、メルマガ発行、展示会やセミナー企画立案、検索順位を上げるためのSEO、AR(拡張現実)の活用などが挙げられる。

LCAにおいては「コンテンツの力」が重要だ。商品名をアピールするだけではなく、人の心をつかむ、興味を喚起させるコンテンツが必要となる。

コンテンツづくりでは、次の4つの要素から考えるといいだろう。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2883/4202文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.06.07
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

EQ
EQ
ダニエル・ゴールマン土屋京子 (訳)
生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方
生成AI時代を勝ち抜く事業・組織のつくり方
梶谷健人
トークの教室
トークの教室
藤井青銅
営業の科学
営業の科学
高橋浩一
図解 人的資本経営
図解 人的資本経営
岡田幸士
崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男
崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男
大田黒奉之(訳)レジー・フィサメィ
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
いかなる時代環境でも利益を出す仕組み
大山健太郎
夢を叶えるために脳はある
夢を叶えるために脳はある
池谷裕二

同じカテゴリーの要約

Z世代の頭の中
Z世代の頭の中
牛窪恵
一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本
一流のマネジャー945人をAI分析してわかった できるリーダーの基本
越川慎司
世界標準の1on1
世界標準の1on1
スティーヴン・G・ロゲルバーグ本多明生(訳)
増補改訂版 フィードバック入門
増補改訂版 フィードバック入門
中原淳
完訳 7つの習慣
完訳 7つの習慣
スティーブン・R・コヴィーフランクリンコヴィージャパン(訳)
トリニティ組織
トリニティ組織
矢野和男平岡さつき(協力)
1分で話せ
1分で話せ
伊藤羊一
世界のマネジャーは、成果を出すために何をしているのか?
世界のマネジャーは、成果を出すために何をしているのか?
井上大輔
「仕事ができるやつ」になる最短の道
「仕事ができるやつ」になる最短の道
安達裕哉
部下をもったらいちばん最初に読む本
部下をもったらいちばん最初に読む本
橋本拓也