現代のチームには、予想もつかないさまざまな「困難」(=個人やチームの存在価値・信念・目標達成を脅かすストレス要因)が待ち受けている。「困難」によって生じるリスクを最小に抑えつつ「困難」を確実に乗り越える方法として、著者らは「チームレジリエンス」を提示する。チームレジリエンスとは、チームが「困難」から回復したり、成長したりするための能力やプロセスのことだ。
では、チームが困難に直面した際、どうすればチームレジリエンスを発揮できるだろうか。レジリエンスの高いチームは、次の3つのステップを踏むといわれている。
ステップ1:課題を定めて対処する
ステップ2:困難から学ぶ
ステップ3:被害を最小化する
それぞれのステップについて解説しよう。
そもそもなぜ、チームで困難を乗り越えるのは難しいのか。その根底には、3つの大きな要因がある。
1つ目の要因は、困難を解決可能な課題に落とし込めていないことだ。困難をいち早く解決しようとするあまり、課題設定をしないまま動いてしまうと、かえってよくない事態を招くことがある。
2つ目の要因は、プロジェクトとして取り組めていないことだ。取り組むべき課題が明確になったとしても、対応期限や役割分担などを決めてプロジェクト化しない限り、いつまで経っても解決できない。
3つ目の要因は、チーム内でストレスが高まっていることだ。高いパフォーマンスを発揮するには、ストレスケアが欠かせない。
要約では3つの要因のうち、「困難を解決可能な課題に落とし込めていない」の対処法を解説する。
レジリエンスの高いチームは、5つの取り組みによって困難を整理し、解決できる状態に落とし込む。
1つ目は、「問題」と「課題」を切り分けることだ。チームに害をなす「問題」が、チームが力を合わせて立ち向かうべき「課題」であるとは限らない。まずは目の前の困難が「問題」なのか「課題」なのかを見極めよう。
2つ目は、チームの目標を「成果目標」「プロセス目標」「ビジョン」の3階層で整理することだ。「成果目標」は、チームが特定の期間において生み出したい成果を定義したもの、「プロセス目標」は成果目標を達成するまでのプロセスにおいて辿りたい過程、「ビジョン」は「プロセス目標」「成果目標」達成の先の長期的な展望のことだ。適切な「課題」を設定するためには、チームの「3つの目標」を整理して、自分たちの目指す先を言語化するとよい。
3,400冊以上の要約が楽しめる