図解 人的資本経営の表紙

図解 人的資本経営

50の問いに答えるだけで「理想の組織」が実現できる


本書の要点

  • 人的資本経営とは、「人」を資本と捉え、合理的・戦略的に投資を行うことである。

  • 近年、組織における「人」の重要性が見直されている。その背景には、「人」が生み出す無形資産の市場価値向上や、企業に持続可能な経済成長や社会貢献が求められていることなどが関係している。

  • 「競争に勝つ」企業になる最初のポイントは、戦略実現に必要な人の量と質を定める「人材ポートフォリオ」の策定と「組織文化」の構築だ。

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【必読ポイント!】 人的資本経営の基本

「人」は企業の「カチ」を決める

現在、組織における「人」の重要性が見直されており、人的資本経営が求められている。その理由には2つの「カチ」が関わっている。1つは、企業の「勝ち」(競争力)を生み出す源泉が「無形資産」に移っていることだ。アメリカ株式市場の時価総額は90%が無形資産、つまり、見えない資産によってもたらされているというデータがある。見えない資産にはソフトウェアや知的財産なども含まれるが、これらを生み出す源泉は「人」だ。企業における最大の資産が「人」であることは、世界の共通見解となっている。もう1つは、企業が生み出す社会的「価値」が重視されるようになっていることだ。企業はかつての株主第一主義から脱却し、顧客や従業員、地域社会を含むすべてのステークホルダーを重視することが求められている。利益だけを目的にするのではなく、持続可能な経済成長や社会貢献を目指すことがスタンダードになってきているのだ。「人」は企業の「勝ち」を決める存在であり、企業が「価値」を提供すべき存在であるといえる。

人的資本経営とは何か

jacoblund/gettyimages

経済産業省は「人的資本経営」を次のように定義している。「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」。だが、日本企業ではこれまでも「人を大切にする経営」を行ってきたはずだ。それと「人的資本経営」とは何が違うのだろうか。それは、「人材を『資本』として捉える」点である。「資本」は「資源」のように消費されるものではなく、収益を生み出す源泉のことを指す。しかし「人材を『資本』として捉える」とは、単に「人材を使い捨てにしない」ということではない。人を「投資する量によって価値が変わる資産(可変資本)」と捉えることなのである。人的資本経営では、通常の投資と同様に、合理的な視点で人材への投資判断をすることが求められる。一方で「理性」だけではなく、日本的経営の根底にある“人を大切にすること”、つまり「人情」も必要だ。

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要約公開日 2024.06.16
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