親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?

人生という「リアルなゲーム」の攻略法
未読
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人生という「リアルなゲーム」の攻略法
著者
未読
親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?
著者
出版社
出版日
2024年11月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

1+1=2。この当たり前の足し算ができない大人がいる――。本書は、そんな衝撃的な言葉からはじまる。

もちろん「1+1=2」というのは比喩であり、その心は「経済合理性」である。あなたの周りにいないだろうか。「宝くじでいつか大金を当てる」と大真面目に語る人や、「この株は1年後には10倍になるよ」と鼻息を荒くしている人。しかし残念ながら、そんな奇跡が起きる確率はほぼゼロだ。冷静に考えればわかるようなものだが、「1+1=100」を本気で信じている大人は思いのほか多い。詐欺師に騙されたり、カモにされてしまったりするのは、このような人であることは想像に難くない。

だからこそ、「1+1=2」という現実をちゃんと知っておくことが大事だと主張するのは、著者の橘玲氏である。世界を見渡すと、名だたるお金持ちはみな市場経済の覇者たちだ。市場におけるルールを遵守し、その中でいかに儲けるか。彼らはその忠実な実践者なのである。

本書は小中学生向けに、市場経済の仕組みをわかりやすく説いた一冊だ。親子で遊べるゲームを通して、楽しく学べるようになっている。語り口はやさしいが、紹介する内容はトレードオフ、金利と複利、限界効用の逓減といった、経済学の必須項目ばかりである。もしあなたが経済に明るくないなら、入門書として利用するのもおすすめだ。

子どもへの金融教育が叫ばれるなか、「どう教えていいのかわからない」という親御さんもいるだろう。本書はそのテキストとしてうってつけだ。ぜひ親子で楽しみながらマネーリテラシーを身につけてほしい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

橘玲(たちばな あきら)
作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年、「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラーに。06年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。著書に『「読まなくてもいい本」の読書案内』(ちくま文庫)、『テクノ・リバタリアン--世界を変える唯一の思想』(文春新書)、『スピリチャルズ 「わたし」の謎』(幻冬舎文庫)、『DD(どっちもどっち)論――「解決できない問題」には理由がある』(集英社)等多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「あちらを手に入れたら、こちらが手に入らない」ことを「トレードオフ」という。
  • 要点
    2
    お金を増やしたいなら、「複利」の力を最大限に活かさなければならない。
  • 要点
    3
    楽しさや幸せは時間とともに減っていく。これを「限界効用の逓減」という。
  • 要点
    4
    時間には値段がついていて、待つことで「金利」というおまけがつく。
  • 要点
    5
    「はたらいてお金を稼ぐパワー」である人的資本は、大きいほどたくさん稼ぐことができる。また、複利の力で大きくすることもできる。

要約

人生というゲームのルール

あちらを手に入れたら、こちらは手に入らない
イラスト:佐々木一澄

テーブルの上に、1つ100円のリンゴとミカンが1個ずつある。君ともう1人のプレイヤーは、それぞれ百円玉を1つ持っている。もし君が2つとも欲しいなら、どうしたらいいか。

これは、「限られたお金で欲しいものを手にするにはどうすればいいか」という「資源制約」の問題である。「あちら(リンゴ)を手に入れたら、こちら(ミカン)が手に入らない」という状況を「トレードオフ」と呼ぶ。

人生というゲームで最初に学ぶべきことは「どんなゲームにも条件とルールがあり、勝手に変えることはできない」ということだ。そのため、「ミカンを50円にする」とか「百円玉を2個にする」といったルール変更は不可である。

ゲームには、「奪う」「はたらく」「借りる」「あきらめる」「交渉する」といった5つの攻略法がある。「奪う」がもっとも魅力的だが、市場取引ではルール違反になってしまう。

「はたらく」については、「晩ごはんの後片づけをしたら100円をもらう」という提案ができそうだが、晩ごはんのあとまで待たないとならないのが難点だ。そのときにはお腹いっぱいで、もういらなくなっているかもしれない。

では、パパやママに「100円貸して」と頼んでみたらどうか。「はたらく」と「借りる」を組み合わせて、「100円を借りてリンゴとミカンを買う。晩ごはんの後片づけをして100円もらって、それを返す」というやり方も考えられる。

また、自分も相手も少しずつあきらめて、両者が得するように「交渉」することもできる。交渉において大事なのは「公平」であることだ。どちらかに得がかたよってはいけない。そのため、この場合はリンゴとミカンを半分にして、公平に分配することが正解だ。

利害が対立したとき

お金に関するトレードオフの問題は「増やすこと」で解決できるが、時間はそうはいかない。時間はお金よりも貴重な資源なのである。では「時間が足りない」という問題を、どう解決すればいいだろうか?

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要約公開日 2024.11.25
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