一生安心できるだけの資産形成を行う方法が知りたいという人はたくさんいる。最初につまずくと回復に時間がかかってしまうため、安全で効率のいい方法を選びたいところだ。
大口氏は、女性向け投資勉強会を主催する永田雄三氏の「準備もなしに、散歩の途中で富士山に登れる人はいない」という言葉を引きながら、大きな目標に対して、どうすれば最短ルートで到着できるのか、ロードマップを考えることの重要性を説明する。突然「どの株を買うか」を考えてもうまくいくはずがない。まずはどんな場所に住んで、どんな働き方をしたいのか。結婚や子育てはどうするか。こうした点から考えはじめる方が、成功確率が高まる。
一方、投資は「習うより慣れろ」の世界でもある。つまり、実際に試して経験値を高めることも重要なのだ。ある程度の計画を立てたのちは、飛び込んでみる姿勢も必要だ。
まとまった預貯金があるから、投資は必要ない。そう考える人も少なくないが、菱田氏は2つの理由から、預貯金だけでは不十分だと強調する。
1つ目の理由は、預貯金は「増えない」ということだ。日本銀行がマイナス金利政策の解除を行ったことで、大手銀行の預貯金の金利は17年ぶりに引き上げられた。しかし、それでも普通預金が年0.02%、定期預金が0.025%になった程度の微々たる変化だ。かつては定期預金だけで5~7%程度の利息がついて、預けたお金が10年で2倍超になるような時代もあった。その頃であれば、投資をした人と預貯金だけだった人の間に大きな差は生まれなかったが、今では両者の差が大きく開く時代になっている。
2つ目の理由は、預貯金だからといって安全とは限らないという点である。投資には減るリスクがあるから貯金の方が安全だと考える人がいるが、実際はそうとは言い切れない。昨今はインフレや円安のリスクがあり、お金の価値が目減りしやすい。だからこそ、インフレに強いとされる株式や不動産、円安に強い外貨建てといった形で資産を保有することが、リスクに備えることにつながるのだ。
預貯金をしてはいけないというわけではないが、リスクに備えるために、リスク商品の検討が必要なのだ。
「確定拠出年金(DC)と、NISA、どちらを優先すべきですか?」
3,400冊以上の要約が楽しめる