なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか

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なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか
出版社
サンマーク出版

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出版日
2017年05月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「1対1なら楽しく話せるのに、人数が増えてくると話しづらくなる」「大人数の会話の輪には入りにくい」ということはないだろうか。「自分はコミュ障ではない(はず)」「会話は苦手ではない(はず)」なのに、なぜこのようなことが起こるのだろうか。

「人と話す」という行為は同じでも、人数が増減すると「話しやすさ」が変わってくる――。この不可思議だけどありふれたナゾに切り込み、その原因を解明したのが本書である。

本書によると、「複数だと話しづらい現象」を起こしているのは「脳」だという。会話中、見かけは和やかに話している風でも、頭の中は猛スピードで処理をしている。相手の言葉を聞いてその内容を理解して、「うんうん」と相づちを打ったり「へぇ~、そうなんだ!」と驚いてみたりする。そして、会話の流れにふさわしい言葉や話題を選んで、相手に打ち返す。このループを高速で回しているのだ。

相手が1人ならまだいいが、人数が増えるにつれて処理する内容が複雑化し、速度も上がる。すると脳は処理しきれずパンクして、言葉が出なくなってしまうのだそうだ。そして、その「処理できる・できない」の境界は「3」と「4」の間にある。たしかに、オリンピックのメダルの数や「トップ3」「世界三大〇〇」など、3でまとめられているものは多い。何気なくとらえていたが、そこには脳の仕組みが関係していたとは驚くばかりだ。

本書では、複数コミュニケーションの克服法にも触れている。「人が集まる場が苦手」という人は、一度目を通してみてはいかがだろうか。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

岩本武範(いわもと たけのり)
マーケター、行動分析士。
1975年、静岡市出身。
静岡県の鉄道会社にて、マーケティング業務に従事すると同時に、社会人博士として京都大学大学院工学研究科で、「なぜ人は物事を選択し、その行動をとるのか」について研究している。これまでに分析した人の行動パターンは延べ3000億以上。また、1000人以上に集団インタビューを敢行した。
愛娘が交通事故で脳を損傷したことがきっかけで、脳について独学で学ぶ。独自のリハビリメソッドを開発し、回復に導いた経験から、「人間の行動は脳と心の仕組みに関係している」ことを実感。そこから、脳の仕組みをマーケティングやプレゼンテーションなどに応用できないか、研究を本格化した。
研究で突き止めた脳の仕組みを応用して、鉄道会社が経営するスーパーで商品の売り上げを7倍に伸ばしたり、同社の交通系ICカードの静岡市民所有率を50%以上にしたりしている。
現在は、企業人として業務に従事しながら、研究者としての見識を深め、「人はなぜモノを買うのか」「なぜ行動を変えるのか」などをテーマに研修講師としても活動している。
心理カウンセラーの資格も取得している。

本書の要点

  • 要点
    1
    複数になると急に話しづらくなるのは「脳の処理能力」が原因だ。人間の脳は3人までのコミュニケーションは処理できるが、4人になると処理能力を超えてしまう。
  • 要点
    2
    会話中、脳では主に「前頭葉」が働いている。
  • 要点
    3
    複数コミュニケーションの場では「2番手」を目指そう。話を振ってもらい、それを誰かにパスする役割は一番おいしいポジションだ。
  • 要点
    4
    会話の前は、手を「グーパー」して動かそう。前頭葉が活性化され、言葉がスムーズに出てくるようになる。

要約

4人以上になると話しづらくなる理由

「人が増えると話せない」のは脳のせいだった!

少人数だと話せるのに、人が増えると急に話しづらくなるのはなぜか。

世の中には様々なコミュニケーションに関するノウハウがある。しかし、「コミュニケーションが苦手」であることと、「複数いると話しづらくなる」ことは、まったく別問題だと著者は考える。

複数になると話しづらくなる原因は、「脳の処理能力」にある。そもそも、「会話」というものは、言葉と思考の応酬だ。誰かが話すのを聞いてあいづちを打ち、自分も発言する。それに対して相手もまた反応する。こうした作業はすべて脳がおこなっている。会話中、脳はフル稼働で処理しているのだ。

当然、会話の人数が増えると、脳のやるべきことも増える。1対1ならなんとかなっても、複数になると言葉が出てこなくなったり、相手の話にうまく反応できなかったりするのは、脳がパンクしているからだ。

「3」と「4」の間にある壁
v-graphix/gettyimages

脳が「なんかいっぱいある!」と感じて、処理が追いつかなくなる境界。それは、「3」と「4」の間にあると著者は考える。たとえば、「トップ3」という言い方はあるが、「トップ4」はない。また、オリンピックのメダル数、三大欲求、日本三大○○なども、すべて「3」である。

著者はこれまで数多くのグループインタビューを行ってきたが、「3人だと話が盛り上がるのに、4人以上になった途端、沈黙が広がる」という場面に何度も遭遇してきた。

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要約公開日 2024.11.19
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