努力は仕組み化できる

自分も・他人も「やるべきこと」が無理なく続く努力の行動経済学
未読
努力は仕組み化できる
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自分も・他人も「やるべきこと」が無理なく続く努力の行動経済学
未読
努力は仕組み化できる
出版社
出版日
2024年08月13日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

努力を継続するのは簡単なことではない。資格や英語の勉強、筋トレやジョギング、早寝早起きに健康的な食生活、部屋の整理整頓……という文字列を見ただけでも、過去の挫折の数々を思い出してつらくなってしまう人も多いだろう。本書はそんな人に勧めたい一冊だ。

著者の山根承子氏は行動経済学を専門としており、大学教員を経て、企業や自治体に行動経済学のコンサルティングを行う法人の代表を務めている。本書ではそんな山根氏が、行動経済学の知見を活用して「今よりラクに努力できるようになる」方法を教えてくれる。

「努力が続かない」「習慣化が苦手」「何でも三日坊主になってしまう」と悩む人が特に注目したいのは、「努力が勝手に続く」仕組みを解説しているパートだ。フィードバック・フィードフォワード・自動化・教育の4つをキーワードとし、意志の力に頼ることなく、望ましい行動を継続できる方法がまとめられている。

また「自分は意志が弱い」と思っている人にとって朗報となるのは、その自覚こそ行動の改善に不可欠であるという指摘だ。意志の弱さを自覚している人は努力を続けるために手を打てるが、自覚のない人はそもそも工夫のしようがないからである。

「努力は仕組み化できる」というタイトルに心惹かれたなら、ぜひ本書を手に取ってほしい。「つらいけれど、頑張るしかない」と歯を食いしばって取り組んでいた行動が、自動的に続けられるようになるはずだ。部下・後輩や子どもなど、誰かの努力を応援したい人にも一読を勧める。

著者

山根承子(やまね しょうこ)
株式会社パパラカ研究所代表取締役社長。博士(経済学)。専門は行動経済学。大学教員を経て、企業や自治体に行動経済学のコンサルティングを行う法人を設立。行動経済学会常任理事、一般社団法人投資信託協会理事。著書に『努力は仕組み化できる』(日経BP)、『今日から使える行動経済学』(共著、ナツメ社)、『行動経済学入門』(共著、東洋経済新報社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    努力が勝手に続く仕組みを構築する際には、フィードバック・フィードフォワード・自動化・教育が重要なキーワードとなる。
  • 要点
    2
    周囲の力を用いれば、行動変容しやすくなる。仲のいい友人と一緒に取り組んでみよう。
  • 要点
    3
    「自分は意志が弱い」という自覚があれば、誘惑に負けないための工夫ができる。特に、将来の自分の行動をあらかじめ縛っておく「コミットメント」(宣言)を活用するのがおすすめだ。

要約

【必読ポイント!】 「努力が勝手に続く」仕組みを取り入れる

努力を続けるには強い意志が必要?
Fasai Budkaew/gettyimages

「努力を続けるには強い意志が必要だ」とよくいわれるが、それは本当なのだろうか?

オーストラリアで行われたある研究では、18歳の対象者に様々な項目を提示し、それがその人にとって「健康的な行動をすることの妨げになっている」程度を尋ねた(1)。項目の一例としては「健康的な食事をするために必要な食材が家にないこと」や「自分がどのくらい運動すべきなのかがわからないこと」、「健康的な食事をするように自身に言い聞かせるのが難しいこと」、「運動を続けようという意識を持つのが難しいこと」などが挙げられる。後者2つは「意志の弱さ」と言い換えられるだろう。

この調査によると、「運動を続けるように自分に言い聞かせるのが難しい」という項目に「YES」と回答した人は、日ごろから運動習慣のある男性では約20%、ない男性では約50%となっていた。同様に、運動習慣のある女性の約30%、ない女性の約60%が、「運動を続けるように自分に言い聞かせることの難しさ」が障害になっていると回答している。また、「体を動かす習慣がなかなか続かない」に「YES」と回答した人の割合も、日ごろから運動習慣のある人とない人の間で大きな差があった。

この研究によって、健康的な行動を取れていない人は、自分の意志力に問題を感じていることがわかる。また、努力を続けられない人ほど「努力には意志の力が必要だ」と考えているともいえる。

では、どんな仕組みがあれば、意志に頼らずに努力を続けられるだろうか? 次からは「努力が勝手に続く」4つの仕組みを紹介する。

(1)フィードバックを得る

1つ目の仕組みは、フィードバックを得ることだ。

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要約公開日 2024.11.26
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