こうやって頭のなかを言語化する。

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こうやって頭のなかを言語化する。
出版社
出版日
2024年11月28日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

言語化力の高い人は魅力的だ。ちょっとした文章を書くときや会議で話を振られたとき、自分の思いや意見を端的にアウトプットして周囲を感心させる。では、どうすれば言語化力を高められるのだろう?

著者の荒木俊哉氏は、電通のコピーライターだ。これまで100以上のプロジェクトにたずさわり、名だたる賞を多く獲得してきた、まさに言語化のプロフェッショナルである。

そんな荒木氏は本書で「言語化力の高い人は、話を聞くのがうまい」と断言する。おそらく多くの人が意外に感じるだろう。「言語化力と聞く力に、いったいどんな関係があるのだろう?」と。だが、話を聞くのがうまい人は、相手の頭のなかにあるモヤモヤとした思いや意見、「軸」を見事に引き出していく。この力は、相手の話だけでなく、自分の話を聞くことにも使える。他者であれ、自分であれ、その人の頭のなかにあるものを、クリアな言葉にする。このプロセスこそ「言語化」なのだ。

本書では、自分で自分の話を聞く習慣をつけることによって言語化力を磨く方法が指南される。難しそうに感じられるかもしれないが、そのトレーニングは3ステップで構成されており、1日たった3分で実践できる、シンプルなものだ。面倒くさがりの人でもきっと続けられるだろう。

著者は本書の冒頭で「とにかく5日間だけやってみてほしい。そのとき、あなたは確実に変わっている」と断言する。自分の思いや意見をパッと言葉にできる人になりたいなら、試してみる価値は大いにあるはずだ。

著者

荒木俊哉(あらき しゅんや)
株式会社電通 コピーライター
1980年、宮崎県生まれ。一橋大学卒業後、2005年に電通に入社。営業局を経てクリエイティブ局へ。コピーライターとして、さまざまな商品・企業・団体のブランディングにたずさわり、これまでに手がけたプロジェクト数は100以上、活動は5大陸20カ国以上にのぼる。世界三大広告賞のCannes LionsとThe One Showのダブル入賞をはじめ、ACC賞、TCC新人賞、NIKKEI ADVERTISING アワード、YOMIURIADVERTISING アワード、MAINICHI ADVERTISEMENT DESIGNアワードなど、国内外で20以上のアワードを獲得。広告以外にも、国際的ビッグイベントのコンセプトプランニングや、企業のミッション・ビジョン・バリュー策定のサポートなども行う。一橋大学で広告のゼミ講師を務める。また、国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ。著書にベストセラー『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』(SBクリエイティブ)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分の頭のなかを言語化するうえでは、自分で自分の話を聞く姿勢が必要不可欠だ。
  • 要点
    2
    相手の言語化を促したいときには「できごと→(そのできごとで)感じたこと」の順で問いかけるとよい。このメソッドは自分自身にも使える。
  • 要点
    3
    自分の頭のなかを言語化する3ステップは「ためる」→「きく」→「まとめる」だ。「できごと+感じたこと」をメモしたあと、その感情を抱いた理由をたくさん書き出して、まとめてみよう。余裕があれば、今後とるべき「行動」まで言語化しておけると理想的だ。

要約

言語化力と「聞く」の意外な関係

言語化力アップの鍵は「聞く力」にある

実は、言語化力のベースは「聞く力」にある。

「聞く力」というと、その対象は他者だと思うだろう。だが言語化力を磨くにあたっては、自分に対しても「聞く力」を向けてほしい。「自分で自分の話を聞く」姿勢こそが、自分の頭のなかを言語化するうえで必要不可欠なのである。

言語化のプロが実践する2つの「聞く」
b-bee/gettyimages

コピーライターである著者は、コピーをつくる時間の約9割を、「クライアントや生活者の話を聞く」と「自分自身の話を聞く」という2つの「聞く」工程に使っている。

まずは「クライアントや生活者の話を聞く」だ。コピーを作る前に、クライアントと「オリエン」という場を持ち、「今回、広告したいのは、どういう商品なのか」「主に、どんなターゲットに向けて開発されたのか」「競合商品と比較して、どんな特長を持っているのか」「この商品は、どんな思いで開発されたのか」「ターゲットとなる生活者の、どんな悩みを解決する商品なのか」「データから推察されるターゲットの嗜好や生活スタイルは、どんなものか」「今回の広告の目的は、なにか」をじっくりと聞く。

続いて、もう1つの「自分自身の話を聞く」だ。

オリエンを受けたあと、「オリエンを聞いて、率直に、どう感じたか」「1人の生活者として、その商品をどう思うか」「自分の身近な人なら、どんな感想を持ちそうか」「クライアントも想像していなかった、その商品の別の魅力はないか」といったことについて自問自答しながら、コピーを考えていく。

たとえば、ラジオをもっと聴いてもらうためのコピーを作るとしたら、「普段、ラジオって、どんなときに聴くかな?」「そもそもラジオを最近聴いてないな」「なんでラジオを聴かないんだろう?」「ラジオを聴く機械がないからね」……と、もう1人の自分に次々と問いかけをしながら、言葉を探っていく。

自分の話を聞けば、悩みが減る

「自分自身の話を聞く」行為は、悩みの解消にも効果的だ。

普段から自分の話に耳を傾けて「どう生きていきたいか」という自分の「軸」を言語化できていると、公私ともに迷いや悩みを減らせる。「このまま今の仕事を続けていいのだろうか」「自分は、そもそも、なんのために仕事をしているのだろうか」「あと何年、今の会社で働くのだろうか」……といった漠然とした不安や悩みを抱えたとき、軸が指針となってくれるからだ。

とはいえ、自分の軸を言語化するのは意外と難しい。そこで次項からは、自分や相手の軸を言語化するためのメソッドを紹介したい。

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要約公開日 2024.11.28
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