こうやって頭のなかを言語化する。の表紙

こうやって頭のなかを言語化する。


本書の要点

  • 自分の頭のなかを言語化するうえでは、自分で自分の話を聞く姿勢が必要不可欠だ。

  • 相手の言語化を促したいときには「できごと→(そのできごとで)感じたこと」の順で問いかけるとよい。このメソッドは自分自身にも使える。

  • 自分の頭のなかを言語化する3ステップは「ためる」→「きく」→「まとめる」だ。「できごと+感じたこと」をメモしたあと、その感情を抱いた理由をたくさん書き出して、まとめてみよう。余裕があれば、今後とるべき「行動」まで言語化しておけると理想的だ。

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言語化力と「聞く」の意外な関係

言語化力アップの鍵は「聞く力」にある

実は、言語化力のベースは「聞く力」にある。「聞く力」というと、その対象は他者だと思うだろう。だが言語化力を磨くにあたっては、自分に対しても「聞く力」を向けてほしい。「自分で自分の話を聞く」姿勢こそが、自分の頭のなかを言語化するうえで必要不可欠なのである。

言語化のプロが実践する2つの「聞く」

b-bee/gettyimages

コピーライターである著者は、コピーをつくる時間の約9割を、「クライアントや生活者の話を聞く」と「自分自身の話を聞く」という2つの「聞く」工程に使っている。まずは「クライアントや生活者の話を聞く」だ。コピーを作る前に、クライアントと「オリエン」という場を持ち、「今回、広告したいのは、どういう商品なのか」「主に、どんなターゲットに向けて開発されたのか」「競合商品と比較して、どんな特長を持っているのか」「この商品は、どんな思いで開発されたのか」「ターゲットとなる生活者の、どんな悩みを解決する商品なのか」「データから推察されるターゲットの嗜好や生活スタイルは、どんなものか」「今回の広告の目的は、なにか」をじっくりと聞く。続いて、もう1つの「自分自身の話を聞く」だ。オリエンを受けたあと、「オリエンを聞いて、率直に、どう感じたか」「1人の生活者として、その商品をどう思うか」「自分の身近な人なら、どんな感想を持ちそうか」「クライアントも想像していなかった、その商品の別の魅力はないか」といったことについて自問自答しながら、コピーを考えていく。たとえば、ラジオをもっと聴いてもらうためのコピーを作るとしたら、「普段、ラジオって、どんなときに聴くかな?」「そもそもラジオを最近聴いてないな」「なんでラジオを聴かないんだろう?」「ラジオを聴く機械がないからね」……と、もう1人の自分に次々と問いかけをしながら、言葉を探っていく。

自分の話を聞けば、悩みが減る

「自分自身の話を聞く」行為は、悩みの解消にも効果的だ。普段から自分の話に耳を傾けて「どう生きていきたいか」という自分の「軸」を言語化できていると、公私ともに迷いや悩みを減らせる。「このまま今の仕事を続けていいのだろうか」「自分は、そもそも、なんのために仕事をしているのだろうか」「あと何年、今の会社で働くのだろうか」……といった漠然とした不安や悩みを抱えたとき、軸が指針となってくれるからだ。とはいえ、自分の軸を言語化するのは意外と難しい。そこで次項からは、自分や相手の軸を言語化するためのメソッドを紹介したい。

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要約公開日 2024.11.28
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