仕組み化がすべて

“最強企業”で学んだチームで成果を出すためのマネジメントの本質
未読
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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2024年08月08日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

大阪市に本社のある精密機械メーカー、キーエンスは売上高9000億円、営業利益率55%、社員の平均年収が2200万円という超優良企業である。本書は、同社に新卒入社しマネジャーに就任後転職、新規事業立ち上げのため再びキーエンスに戻り、現在は脱炭素経営を支援する会社の共同創業者として活躍する著者が、キーエンスの躍進の要因である徹底した仕組み化を他社でも応用できるよう、丁寧に説明したものだ。

組織に所属し働く際、最初に気になるのは自分の成績かもしれない。スタープレイヤーになることに憧れる人もいることだろう。しかし、キーエンスはスタープレイヤーに頼ることをよしとしない。1人のスタープレイヤーがいくら良い成績を出したところで、大多数の普通の従業員の成績が上がらなければ、会社全体の業績が大きく上がることはないからだ。そこで重要なのが、どんな人でもある程度の成績を出すことを可能にする「仕組み」である。

本書は、業務の標準化、仕組み化を実践していない企業の経営者や管理職にまず読んでもらいたい。仕組み化は、マネジャーの負担を軽くしてくれる。未実践の企業にとって、導入のインパクトは大きいはずだ。さらには、仕組み化を実践しようとはしているものの、実践に課題を感じている企業にとっては、本書の仕組み化のプロセスの具体的な記述が大いに役立つはずだ。

ライター画像
荻野進介

著者

岩田圭弘(いわた よしひろ)
アスエネ株式会社 共同創業者 兼 取締役COO
慶應義塾大学経済学部卒業後、2009年にキーエンスに新卒入社。マイクロスコープ事業部の営業を担当。2010年新人ランキング1位を獲得。その後、2012年下期から3期連続で事業部営業ランキング1位を獲得し、マネージャーに就任。その後本社販売促進グループへ異動、営業戦略立案・販売促進業務を担当。
2015年、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに転職。小売、医薬、建設業界の戦略策定、新規事業戦略策定に従事。2016年にキーエンスに戻り新規事業の立上げに携わる。
2020年アスエネに参画。

本書の要点

  • 要点
    1
    一部の優秀な人材や個々のモチベーションに依存することなく、誰もが一定の成果を出せるようにするのが、仕組み化だ。
  • 要点
    2
    どんなに優秀な人材がいても「頭数」には勝てない。組織の成果とはメンバーの行動の総和である。その行動の質と量を仕組み化によって高めることができる。
  • 要点
    3
    仕組み化を行うには、統一したルールを作る「標準化」、ルールを全員に行き渡らせる「浸透」、ルールを見直し再現性を高める「振り返り」、責任の所在を明らかにし引き継ぎ可能にする「責任と権限」という4ステップが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 卓越した成果をあげる組織には、仕組みがある

キーエンスは仕組みが9割

卓越した成果を上げ、急成長を続けるキーエンス。その秘密は、学歴やスキルの高い優秀な人材を集めることではない。徹底した仕組み化だ。

なぜ、組織が卓越した成果をあげるには仕組み化が必要なのだろうか。たとえば、10名いる営業部の各メンバーが、1日4件の面談を、1ヶ月の稼働日20日行っていたとしよう。4件×20日×10人で、部全体の月間面談数は800件だ。ここから成績を上げるために、部員たちを激励したところ、優秀な2名が1日の面談件数6件に増やすことができたとする。このとき、部全体の月間面談数は880件にしかならない。しかし、この優秀な2名の営業プロセスを精査し、マニュアルを作成して仕組み化し、他の8名にその通りに実行させることができればどうだろうか。優秀な2人は1日6件、他の8人が1日5件になれば、部全体の月間面談数は1040件にまで増える(6件×20日×2人+5件×20日×8人=1040件)。

組織の成果がメンバーの行動の総和である以上、再現性の高い、結果を生み出すための仕組み化が不可欠だ。キーエンスの急成長を支えているのは、多様な人材が同じように一定の成果を出せる「仕組みづくり」のおかげだ。

「仕組み化できない人」はリーダーになれない
Nuthawut Somsuk/gettyimages

会社で評価されるのは、組織で結果を出せる人だ。個人の力を発揮しつつ、組織の力を引き出していける人こそ、ビジネスの現場で求められる人材だ。

仕組み化を徹底すれば、スタープレイヤーに依存せずに、安定した成果を上げることができる。自分がトッププレーヤーとして成果を出してきたマネジャーは、自分が成果を出してさえいれば、チームとしてもそこそこの成果を出せるのではないかと考えがちだ。だが、30人くらいのチームになると、いくら頑張っても1人で全員分の成果が出せるわけではない。大人数を任せられるマネジャーは、30人で30人分の成果が出せるよう、仕組みを作れる人だ。

どんなに優秀な人でも、頭数には勝てない。マネジャー1人の成果に頼るより、マネジャーの半分の能力の人が5人いたほうが、2倍以上稼げる。マネジャーはこの事実に気づくべきだ。上位の役職に就くためには、チームをまとめ、全体の成果を向上させるスキルが不可欠だ。

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要約公開日 2024.11.11
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