卓越した成果を上げ、急成長を続けるキーエンス。その秘密は、学歴やスキルの高い優秀な人材を集めることではない。徹底した仕組み化だ。
なぜ、組織が卓越した成果をあげるには仕組み化が必要なのだろうか。たとえば、10名いる営業部の各メンバーが、1日4件の面談を、1ヶ月の稼働日20日行っていたとしよう。4件×20日×10人で、部全体の月間面談数は800件だ。ここから成績を上げるために、部員たちを激励したところ、優秀な2名が1日の面談件数6件に増やすことができたとする。このとき、部全体の月間面談数は880件にしかならない。しかし、この優秀な2名の営業プロセスを精査し、マニュアルを作成して仕組み化し、他の8名にその通りに実行させることができればどうだろうか。優秀な2人は1日6件、他の8人が1日5件になれば、部全体の月間面談数は1040件にまで増える(6件×20日×2人+5件×20日×8人=1040件)。
組織の成果がメンバーの行動の総和である以上、再現性の高い、結果を生み出すための仕組み化が不可欠だ。キーエンスの急成長を支えているのは、多様な人材が同じように一定の成果を出せる「仕組みづくり」のおかげだ。
会社で評価されるのは、組織で結果を出せる人だ。個人の力を発揮しつつ、組織の力を引き出していける人こそ、ビジネスの現場で求められる人材だ。
仕組み化を徹底すれば、スタープレイヤーに依存せずに、安定した成果を上げることができる。自分がトッププレーヤーとして成果を出してきたマネジャーは、自分が成果を出してさえいれば、チームとしてもそこそこの成果を出せるのではないかと考えがちだ。だが、30人くらいのチームになると、いくら頑張っても1人で全員分の成果が出せるわけではない。大人数を任せられるマネジャーは、30人で30人分の成果が出せるよう、仕組みを作れる人だ。
どんなに優秀な人でも、頭数には勝てない。マネジャー1人の成果に頼るより、マネジャーの半分の能力の人が5人いたほうが、2倍以上稼げる。マネジャーはこの事実に気づくべきだ。上位の役職に就くためには、チームをまとめ、全体の成果を向上させるスキルが不可欠だ。
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