職場の人間関係 防災ガイド
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出版社
サンクチュアリ出版

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出版日
2024年06月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

退職理由の上位に常にあがる「人間関係」。たとえ希望した会社に入ることができても、その後の人間関係は選べない。しかも直属の上司や同僚とは毎日密に、ハードに付き合う必要がある。誰と一緒に働くか、その相手がどんな人かは運次第なのだ。

そういった意味で、職場の人間関係トラブルは、「自然災害」に近いものがある。本書は、職場の厄介な人たちを「災害」に見立て、彼らから身を守る方法を教えてくれる一冊だ。

全部で30の「災害」が紹介されるが、そのタイトルが秀逸だ。「難クセの落石」「陰口ガスの流出」「意見の押し付け洪水」……。その様子が目に浮かび、目次を眺めるだけで笑ってしまう。周りにいたら胃がキリキリしそうな人たちを、擬人化ならぬ「災害化」するとはなんとユニークな発想か。それだけでも悩みがかなりやわらぐ。

著者は、キャリアカウンセリングやコーチング等で、1万人以上の相談に乗ってきた藤本梨恵子さんだ。本書では心理学をベースに、人間関係のトラブルを未然に防ぐ方法やトラブルに巻き込まれたときの対処法を紹介する。1つの「災害」に対して、「分析」→「防災方法」→「復興プラン」の三段階で解説しているため、いつ何をすればいいか、何をしてはいけないかが明快だ。

「備えあれば憂いなし」。今まさに暴風雨にさらされている人も、平穏に過ごしている人も、「防災ガイド」として本書を一冊常備しておけば安心だ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

藤本梨恵子(ふじもと りえこ)
ファイン・メンタルカラー研究所代表
米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー
国家資格 キャリアコンサルタント
産業カウンセラー
カラーセラーセラピスト


愛知県生まれ。10年以上デザイナーを経験。当時月130時間を超える残業のストレスで前歯が折れる。この時期に友人の死も重なり、「幸せな生き方とはなにか?」を考え、本格的にキャリアカウンセリングや心理学を学ぶ。NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフルネス瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者は1万人を超えている。

著書に『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』『なぜかうまくいく人の気遣い100の習慣』『なぜか感じがいい人の聞き方100の習慣』『なぜか惹かれる人の話し方100の習慣』(明日香出版社)、『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    何かと難クセをつけてくる人には、付け入る隙を与えてはいけない。攻撃されたら反抗せず、「すみません」とさらっと流そう。
  • 要点
    2
    陰口を言う人は劣等感や嫉妬心が強く、ストレスを抱えている。何を言われても気にせず、趣味を楽しむなど心の安全地帯を確保しよう。
  • 要点
    3
    人の揚げ足をとるような発言の裏には、「自分の優秀さを認めてほしい」という承認欲求が隠れている。
  • 要点
    4
    頼まれごとをすべて引き受けてしまう人は、実は我慢していることが多い。他者に「SOS」を出すことが苦手であるため、こちらから進捗を確認し、場合によっては仕事を強制的に引き取ろう。

要約

【必読ポイント!】攻撃的で危ない「ピリピリ災害」

難クセの落石 ~粗探しをしてくる人

「手際が悪いな。営業何年やってるの?」「もう帰るの? ヒマでいいね」と難クセをつけてくる人。このようなタイプには、どう対応すればいいだろうか。

仕事上の注意なら反省しなければならないが、その言葉が人格否定などあなた自身を傷つけるものなら、真に受ける必要はない。

難クセをつける人は、心の底で「ありのままの自分」を嫌っている。とはいえ努力して成長しようという気もないため、他人を引きずり降ろして己を保とうとする。相手を否定していれば、存在しない自分の有能さ(仮想有能感)を感じていられるからだ。

防災方法としては、付け入る隙を与えないことだ。そして「さすが○○さんですね!」と持ち上げて、「敵ではない」ことをアピールして安心させよう。また、相手に恥をかかさないことも大切だ。このタイプは常に間違いを指摘されることを嫌うため、伝え方を工夫したい。

攻撃されたら「失礼しました」「承知しました」「すみません」と、受け入れ姿勢を示す「S言葉」でさらっと受け流そう。「ですが」「だから」などの否定を表す「D言葉」で反論すると、火に油を注ぐことになる。

キツい言い方落雷 ~すぐに感情的になる人
キツい言い方落雷(イラスト:ながしまひろみ)

思い通りにならないと、イライラとキツイ言い方をしてくる人がいる。彼らはなぜすぐ感情的になり、人を委縮させるような物言いをするのだろうか。

イライラの理由はいくつか考えられるが、多いのは相手の期待値が高い場合だ。心理学では、「怒り」は第二感情で、その奥には怒りの原因、「期待」という第一感情があるといわれている。そのため、相手への期待が高いゆえにイライラして、手っ取り早く動いてもらう手段としてキツイ言い方をしてしまうのだ。

また、寝不足やプレッシャーなどで、脳疲労を起こしている可能性もある。相手をよく観察して、どちらのタイプかを見極めて対策をとる必要がある。

「相手への期待が高い人」に対しては、イライラしてきたら「この人は何を期待しているか」を探ることだ。素早く対応してほしいのか、丁寧に確認してほしいのか。その期待に応えるようにすれば、地雷を踏まずに済む。

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要約公開日 2025.01.07
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