女性活躍から始める人的資本経営の表紙

女性活躍から始める人的資本経営

多様性を活かす組織マネジメント


本書の要点

  • ダイバーシティの推進は、女性と育児期の社員から始めるといい。女性は社会的マイノリティの中のマジョリティであるため、多様な人材が活躍できることを示すバロメータとなる。

  • 日本企業で女性管理職が増えない背景には、日本企業特有の「構造」と「意識」の問題がある。

  • 女性が「管理職になってよかった」と感じるまでには時間がかかる。はじめは自信が無くても、経験を重ねていくにつれポジティブに変化していくだろう。

  • 女性活躍推進の実践には、「経営」「人事(現場)」「社内外コミュニケーション」の3つの視点を持ち、連携していくことが必要だ。

1 / 2

【必読ポイント!】理論編

「人的資本経営」が重要視される理由

人的資本経営とは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方である。人材をコストではなく「価値を生み出す資本」として捉え、効果的に投資することでリターンを生み出そうという考えに基づいている。近年、なぜ人的資本経営が重要視されるようになったのか。そのきっかけの1つは、2008年のリーマン・ショックである。リーマン・ショックの背景には、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの社内ガバナンスの脆弱さがあったと言われる。これにより、財務情報のみで投資判断をする危険性が周知され、人材投資への関心が高まっていった。ESG投資も関係している。環境(Environment)や社会(Society)に配慮して、適切にガバナンス(Governance)されている企業に投資する「ESG投資」。このうち、社会とガバナンスが人的資本に関わっているため、投資の観点から人的資本を重視する声が高まっている。近年は、外国人投資家による人的資本への取り組み要請も増えている。また、コーポレートガバナンス改革の推進によって、企業の中核人材における多様性の確保が取り入れられた。2023年3月期からは、「有価証券報告書」で人的資本の情報開示が義務化されている。全ての上場企業が「ダイバーシティ」、その第一歩としての女性活躍推進に対して、本気で取り組まなければならないのである。

女性活躍からDEIを始める

P.40 より引用(日本能率協会マネジメントセンター提供)

人的資本経営の推進に欠かせないのが、ダイバーシティ(多様性)だ。ダイバーシティは、単に多様な人材が存在するだけではなく、「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)」として捉える必要がある。DEIの推進には、「女性」「育児期」社員から始めるといい。その理由の1つは、女性は社会的マイノリティの中のマジョリティであるため、ダイバーシティを計る第一のバロメータとなるからだ。人数が多い属性でさえも活躍できない環境ならば、当然、他の属性の人達の活躍も難しい。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2899/3777文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.05.05
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

リンカン
リンカン
紀平英作
はじめてのスピノザ
はじめてのスピノザ
國分功一郎
世界標準の採用
世界標準の採用
小野壮彦
ブランディングの誤解
ブランディングの誤解
西口一希
対話するプレゼン
対話するプレゼン
岩下宏一
知能とはなにか
知能とはなにか
田口善弘
大前研一 日本の論点2025-26
大前研一 日本の論点2025-26
大前研一
仕事をしながら母になる
仕事をしながら母になる
内田舞塩田佳代子ReHacQ(編著)

同じカテゴリーの要約

【新】100円のコーラを1000円で売る方法
【新】100円のコーラを1000円で売る方法
永井孝尚
起業の天才!
起業の天才!
大西康之
経営者のための正しい多角化論
経営者のための正しい多角化論
松岡真宏
15秒!集客革命
15秒!集客革命
仲野直紀
ユニクロ
ユニクロ
杉本貴司
心理的安全性のつくりかた
心理的安全性のつくりかた
石井遼介
ローソン
ローソン
小川孔輔
ジョブ型人事の道しるべ
ジョブ型人事の道しるべ
藤井薫
組織と働き方の本質
組織と働き方の本質
小笹芳央
地頭力を鍛える
地頭力を鍛える
細谷功