世界標準の採用
世界標準の採用
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世界標準の採用
出版社
出版日
2025年05月12日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

なぜ、優秀な人材が採用できないのか――。『世界標準の採用』は、グーグルを起点に広がった「採用革命」の本質を解き明かし、日本企業がとるべき「逆転のシナリオ」を提示する一冊である。

著者は、世界最高峰の外資系ヘッドハンティング会社で、5000人以上のエグゼクティブを見てきた「トップマネジメントの目利き」だ。前著『人を選ぶ技術』では、才能を見抜くためのフレームワークやメソッドを体系化し、大きな注目を集めた。その後、読者からは「そもそも優秀な人を採れそうにない」「自社には採用方針や体制が整っていない」といった切実な声が寄せられたという。

そうした現状を受け、本書が挑むのは、日本企業の採用システムそのものを見直し、世界標準とのギャップをどう埋めていくかというテーマである。「会社の採用活動をよくしたければ、これ一冊でいい」と言われる決定版を目指して執筆された。

構成は三部仕立てで、まず「世界の採用革命」を概観し、日本企業の課題を浮き彫りにする。次に、その課題をどう克服するか、新たな採用システムの仕組みとノウハウを解説する。最後に、日本独自の採用革新に向けて、人材の「伸びしろ(ポテンシャル)」を見抜くための「ポテンシャル・モデル」を提示する。500ページを超える大著だが、著者の鋭い洞察と人の本質に迫る描写に引き込まれ、一気に読み進められる。

経営層や人事担当者はもちろん、よりよい採用を目指すすべての方にとって、本書は新たな地平を切り拓く「羅針盤」になるはずだ。

ライター画像
松尾美里

著者

小野壮彦(おの たけひこ)
グロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクター
大学卒業後、戦略コンサルタント、ベンチャー創業、プロ経営者などのキャリアを経験した後、世界的なエグゼクティブ・サーチ・ファームであるエゴンゼンダーに入社。経営層に特化したヘッドハンティング・人材鑑定業務に10年間従事する。現在は日本最大級のベンチャーキャピタルであるグロービス・キャピタル・パートナーズのバリューアップ・チームGCPXのリーダーとして急成長企業のリーダーシップ開発および組織構築支援を多数手がける。早稲田大学商学部卒業、SDAボッコーニ経営大学院MBA。

本書の要点

  • 要点
    1
    グーグルが導入した革新的な採用手法が世界に広まり、「グーグルモデル」として採用の常識を塗り替えた。
  • 要点
    2
    世界標準の採用を支える5つのシステムは、「TAシステム」「探索システム」「面接官育成システム」「エンゲージ・システム」「ホリスティック・システム」から成る。
  • 要点
    3
    著者は人材の「伸びしろ」に着目した独自のポテンシャル評価を提唱し、その中核は4つの因子にある。

要約

採用革命の物語

それはグーグルから始まった

2000年代半ば、ビジネスの世界では大きな革命が起きていた。グーグルが新たな採用手法を導入し、シリコンバレーのテック企業に急速に広まった。この動きを本書は「採用革命」と名づけ、2020年代には世界中のグローバル企業がグーグルモデルを採用するようになる。

グーグルはリンクトインを洗練された形で活用し、「タレントアクイジション(Talent Acquisition)」チーム、つまりTAチームが主導して先進的な採用活動を展開。自社データに基づく評価で、厳しい基準と大量採用の両立を実現した。さらに、採用をリーダーの重要業務と位置づけた点も特徴的である。その結果、「最も賢い人だけを雇う」というビジョン、社内チームによるスカウト体制、客観的評価、時間をかけた見極め、委員会方式による意思決定といった要素が有機的に結びついた「グーグルモデル」が確立し、採用の常識が一変した。

グーグルモデルは革新性と精緻さで瞬く間に世界中に広がった。このモデルは、ネットワーク効果が働くため、使う企業が増えるほど価値が高まる。日本でも外資系コンサルティング業界やIT系のベンチャー企業を中心に広がっていった。

「採用=人事」から「採用=営業」へ

採用革命で広がったのは、ダイレクトリクルーティングを軸とする新たな採用モデルである。

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要約公開日 2025.05.15
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