要約では、本書から3つのトピックを取り上げる。まずは地方活性化だ。
地方の人口減少が止まらない。2024年4月、「人口戦略会議」は、2050年までに消滅の可能性がある市区町村を公表した。国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に、20〜30代女性の減少率を分析したところ、744もの市区町村が消滅の可能性があるとされた。全体の約4割にあたる市区町村が、依然として消滅の危機にある。特に東北地方では、市区町村の77%が該当するなど深刻な状況だ。
しかし、人口減少の原因を少子化に求めるだけでは根本的な解決にはならない。少子化を抑制しても、都市への人口流出が続く限り、地方の衰退は止まらない。重要なのは、この流れを前提に、地方を活性化させる「逆転の発想」を持つことだ。
地方の衰退は日本だけの問題ではない。世界的に都市への人口集中が進んでいる。背景には「ネーションステイト(国民国家)」から「リージョンステイト(地域国家)」へのシフトがある。かつては暮らしの豊かさは国単位で決まっていて、国内の格差を再分配で抑えていた。だが、ボーダレス経済の時代には、いくつかの都市がまとまった「リージョン」単位で競争するようになった。
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