大前研一 日本の論点2025-26
大前研一 日本の論点2025-26
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大前研一 日本の論点2025-26
出版社
プレジデント社

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出版日
2024年12月12日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

日本がいま、解くべきイシューとは何だろうか。この問いのもと、私たちが直面する課題を鋭く分析し、具体的な解決策を端的に提示する――。それが『大前研一 日本の論点2025-26』である。本シリーズは毎年「年末の定番書籍」として好評を博し、累計40万部を突破している。著者の大前研一氏は、豊富な知見をもとに国内外の最新動向を読み解いていく。

2024年は、台湾総統選、アメリカ大統領選、東京都知事選など、世界的に重要な選挙が相次いだ。注目すべきは、トランプ前大統領の圧勝による劇的な返り咲きである。ウクライナや中東での紛争が続くなか、トランプ氏の復権によって、世界情勢にどんな変化が起きているのか。世界的な右傾化トレンドを止める手立てはないのだろうか――。大前氏は、こうした課題の本質に迫っていく。

本書では、日本編と海外編に分けて、国内外の現状を知るうえで欠かせない26のトピックが紹介されている。とりわけ日本編では、人口増加に頼らない地方活性化の「逆転の発想」や、国民皆保険制度の維持に向けた提言、日本の「GDP世界第4位転落」に象徴される経済停滞の打開策など、読みどころ満載だ。

本書の魅力は、大前氏ならではの、本質を突いた実践的なソリューションの提示にある。気になるテーマから読み進めてもいい。読後には、国内外のイシューが整理され、自分たちのビジネスの未来を切り開くヒントを得られるだろう。

ライター画像
松尾美里

著者

大前研一(おおまえ けんいち)
早稲田大学卒業後、東京工業大学で修士号を、マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得。日立製作所、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長。
著書に『第4の波――大前流「21世紀型経済理論」』『経済参謀――日本人の給料を上げる最後の処方箋』(共に小学館)、『企業参謀――戦略的思考とはなにか』『世界の潮流』シリーズ、『日本の論点』シリーズ(ともにプレジデント社)など多数ある。
「ボーダレス経済学と地域国家論」提唱者。マッキンゼー時代には、ウォールストリートジャーナル紙のコントリビューティングエディターとして、またハーバードビジネスレビュー誌では経済のボーダレス化に伴う企業の国際化の問題、都市の発展を中心として広がっていく新しい地域国家の概念などについて継続的に論文を発表していた。この功績により、1987年にイタリア大統領よりピオマンズ賞を、1995年にはアメリカのノートルダム大学で名誉法学博士号を授与された。英国エコノミスト誌は、現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカー(故人)やトム・ピーターズが、アジアには大前研一がいるが、ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいないと、書いた。同誌の1993年グールー特集では世界のグールー17人の1人に、また1994年特集では5人の中の1人として選ばれている。2005年の「Thinker 50」でも、アジア人として唯一、トップに名を連ねている。2005年、『The Next Global Stage』がWharton School Publishingから出版される。発売当初から評判を呼び、すでに13カ国語以上の国で翻訳され、ベストセラーとなっている。経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。
趣味は、スキューバダイビング、ジェットスキー、オフロードバイク、スノーモービル、クラリネット。ジャネット夫人との間に二男。

本書の要点

  • 要点
    1
    少子化対策だけでは地方の衰退は止まらない。経済的に余裕のある高齢者の移住促進や観光産業の振興など、新たな視点で地方再生を図ることが重要である。
  • 要点
    2
    国民皆保険制度の持続可能性を確保するためには、オンライン診療の活用、保険適用範囲の見直し、病院の経営効率化など、大胆な制度改革が求められる。
  • 要点
    3
    トランプ氏の復権に象徴される右傾化の波に対し、日本は教育によって国民の政治リテラシーを向上させる必要がある。

要約

地方活性化につながる「逆転の発想」とは?【日本編】

2050年までに4割の自治体が消滅する?

要約では、本書から3つのトピックを取り上げる。まずは地方活性化だ。

地方の人口減少が止まらない。2024年4月、「人口戦略会議」は、2050年までに消滅の可能性がある市区町村を公表した。国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に、20〜30代女性の減少率を分析したところ、744もの市区町村が消滅の可能性があるとされた。全体の約4割にあたる市区町村が、依然として消滅の危機にある。特に東北地方では、市区町村の77%が該当するなど深刻な状況だ。

しかし、人口減少の原因を少子化に求めるだけでは根本的な解決にはならない。少子化を抑制しても、都市への人口流出が続く限り、地方の衰退は止まらない。重要なのは、この流れを前提に、地方を活性化させる「逆転の発想」を持つことだ。

大都市への人口移動は世界的なトレンド
loops7/gettyimages

地方の衰退は日本だけの問題ではない。世界的に都市への人口集中が進んでいる。背景には「ネーションステイト(国民国家)」から「リージョンステイト(地域国家)」へのシフトがある。かつては暮らしの豊かさは国単位で決まっていて、国内の格差を再分配で抑えていた。だが、ボーダレス経済の時代には、いくつかの都市がまとまった「リージョン」単位で競争するようになった。

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要約公開日 2025.05.04
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