対話するプレゼン
対話するプレゼン
ロジカルなプレゼンより100倍説得力が増す方法
NEW
対話するプレゼン
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2025年02月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

プレゼンは業務の一環であるにもかかわらず、どこか「特別」な感じがする。なぜだろう?

それは、「舞台に似ているから」ではないだろうか。事務作業や定例会議などの「いつもの仕事」とはちょっと違う、「舞台に上がるような特別な仕事」。だから「聴衆を惹きつける素晴らしいパフォーマンスをしなければならない」と気負ってしまい、その結果、プレゼンに対する苦手意識が生まれてしまう。

では、プレゼンを「特別な場」ではなく、「いつもの場」にしてみたらどうだろうか――。そう提案するのが、本書の著者・岩下宏一氏である。

著者は元NTTの人事であり、かつ劇団四季で俳優を務めていたという異色の経歴の持ち主だ。四季退団後は人事コンサルを経て独立し、現在は企業や自治体、学校などでプレゼン指導を行っている。

著者が教えているのは、相手と対話しながら進める「対話するプレゼン」だ。「資料を完璧に仕上げて、本番では読むだけ」という独演型のプレゼンとは一線を画す、「相手と一緒に作りあげる」プレゼンである。そのため、折にふれて相手の反応を見たり、「ここまで大丈夫ですか?」と問いかけたりして、一緒にその場を作っていくことを重視する。そう考えると、いつものミーティングの延長として捉えられ、プレゼンに対するハードルが下がるのではないだろうか。

本書では「対話するプレゼン」のやり方を、順を追って解説していく。「緊張で頭が真っ白になってしまう」というプレゼン恐怖症の人にこそ、おすすめしたい一冊だ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

岩下宏一(いわした こういち)
プレゼントレーナー、株式会社ビーニアセルフ代表取締役
鹿児島県生まれ。京都大学法学部卒業後、1993年にNTTに入社。人事部において新卒3000人採用の実務を続括。
NTT分割用編成人事業務等を経て、NTTコミュニケーションズ株式会社の人事部立ち上げメンバーとなる。仕事の傍らミュージカルの専門学校に通い、2001年劇団四季オーディションに合格。俳優に転身し、ミュージカル「ライオンキング」ほか3作品500ステージに出演。退団後は、人材採用支援のレジェンダ・コーポレーション株式会社に入社し、コンサルティングマネジャーを経て人事部長となる。2014年に独立しプレゼン指導を開始、株式会社ビーユアセルフ設立。
日々、多くの人にプレゼン指導する中、真面目な人ほど「相手の気に入ることを話さねばならない」「間違えてはならない」などの思い込みでプレゼンに苦手意識を持っていることに気がつく。以来、縛られない、とらわれない。相手と率直に対話をするプレゼンを教えるようになった。官公庁、地方自治体、上場企業・ベンチャー企業、大学・高校等で今までにのべ300団体1万5000人以上に「対話するプレゼン」を教え、ラクに話せる、本音で話せる人たちを増やし続けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    「対話するプレゼン」とは、相手の「いまこの瞬間」の要望や疑問をすくい上げ、丁寧に答えていきながら進めるプレゼンだ。
  • 要点
    2
    プレゼン前は、相手が話しやすい場の雰囲気を作ることが大切だ。
  • 要点
    3
    「対話するプレゼン」では、資料を見てから前を向いて話す「半生話法」を基本とする。その際は、資料を見る時間が2割、相手を見る時間は8割が目安である。
  • 要点
    4
    プレゼン中も積極的に相手に問いかけよう。「問いかけ」と「受けとめ」が、実り多いプレゼンのカギとなる。

要約

プレゼンは「対話」である

なぜ緊張してしまうのか

著者はプレゼンを「対話」だと捉えている。「対話するプレゼン」では、相手の「いまこの瞬間」の要望や疑問をすくい上げ、それに丁寧に答えながら進めていく。

プレゼンで緊張してしまうのは、それを「特別な場」だと考えているからだ。「特別な場だから、何か特別なことをしなければ」という思いが、緊張を生む要因となっている。

その結果、「うまく話さないと」「ちゃんと理解してもらわなければ」「言い間違えてはいけない」と、多くの「ねばならない」に縛られてしまう。特に真面目な人ほど、この状況に陥りやすい。

「特別な場」だから緊張するのなら、プレゼンを「いつもの場」に変えてしまえばよい。つまり、用意したストーリーを叩き台とし、いつものような話し合いの場にしてしまうのだ。

居て、聴いて、語る
joshblake/gettyimages

著者はかつて劇団四季に所属し、多くのミュージカル作品に出演してきた。「居て、聴いて、語る」は、劇団四季で学んだ教えであり、現在プレゼンを指導する中で原点としている言葉である。

説得力のあるセリフを言うためには、しっかりと準備し、その場に「居る」ことが求められる。そして、相手の言葉や感情をしっかり「聴いて」、そのリアクションとして「語る」。舞台では、この姿勢が欠かせない。

プレゼンが苦手な人は、あらかじめ考えてきたストーリーや資料を、一言一句漏らさず伝えることに懸命になっている。それでは自分のセリフにとらわれ、相手の言葉を聞いていない俳優と変わらない。

「対話するプレゼン」が目指すのは、相手との共感や信頼を築くための「心に響くプレゼン」だ。本書では、7章にわたってそのステップが紹介されるが、次からは第4~6章の「プレゼン前の空気の作り方」「話し方」「問いかけと受け止め」を取り上げる。

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要約公開日 2025.05.06
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