会社を辞めないという選択

会社員として戦略的に生きていく
未読
日本語
会社を辞めないという選択
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会社員として戦略的に生きていく
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会社を辞めないという選択
出版社
定価
1,540円(税込)
出版日
2015年02月09日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

会社に勤めている人にとって、その会社を辞めるという決断はとてもエネルギーの必要なことなのではないだろうか。その決断を自ら下して新天地に向かう人は、会社に居続ける人からは輝いて見えるものである。そのとき、自分に向かって、「このまま会社にいて本当にいいのか、本当に自分のやりたいことは何なのだろうか」と問いかける問題意識を持った人にとって、本書は温かいまなざしで励ましの言葉を与えてくれる。

タイトルだけみると、会社を辞めずに安定した立場でいることを肯定するような内容だと想像するかもしれない。だが、本書は安定のためではなく、織を巻き込み、社会に影響を与えるために、積極的に会社員として生きていくことを主張している。著者は会社員、社内ベンチャー立ち上げ、起業家という様々な立場を経験したことをバックボーンとして、会社員にこそ必要な「スタートアップ」の精神や、チームづくりの秘訣についてわかりやすく述べている。そういったことは、実は会社員かそうでないかに関わらず、社会で仕事をしていく上ではどんな立場の人にも必要な視点のはずだ。

会社を辞めようかと悩んでいる後輩に対して、人生の先輩から温かいアドバイスをしているかのような印象のある本書だが、それだけに終始するのではなく、「社会をよりよくする」というビジネスの本質についても考えさせられる良書である。

著者

奥田 浩美
株式会社ウィズグループ、株式会社たからのやま代表取締役。
鹿児島県生まれ。インド国立ボンベイ大学(現州立ムンバイ大学)大学院社会福祉課程修了。1989年、国際会議の企画運営会社に入社。1991年、ITに特化したイベントサポート事業を設立。主にMacworldやWindows World、Interop、Google Developer Dayといった大型プライベートショーの事務局として、運営に携わる。2001年、株式会社ウィズグループを設立。IT系大規模コンファレンスの事務局統括・コンテスト企画などを行う。2013年には株式会社たからのやまを設立。徳島県、鹿児島県の限界集落に高齢者のタブレット使用のサポートを行う拠点を設け、高齢者との共同製品開発事業を開始。2014年より、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の未踏IT人材発掘・育成事業の審査委員を務め、若い世代の新たなチャレンジを支援している。これまでに携わったITイベントの数は300以上。のべ動員数は10万人以上。数億円規模のイベントをいくつも成功に導いている。

本書の要点

  • 要点
    1
    会社はチーム戦に取り組むためのものだ。チームが目指すものは何か、その中で自分が貢献できることは何か、もしくはチームを使って自分は何をしたいか、と考えることが能動的な働き方につながる。
  • 要点
    2
    自分の仕事の社会的意味を考え、自分のビジョンと会社のビジョンの接するところへ大きなビジョンを描こう。
  • 要点
    3
    社会から求められているビジネスを見出すためには、多くの現象や視点を知ることが大切だ。
  • 要点
    4
    仕事の成果を最大化するチームを作るため、異なる性質や視点をもった人を大事にする。

要約

起業家思考があなたの強みを活かす

会社員は歯車でなくチームの一員
brodtcast/iStock/Thinkstock

「スタートアップ」というと、会社員にはあまり縁のない話に聞こえるかもしれないが、著者は会社員にこそスタートアップ精神が重要であると説く。その精神とは、周囲の人の共感を呼んで巻き込み、社会に影響をもたらす、といううねりを生み出す精神のことである。それはすなわちチーム戦を戦うということだ。

会社員は組織の一部ではなく、あくまでチームの一員、というふうに著者は考える。組織と個人は対立するものとしてとらえられることが多いが、メンバーがいて初めてチームが成り立つのだから、このとらえ方はチーム戦には邪魔になる。

チーム戦は同調を強制するものではない。チーム総体としての戦力を最大限に高めるためには、異なる価値観を持ったメンバーを認め合い、補い合うことが大切だからだ。「水戸黄門様御一行」のように、それぞれが異なる役割を持ち、それでも同じ目的を持って最終的には団結することが強いチームを作る。

鳥の目を持つ

社会に変革を起こすスタートアップ精神の根本には、ものごとを俯瞰して見るものの見方があると著者は述べている。見るべきものは二つある。一つは社会全体から見たときの自分の会社、もう一つは会社の中での自分自身である。

バブル崩壊やリーマンショックを経験した社会において、絶対に安泰である会社など存在しないことは、誰しもに共通する認識だろう。たとえ大企業であっても、社会の中では小さな点のような存在であり、完成されたものではない。自分の会社が社会にどのような意義をもっているのか、そこに自分がどう寄与しているのか、と考えることが必要である。

そのために著者は、会社のホームページを自分で作ってみることを勧めている。その作業を通して、会社が社会においてどういうビジョンを実現したいかを確認したり、自社の強い部分、弱い部分を認識したりできる。また、自分が会社のどこを使って、どう貢献できるのかを具体的に想像することもできる。

会社員のメリット
violetkaipa/iStock/Thinkstock

自分がやりたいことを実行するために「会社を使う」という、スタートアップ精神に基づく発想を持てば、会社員であり続けることには大きなメリットがあることがわかる。会社を自分の財産だと思って、それを使って自分のやりたいことをやり、会社や社会に利益を還元していくと考えてみよう。

実際のスタートアップであれば1000社立ちあがって1社残ればいいと言われるほどのリスクがあるが、会社員として新しい事業を興すと考えてみれば、実際に会社が倒産したりするリスクをほとんどの場合は心配する必要がなく、安心して事業計画が立てられる。スタートアップであれば資金調達も重要で大変だが、会社員であれば会社の利益になる事業には会社が投資をしてくれる。既に会社が持っている販路、資金などの資産を活用して何かできないか、というふうに考えられることは大きなメリットだ。そのように考えれば、起業家のように働く会社員として、前向きにプライドを持って仕事にチャレンジできるはずだ。

【必読ポイント!】 会社に居るからこそ社会を大きく変えられる

ビジネスの本質とは
selamiozalp/iStock/Thinkstock

ビジネスの本質とは、社会に影響を与えることである。より平たく言うと、自分たちのモノやサービスの価値をより多くの人に知ってもらい、利用してもらうことである。よって、会社の存続は、すなわちその会社が社会から必要とされているということを意味する。

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