閉じこもるインターネット
グーグル・パーソナライズ・民主主義

未 読
閉じこもるインターネット
ジャンル
著者
イーライ・パリサー 井口耕二(訳)
出版社
早川書房
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2012年02月23日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.0
革新性
5.0
応用性
3.0
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グーグル・パーソナライズ・民主主義
著者
イーライ・パリサー 井口耕二(訳)
未 読
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出版社
早川書房
定価
2,000円 (税抜)
出版日
2012年02月23日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.0
革新性
5.0
応用性
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レビュー

圧倒的な情報の奔流となったインターネットでは、流れてくるすべての情報に目を通すのは難しい。そのためユーザーはパーソナライズされたフィルターが必要になる。パーソナライズドフィルターを使えば、知るべき情報、見るべきもの、聞くべきことを見つけやすくなるからだ。もちろん私たちは、パーソラナイズドフィルターが、私たちのウェブ上でのクリック履歴やソーシャルネットワークでの投稿などの個人情報と引き換えであることは知っている。しかし、パーソナライズドフィルターには、私たちの想像を上回る恐るべき落とし穴が存在する。本書は、パーソナライズドフィルターが人々の認知や消費生活、政治、文化、社会構造にまで及ぼす深刻な影響について警鐘を鳴らす一冊である。インターネット社会の未来を健全なものにするために、インターネットを利用する人すべてが読むべき本であると言える。

著者

イーライ・パリサー
1980年生まれ。アメリカ最大のリベラル系市民政治団体の1つ、「ムーブオン」(MoveOn.org)の元エグゼクティブ・ディレクターで、現在は理事会長。
2001年、暴力の連鎖を断ち切って平和を訴える署名サイト「9‐11peace.org」を開設。わずか数週間で192カ国から50万人の署名を集めたことで脚光を浴び、ムーブオンのキャンペーン・ディレクターにスカウトされる。「Obama in 30 Seconds」など彼の独創性あふれるキャンペーンと、少額寄付システムの確立によって、ムーブオンは会員数500万人を突破。1億2000万ドルの寄付を集める有力NPOに成長している。
2011年、本書のテーマでTED講演"Beware online "filter bubbles""を行ない、大きな反響を呼んだ。

本書の要点

  • 要点
    1
    パーソナライズドフィルターによって自分の価値観や考え方にマッチした情報しか表示されなくなり、ユーザーのインターネットにおける体験は変わりつつある。しかもユーザーから見てフィルターがどのようにして形成されたのかわからない。そのため、フィルターバブルの内側からでは、自分に届いている情報がどれほど偏向しているのかわからない。
  • 要点
    2
    パーソナライズドフィルターにより、何が重要なのか、何が真実なのか、何が現実なのかという認知がゆがめられる結果、政治や文化、将来の社会構造に対して大きな影響を及ぼしている。
  • 要点
    3
    フィルターに用いられているアルゴリズムはウェブサイトに利益をもたらすために使われているだけで、その複雑さゆえ開発者ですらなぜそのような情報の取捨選択が行われたのかを説明できない。
  • 要点
    4
    パーソナライゼーションを提供する企業にはパーソナライゼーションの仕組みを透明化し、ユーザーが選択できるようにする必要がある。また、利用する個人も、パーソナライゼーションの影響を自覚し視野を広げる努力をすべきである。同時に政府が個人情報の取り扱いを規制する動きを強め、インターネットの世界を守っていく必要がある。

要約

パーソナライゼーションが進む世界

iStock/Thinkstock
あなたの行動は商品になった

パーソナライゼーションにより関連性を提供する企業としては、グーグルとフェイスブックの二大巨頭が有名だ。グーグルは検索ワードやクリック履歴を、フェイスブックはユーザーが投稿したコンテンツを収集しパーソナライゼーションに活用している。ほかにも、表舞台には出てこないが、行動リターゲティングビジネスを行うアクシオムのような企業が存在する。このような企業は、ユーザーのオンライン上での行動データの、企業間での売買を仲介している。オークションを経てそのデータを購入した企業は、パーソナライズ機能によって消費者個人に関係性の高い品物をプッシュすることができる。そう、あなたの行動が商品として取引されているのだ。

このように関連性を追求した結果、インターネットの巨大企業が生まれ、企業はユーザーのデータを少しでも多く集めようとし、オンライン体験は私たちが築かないうちに関連性に基づいてパーソナライズされつつある。

【必読ポイント!】 パーソナライゼーションの問題点

パーソナライズドフィルターは重要性を考慮しない

ニュースは、私たちの世界に対する認識、なにが重要なのかという認識、直面する問題の大きさや特色、性格などの認識を形作る。さらに共通の体験や共通の知識という基礎として民主主義を支えている。現在のジャーナリズムは、歴史的な経緯を経て、その公的な性質から倫理と公的責任が不完全ながらも浸透している。

しかしパーソナライズドフィルターを通じて得られた情報にはこうした倫理や公的責任が織り込まれていない。例えば、アフガニスタン情勢についてかかれた記事より、アップルの新製品の記事の方が優先されてしまったりするからだ。パーソナライズドフィルターの大半は、クリックの少ないものをふるい落とすだけで、重要なものを優先する仕組みが用意されていないのである。

iStock/Thinkstock
パーソナライズドフィルターは視野を広げる機会を奪う

パーソラナイズドフィルターは、人間の認知にも大きな影響を及ぼす。パーソナライズドフィルターによって、私たちは、知っている(かつ賛同している)アイデアに囲まれてしまう(こうした自分だけの情報宇宙を、著者は「フィルターバブル」と呼ぶ)。これにより、私たちはすでに持つ観念的な枠組み(スキーマ)が絶対的に正しいと信じてしまうのだ。

私たちがとらえている世界に合った情報は簡単に吸収できるし楽しい。一方、新しい考え方をしなければならなかったり仮説を見直さなければならなかったりする情報は、処理が苦痛だし難しい。パーソナライズドフィルターは、すでに持っている概念と衝突するコンテンツより、そのような概念に沿ったコンテンツを優遇してしまう。またフィルターバブルは、なにがどうなっているのかよくわからず、新しい考え方を理解し、身につける気になる不安定な状況が生まれないようにしてしまうのである。

さらに、フィルターバブルは次の三つの理由で創造性やイノベーションを阻害する。

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