大前研一ビジネスジャーナル No.3
なぜ日本から世界的イノベーションが生まれなくなったのか

未 読
大前研一ビジネスジャーナル No.3
ジャンル
著者
大前研一(監修) good.book編集部(編)
出版社
good.book
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2015年02月06日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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大前研一ビジネスジャーナル No.3
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なぜ日本から世界的イノベーションが生まれなくなったのか
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大前研一(監修) good.book編集部(編)
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出版社
good.book
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2015年02月06日
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総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
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レビュー

大前研一氏が経営者向けに講義するために集めた選りすぐりのコンテンツを書籍化した、『大前研一ビジネスジャーナル』の第三弾。なぜ現在の日本から世界に進出できるイノベーティブなビジネスが生まれなくなっているのかを、企業・政府・教育の面から考察している。

その原因の一つを、大前氏は「日本企業が過去の成功体験にとらわれたビジネスモデルを捨てきれないこと」だと語る。シュンペーターの言葉を借りると、イノベーションとは本来、「古いもの」と「新しいもの」の結合であり、「異質な人間同士の結びつき」が極めて重要となる。この結合を多く生み出すうえで、豊富な海外・国内事例をもとに「イノベーションの条件」を分析した本書は、格好の「生きた教材」になってくれるだろう。

日本や海外の最先端の現場を常に観察し続けている大前氏ならではの洞察力に満ちた分析を一冊で読めるのは、非常にお得である。また、世界のイノベーションの動向やビジネスモデルなどが一覧できる図解のスライドが随所に埋め込まれているため、本書に登場する多様な事例について理解を深め、頭の中で整理することができる。

日本企業が今後目指すべき方向性の提案には説得力があり、どの業界に身を置いていても役立つ指針になってくれるだろう。ビジネスを「自ら」あるいは「企業の中で」立ち上げようとするビジネスパーソンにとって、一読の価値があるとお薦めしたい。

松尾 美里

著者

大前 研一(おおまえ・けんいち)
1943年、福岡県若松市(現北九州市若松区)生まれ。早稲田大学理工学部卒業。東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。経営コンサルティング会社マッキンゼー&カンパニー日本社長、本社ディレクター、アジア太平洋地区会長等を歴任。94年退社。96~97年スタンフォード大学客員教授。 97年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院公共政策学部教授に就任。 現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長。オーストラリアのボンド大学の評議員(Trustee)兼教授。 また、起業家育成の第一人者として、05年4月にビジネス・ブレークスルー大学大学院を設立、学長に就任。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開学、学長に就任。02年9月に中国遼寧省および天津市の経済顧問に、また10年には重慶の経済顧問に就任。04年3月、韓国・梨花大学国際大学院名誉教授に就任。「新・国富論」、「新・大前研一レポート」等の著作で一貫して日本の改革を訴え続ける。『原発再稼働「最後の条件」』(小学館)、「洞察力の原点」(日経BP社)、「日本復興計画」(文藝春秋)、「一生食べていける力」がつく大前家の子育て(PHP研究所)、「稼ぐ力」(小学館)、「日本の論点」(プレジデント社)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    産業の垣根がなくなっている最大の要因はテクノロジーの進化である。そして、台頭する新興企業とエスタブリッシュメント(既存企業)との間に新たな対立が生まれている。
  • 要点
    2
    「産業ボーダーレス時代」においては、顧客・競合・自社の「3C」が明確に定義できず、従来の戦略フレームワークが通用しない。自社の事業構造を変え、顧客を再定義するなどの「自己否定」を行うことが重要だ。
  • 要点
    3
    日本企業は技術革新の面では強いが、市場創出と世界市場開拓の面では弱く、結果としてイノベーション実現能力が弱くなっている。

要約

産業の境界線を越えていく企業

テクノロジーの進化と、消えゆく産業の垣根
audioundwerbung/iStock/Thinkstock

インターネットにより、全てのものがつながる「ユビキタス」と、「フリクションフリー(摩擦やストレスのない経済)」が実現しようとしている。産業の垣根 がなくなりつつある要因は、M&Aやアウトソーシング、ビジネスモデルの多様化、法規制緩和などであるが、最大の要因はテクノロジーの進化だ。異なる業態の産業が重なった領域を占拠した企業がますます優勢になってきている。コンビニも金融機関も運営しているセブン&アイ・ホールディングスは、その一例だといえる。

「テクノロジーの進化」とは、インターネット空間とリアル空間の融合である。その代表例が「IoT(モノのインターネット)」であり、様々なモノをインターネットに接続することで、離れたモノの操作や状況把握がリアルタイムにできるようになる。

放送業界を例にとろう。かつてはCATV事業者がプラットフォームと伝送インフラを担っていたが、現在は、動画配信プラットフォームやインターネットの通信キャリアがその中心を担い、スマホでもテレビでも映像を受信できるようになった。ユーチューブなどの登場で、一般人が簡単に映像を配信できる時代が到来した。

テクノロジーの影響は、農業や住宅、ファッション、医療、教育などあらゆる分野に及ぶ。小売・飲食業界では、オンラインとオフラインを連動させた「O2O」がキーワードになっている。GPSを活用して、レストランの近くにいる人に対し、リアル店舗に誘導するような情報をリアルタイムで配信することができるのだ。

新旧勢力の対立

産業の垣根 の消滅とともに、台頭する新興企業とエスタブリッシュメント(既存企業)との間に新たな対立が生まれている。ビジネスモデルや業態が異なる企業が競合するケースも増えてきた。例えば、採用・転職支援の分野では、成約手数料を収入源とする既存のヘッドハンティングサービスと、人事部と世界の各分野の専門家をつなぐ、LinkedInのようなビジネス特化型SNSが競合関係にある。

決済サービスにおいても、「Squareリーダー」のようなクラウドPOSが、将来的には、高額な決済端末を必要とする専用POSの市場を侵食する可能性が高い。「Squareリーダー」があればスマホをクレジットカード決済端末にすることができ、個人的に取引した相手からクレジットカードで代金を支払ってもらえるようになるのだ。この仕組みの秘訣はクラウドの活用である。こうしたクラウドPOSの利用料は月数千円ほどの低価格で、個人や小規模店での導入が容易というメリットがある。

また、宿泊サービスにおいては、個人の空き部屋をネットで仲介するAirbnbが、ホテルの競争相手となっている。Airbnbには世界190カ国、約3万4000都市の60万室が登録されており、その客室数は巨大ホテルチェーンと同規模にまで成長している。

問題なのは、エスタブリッシュメントが、こうした将来像にきちんと対応してこなかった点なのである。

3C「再定義」時代の到来
robertsrob/iStock/Thinkstock

「産業 ボーダーレス時代」においては、自社、顧客、競合の「3C」が明確に定義できず、従来の戦略フレームワークが通用しなくなっている。中でも顧客の定義においては、ビジネスモデルや収益モデルの多様化により、顧客の範囲が複雑化している。例えば、ゲームアプリ業界では、無料ユーザーを満足させないと有料ユーザーになってくれないという状況のため、どちらが顧客なのかの判断が難しい。

また IT企業の間では、自分たちに足りない技術を補い、新分野に進出するために異業種の企業を買収する動きが活発化している。アマゾンは、ロボット物流システム会社のキバ・システムズや靴販売のザッポスを買収した。

新規事業参入のカギを握るのは、電子機器の受託生産を行うサービス「EMS」である。EMSにより、ソフトウェア企業やWEBサービス企業がハードウェア事業に容易に参入できるようになった。EMS企業のおかげで、自社に設計能力がなくても誰でも格安スマホを作れるようになった。格安スマホベンチャーは、設計・製造・販売を自社で抱え込んでいる大手企業とは違って、製品の企画やデザインに特化でき、非常に短期間で販売に漕ぎつけることができるのだ。

こうした激変する環境下で既存企業が生き残るためには、次の四つの課題に取り組まなくてはならない。

・自社の事業構造を変え、顧客を再定義するなどの「自己否定」を行う

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