インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ

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インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ
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インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ
出版社
晶文社
定価
1,650円(税込)
出版日
2015年01月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ほとんどの人がインターネットでつながったら、人々はいくつもの「小さな村」をつくって、そこで活動するようになった。たとえば、仕事の村や趣味の村、地域の村といった小さなコミュニティのいくつかに、みんなたいてい所属している。その状況はまるでみんなが、限られた範囲の人とのみ交流する原始人になってしまったかのようだ。ただし、原始人は原始人でも、ハイテク機器を操る「原始人2・0」だ。

そうした仮説で現代の状況を捉えつつ、人々は、社会やビジネスはどうなっていくのか、自分たちはどうふるまえばいいのか、ということを対談形式で考察したのが本書である。小林弘人氏は、対談相手の柳瀬博一氏によると、「生きたインターネットビジネス」。インターネット黎明期のビジネス・テクノロジー誌『ワイアード』の日本版編集長を務め、ウェブ文化をリードする翻訳書の監修や、いくつものウェブメディアの立ち上げを行なった。柳瀬氏は、長年書籍編集に携わり、現在は、日経ビジネスのチーフ企画プロデューサーを務めている。

メディア業界、ウェブ業界で働く人にとっては身近な話題がとりあげられているため、なるほどとうなずける部分は多いだろう。また、時代の流れに取り残されないために、あらゆる業種のビジネスパーソンにも、目を通しておくことをお薦めしたい。インターネットによって、時代は、ビジネスは、今も激しく移ろいつつある。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

小林弘人
1965年長野県生まれ。株式会社インフォバーン代表取締役Co-CEO。株式会社デジモ代表取締役CEO。ビジネス・ブレークスルー大学教授。「ワイアード」「ギズモード・ジャパン」など、紙とウェブの両分野で多くの媒体を立ち上げる。日本初のブログ出版、オーディオブック、3Dプリント可能なコンテンツなど、つねに新たなメディアのかたちを追求。1998年、株式会社インフォバーンを設立し、国内外企業のデジタルマーケティング全般からウェブメディアの立ち上げ・運用などを支援。2012年、株式会社デジモを設立し、3Dスキャナーを用いた身体3D化サービスを行う。
主な著書に『新世紀メディア論』『メディア化する企業はなぜ強いのか?』『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』。主な監修・解説書に『フリー』『シェア』『パブリック』『MAKERS』 ほか多数。雑誌『WIRED.jp』 エディトリアル・アドバイザー。「共創」をテーマにしたメディア『cotas(コタス)』の監修を務める。

柳瀬博一
1964年静岡県生まれ。編集者。日経ビジネス チーフ企画プロデューサー。
慶應義塾大学経済学部卒業後、日経マグロウヒル社(現、日経BP社)に入社。雑誌「日経ビジネス」の記者、専門誌の編集や新媒体開発などに携わった後、出版局にて『小倉昌男 経営学』『矢沢永吉/アー・ユー・ハッピー?』『養老孟司のデジタル昆虫図鑑』『赤瀬川原平&山下裕二/日本美術応援団』『板倉雄一郎/社長失格』『武田徹/流行人類学クロニクル』など数百の本の編集を行う。TBSラジオで「文化系トークラジオ Life」「柳瀬博一Terminal」のパーソナリティも。2008年より「日経ビジネス オンライン」のプロデューサー。2012年より現職。プライベートでは、三浦半島小網代の谷の保全を行うNPO法人小網代野外活動調整会議の理事。週末の半分は、山の中でササ刈りをしたり、土木作業を行ったり、カニの数を数えたり、ムシの写真を撮っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    個人も一企業も既存メディアも、全て同等の一メディアと化している現在、人々は自分の周りの10人から100人という原始時代と同じ規模の「村」でコミュニケーションを行なっている。
  • 要点
    2
    「ものづくり」も偏在化、流動化が進み、個人や小さな規模での製品開発が盛んになっている。
  • 要点
    3
    コンテンツや製品の流通のためにも、いかに的確に「村」へ発信するか、もしくは「村」を創造するかということが成功のカギになる。
  • 要点
    4
    新・原始時代を生き抜くためには、全体を見渡せるゼネラリスト、そしてハイテクを操り野蛮な知性を持つハイテク・バーバリアンとなるべきだ。

要約

【必読ポイント!】ウェブとSNSで世界は「原始時代」に戻った?

新・原始人の私たち

インターネットの普及により、世界がつながって、誰もが場所も時間も飛び越えられるようになった。しかし一方で、人々は、スマートフォンを持ち、SNSを利用しつつ、コンパクトなコミュニティをつくっている。いわば、顔が見える範囲で人とつきあう原始時代の人たちのように。なぜそうした状況が生まれたのだろうか。

誰でも情報を発信できるようになったことで、人々の個人的なコミュニケーションは「メディア的なコンテンツ」になった。個人が撮影した写真や映像は、スマホとSNSを経由して発信され、たとえば大きな事故などのニュースは、大手メディアに先んじて情報がインターネットに流れるようになった。

Rawpixel Ltd/iStock/Thinkstock

インターネット上の匿名の情報は信用しにくいが、たとえばフェイスブック上の友達から得た情報ならば、ある程度信用できる。すると、人々は「友達の情報」を「見ず知らずのマスメディアのご達見」より優先し始めるようになる。その結果、従来の何百万、何千万人を対象としたマスメディアのコミュニケーションはなくなり、自分の周りの10人や100人とのコミュニケーションで人々は事足りるようになっていく。人間の脳が「友達」として認識できる上限の人数は原始時代から変わらず、150人ほどだという。そのくらいの規模の原始時代の人付き合いが、現在、インターネット上に再現されている。

メディアや広告は、どう変わる?
marekuliasz/iStock/Thinkstock

従来の雑誌や新聞では、あるパッケージに情報が集約されて提供されていたが、パッケージは崩れ、コンテンツがバラバラに消費されるようになっている。また、ソーシャルメディアの時代では、一人ひとりの個人がメディア化しているので、情報や人材を集めているキュレーターのような個人にフォロワーがつくようになった。

では、メディアがお金をとれる存在であり続けるためには、どうすればいいのか。小林氏は、池上彰氏のような解説者が、メディア界のスターであるという。つまり、パッケージが壊れてコンテンツがリキッド化している今、それらの意味や文脈を解き明かすことのできる解説者や論評者、編集者のような能力が必要とされているという。

従来は、広告がマスメディアの大きな収入源であった。が、現在では一個人と同等に一企業もメディア化しており、企業は直接お客とコミュニケーションをとることも可能になり、広告の意味が減少している。メディアは、広告収入も見込めなくなるだろうか。マス広告が必要なくなるというわけではない、と小林氏は語る。企業メディアで作ったコンテンツを広く知らせるには、マスメディアと連動したほうがいいケースもある。しかし、一方で、費用対効果が見込めない雑誌広告などについては、シビアな時代になってくると予測される。

コンテンツは、どう届ける?

コンテンツのリキッド化によってメディアは分解されてしまうため、ひとつずつのコンテンツの露出方法が大きな課題となっている。「ショッピングモール型から行商型に」、コンテンツの流通形態は変化しているのだ。行商のおばちゃんをお客の属性別にあちこち行かせるように、コンテンツを、キュレーションメディアやソーシャルメディア等のあらゆる経路を経てユーザーに届くようにしなければいけない。

アートもサイエンスも卓越した企業なら、優れたコンテンツを的確な相手に届けることができ、商売繁盛となる。が、伝統的なメディア系企業や広告会社は「いいものを作れば売れる」というアート的な思考が根強く、グーグルや新興キュレーションメディアなど、IT系メディア企業はサイエンス至上主義だ。

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