ひみつの教養

誰も教えてくれない仕事の基本
未読
ひみつの教養
ひみつの教養
誰も教えてくれない仕事の基本
著者
未読
ひみつの教養
著者
出版社
プレジデント社
定価
1,760円(税込)
出版日
2015年03月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「上司が『カラスは白い』と言ったら正しい返事は?」こうした24問の質問にどう答えるかで、あなたの「政治的教養」が問われるという。物の見方や考え方に通じる「政治的教養」を知らないと恥をかくどころか、相手にされなくなる危険がある。こうした「大人の教養」を身につけているかを、クイズ形式でチェックできるのが本書である。

著者は、小泉元首相の首席総理秘書官を務め、現在は内閣官房参与、特命担当となり、政治界きっての黒幕として知られる飯島氏。本書は、プレジデント誌で年間を通して読者人気ナンバー1の座に君臨した連載「リーダーの掟」をもとにしている。誰も表立って教えてくれないが、世界を渡り歩くのに不可欠な教養が、包み隠さず披露されている。扱うテーマは、職場内の敵味方の見極め方や、スキャンダルのもみ消し方、謝罪会見の切り抜け方、ニュースでは知らされない沖縄の真実、世界を動かす交渉など、実に多様で興味深いものばかりだ。

飯島氏の提示するユニークな視点や、物事の裏を見抜いて有利なカードを選び出すしたたかさには、「お見事」と言わざるを得ない。軽やかなタッチで書かれているため、つい夢中になって最後まで読み通してしまうはずだ。本文からにじみ出る飯島氏の豪快さと鋭さ、深い見識を味わいながら、世の中を動かす秘密のルールを身につけてほしい。「組織のなかでプレゼンスを高めたい」、「敵を作らずに権力を手に入れたい」。そんな野望を胸に秘めたビジネスパーソンには必読の一冊である。

ライター画像
松尾美里

著者

飯島 勲
1945年長野県辰野町に生まれる。1972年小泉純一郎の衆議院初当選とともに、その秘書となる。竹下内閣、宇野内閣で厚生大臣秘書官。宮澤内閣で郵政大臣秘書官、橋本内閣で厚生大臣秘書官。小泉内閣で首席総理秘書官。元自由民主党秘書会副会長。永年秘書衆議院議長表彰、永年公務員内閣総理大臣表彰を受ける。現在、内閣官房参与(特命担当)、松本歯科大学特任教授、ウガンダ共和国政府顧問、シエラレオネ共和国名誉総領事、コソボ共和国名誉総領事。
著者に『人生「裏ワザ」手帖』『リーダーの掟』『秘密ノート』他多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    小泉内閣で、政治とカネをめぐる問題が起きなかったのは、著者が閣僚候補を徹底的に調べる「身体検査」を行い、政治資金収支報告書から怪しい領収書が見つかった場合は、ただちに修正させる「クリーニング」をしていたからだ。
  • 要点
    2
    組閣の際は、閣僚名簿の「補職辞令」から、総理大臣が本当に力を入れたいと思っている政策を探ることができる。
  • 要点
    3
    社会通念を逸脱した行為について批判されたときは、価値観の違いだと強弁するのが一番だ。法的根拠のある違反行為を批判された場合は、広報と担当部署が書面の謝罪で済ませるのがよい。

要約

【必読ポイント!】 権力を握る教養

組織の落ちこぼれの正しい扱いは、どっち?

著者は、小泉純一郎内閣、安倍晋三内閣に長くいた経験から、組織を生き抜き、権力をつかむ方法を伝授する。

組織にいる限り、上司や同僚、部下を自らの意思で替えることはできない。では、組織の落ちこぼれに対しては、あえて権限を与えるのか、飼い殺しにするのか、どちらが正しい扱いだろうか。正解は前者である。明らかに能力不足の部下に大きな権限を与えて重用すると、その部下は自分に対して敬意を払うようになる。逆に、優秀な人材を重用しても、本人は自分の実力だと思うだけで、あなたに感謝しないどころか、あなたのことを軽視するおそれがある。人材登用は、敵か味方かどうかで行うのが現実的な知恵だ。

職場内の敵味方をどこで見極めるか?
Alberto Bogo/iStock/Thinkstock

自分の組織で年齢差が5歳以内の人間は、潜在的な敵なのか、もしものときの味方なのか、どちらだろうか。正解は「潜在的な敵」である。小さなことが嫉妬の対象になりえるし、人事の局面でも邪魔者になってくる。よって、水面下では蹴飛ばし合いをする覚悟が必要になる。相手にとっては自分が抹殺対象だったというのは、よくあることだからだ。

逆に、5歳以上離れた先輩や後輩は、自分の味方にしなくてはいけない。先輩なら、自分を真っ先に引き上げてくれるかもしれない。後輩なら、退職後の再就職の世話をしてくれる可能性があるので、大事に扱いたいところだ。

また、成果を上げる人事登用の秘訣は、上司と部下には正反対の性格の人間を据えることである。上司がよく喋り、よく行動する「動」のタイプなら、その直属の部下・参謀には冷静に物事を判断できる「静」のタイプを置くと、組織がうまく機能する。歴代最長の連続在任期間を誇る佐藤栄作元総理大臣は、人事の能力を組閣で発揮した。動の田中角栄、静の福田赳夫という二人をうまく配置し競わせることで、自民党の長期政権を盤石なものにしたのである。

上司が「カラスは白い」と言ったら正しい返事は?

企業の多くが、いい人材の獲得に頭を悩ませている。もし著者が入社試験をするとしたら、「上司が『カラスは白いと思う』と言ったら、どう反応するか。」という問いを就職活動生に答えさせるという。

著者の採点基準はこうだ。ニコニコ笑って受け流すは5点。「白いかもしれません」と弱い肯定をするのは5点。「カラスは真っ白」と断言できれば10点だ。著者なら「白いカラスを連れてきて、やっぱり上司の言うことは正しいと宣言する」という。ここで「カラスは黒い」と言う人は組織に向いていない。組織に理不尽はつきものだ。上司が少しおかしなことを言っても、笑って受け流さなければいけない。

どんな学生を採用するか迷ったときは、面接の場で、デタラメな人間だとわかる態度を取ってしまう学生を採るとよい。そうした学生は怒られ慣れているため、入社後に失敗してもめげないからだ。

小泉政権時代に大臣スキャンダルがなかった理由は?
Digital Vision./iStock/Thinkstock

週刊誌がスキャンダルを報道するのは、スキャンダル情報が手に入ったときではなく、相手が大臣になるなど有名になったときなのである。

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要約公開日 2015.07.30
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