考えすぎる脳、楽をしたい遺伝子

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考えすぎる脳、楽をしたい遺伝子
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考えすぎる脳、楽をしたい遺伝子
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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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定価
1,408円(税込)
出版日
2015年04月23日
評点
総合
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明瞭性
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革新性
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応用性
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おすすめポイント

人間はどうしてこんなに疲れてしまうようになったのか。著者は長年、極限生物の研究で僻地をとびまわり、望んでいないのに体を追いつめてしまう生活を送りながら、そのことを不思議に思ってきた。

私たちの祖先はもともと四足歩行だったのに、あるときから二足で立ち上がることになった。そのため、大きな脳を発達させることが可能になり、人間は高度な文明を築いた。しかし人間の進化の過程で、脳は「楽をする」ことを忘れてしまったのだという。現代人は、疲れているのに夜遅くまで眠らず、テレビをぼーっと見たり、スマートフォンをいじったりしている。これは、生物学的に見るとおかしなことだ。他の動物は睡眠・空腹などの欲求に忠実に従って生活しているのに、人間だけが体の欲求に背いてしまう脳のトラブルを抱えている。

本書で著者は、脳に振り回されずに、生物学的な視点から「生きやすさ」を実現する方法を説いている。たとえば、生物学的に見れば、仕事とは生きる糧を得るための手段である。食べるものを得て、必要なときに休息を取ることができ、楽な状態で働ければそれが一番よい。仕事にやりがいを過度に求めてしまうのは、脳のせいなのだ。どうしてもやりたいことがあるならば、無理してそれを仕事にする必要はなく、週末や老後に実現するという方法もある、と著者は語る。

上記は一例であるが、ストレスや悩みは、案外生物としての自分に注目してみれば解消されてしまうのかもしれない。興味深い視点を提供してくれる一冊である。

ライター画像
山下あすみ

著者

長沼 毅
1961年、三重県四日市市生まれ。ただし4歳から神奈川県大和市で育つ。専門分野は、深海生物学、微生物生態学、系統地理学。キャッチフレーズは「科学界のインディ・ジョーンズ」。海洋科学技術センター(JAMSTEC、現・海洋研究開発機構)勤務を経たのち、広島大学大学院生物圏科学研究科准教授。筑波大学大学院生物化学研究科修了・理学博士。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間が、疲れているのに休まなかったり、自分自身を追い込んでしまったりするのは、脳が発達して「楽をする」ことを忘れてしまったからである。
  • 要点
    2
    人間の性質や個性は遺伝子に決められている部分が多い。自分の生まれながらの性質に合った環境を見つけることが楽な人生への一番の近道である。
  • 要点
    3
    この困った脳から離れるには、脳の判断をとばして行動できる自分のルールを持つとよい。また、脳のコンディションをはるか昔の人類の頃のような状態に戻すため、ただ音や色を感じ、自然の中に身を置くのも効果的だ。

要約

遺伝子を理解すると生きやすくなる

脳に惑わされる私たち
Roman Malyshev/iStock/Thinkstock

人はどうしてこんなに疲れてしまうのだろうか。疲れているなら家で休めばいいのに、3次会に行ってしまう。お腹がすいていないのにシメのラーメンを食べてしまう。体が悲鳴をあげているのに仕事をやめない。こんなに自分を痛めつける生物は人間だけだ。

原因は、私たちの「脳」にあった。こうした行動をとってしまう「欲」「好奇心」「恐れ」は脳が生み出すのだ。

人間の脳は抽象的なことを考えられるのが特徴である。色んなことを脳内で組み合わせ、今までになかったことを作り上げる。私たちの祖先は、この脳を有効に使って、よくしなる枝と弦を組み合わせた弓矢を発明したりしていた。が、今から6000年前、文明ができた頃から、人間はその能力を人間関係に対して使うようになってしまった。そして「悩み」や「不安」など負のものを生み出した。これらが頭の中でずっとぐるぐる巡るような状態になると、脳は一転して人を苦しめ、うつや自殺を引き起こすことにもなりかねない。

人間の脳は、進化の過程で様々な遺伝子が誤用され、転用され、流用される中で偶然に生まれたものだ。しかしながら、「脳」の前に、私たちが人間として発生する時、体の設計図となったのが両親から受け継いだヒトゲノムの「遺伝子」である。遺伝子は人間の体だけでなく行動も生み出している。だからこそ、脳よりも遺伝子のことをまず知るべきではないだろうか。

人は遺伝子の支配下にある
Tomasz Wyszołmirski/iStock/Thinkstock

遺伝子は、人間に大きな影響を与えている。

たとえば、人間には、「オキシトシン」という愛情を呼び起こすホルモン分泌に関わる、「愛情遺伝子」と呼ばれる遺伝子がある。「甘え上手」や「世渡り上手」と言われる人と、「一匹狼」と言われる人の違いは、愛情遺伝子によって決まるホルモン分泌やそれを受け取る受容体の量にあるのかもしれない。「人付き合いに興味が持てない。自分は冷たい人間だ」と悩む人もいるが、それはそういう体を持って生まれただけのこととも考えられるので、気に病むことはない。さらには、人間の暴力性を決める「暴力性遺伝子」の存在も明らかになりつつある。

また、日本人はよく寝る国民と言われており、特に電車内で多くの人が居眠りする光景は海外の人の目には異様に映るそうだ。この光景も遺伝子の観点から考えると、見え方が変わってくる。日本人は、「眠りがちな体質」という特徴を遺伝子的に持っているのだという。遺伝子によって決定づけられる「ナルコレプシー」という睡眠障害があると、日中に突然強烈な眠気に襲われる。日本人がナルコレプシーを発症する割合は、欧米の人に比べると倍にのぼるそうだ。自分に必要な睡眠時間は遺伝子で決まっており、どうにかなるものではない。どうしても昼間耐え難い眠気が来る人は、長時間働かなければならない仕事は避けてしまうのがいいかもしれない。

睡眠に関することだけでなく、日本人がお酒に弱いのも遺伝子的な特性といえる。お酒が飲めない人は、遺伝子レベルでお酒を分解する酵素の活性が低いのだから仕方ないのだ。

遺伝子の影響はなんとか変えようとして変えられるものではないので、無理に変えずにその性質を活かす方法を考えるのがよい、と著者はいう。

【必読ポイント!】自分の個性を知る方法

遺伝子が決める、その人自身の「ランドスケープ」

遺伝子は、人間の行動や情動だけでなく、歌がうまい、スポーツが得意であるといった個性も決定づけている。遺伝子で決められた、その人自身の能力の凸凹を、著者は「遺伝的なランドスケープ(風景)」と呼んでいる。

足りない部分は努力である程度カバーできるが、自分のランドスケープに合った生き方を見つけることが楽な人生の一番の近道である。「これは向いていないな」と感じることを素直にやめてしまえないのは「脳」のせいである。

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