なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか

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なぜ、あの会社は女性管理職が順調に増えているのか
出版社
出版日
2015年04月09日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「管理職候補の女性が昇進したがらない」。「女性を育成できる男性上司の条件が知りたい」。「時短勤務の女性社員が増えて困っている」。どれか一つでも自社に当てはまる方は、ぜひ本書を手に取っていただきたい。

2015年の国会で成立が見込まれる「女性活躍推進法」。成立すると、従業員数301人以上の企業に女性活躍のための数値目標や行動計画作成が義務付けられると言われている。2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするという政府の目標が、遅かれ早かれ掲げられることになるだろう。そんな「女性活躍、待ったなし」の状況に、どう対応していけばいいのか。

本書は「日経WOMAN女性が活躍する会社ベスト100」にランクインした企業20社の女性管理職・経営人材育成に関する戦略と、具体的な施策をまとめた一冊である。資生堂、ANA、セブン&アイ・ホールディングス、アクセンチュア、日産自動車、カルビーなど、女性活躍の先進企業がズラリと並ぶ。

女性が離職せずに働いてもらうためには何が必要か。女性管理職を増やすために効果的な施策とは何か。こうした様々な課題を解決するヒントを本書から得て、活用してほしい。また、「ダイバーシティマネジメント」が重要視されるようになった背景を俯瞰したい方にとっても、本書は、うってつけの一冊となっている。経営者や人事担当者、管理監督職の方には、ダイバーシティマネジメントと女性の活躍推進に向けた必携の実践例集として本書をおすすめしたい。

ライター画像
松尾美里

著者

麓 幸子(ふもと・さちこ)
1984年筑波大学卒業。同年日経BP社入社。88年日経ウーマンの創刊メンバーとなる。06年日経ウーマン編集長。09年日経ウーマンオンライン編集長兼務。12年ビズライフ局長。日経ウーマン、日経ヘルスなど3媒体の発行人となる。14年から現職。2014年法政大学大学院経営学研究科修士課程修了(キャリアデザイン学修士)。内閣府委員(仕事と生活の調和推進のための啓発のあり方に関する調査研究企画委員会)、林野庁委員(木材利用ポイント事業有識者委員会)、経団連・21世紀政策研究所研究委員などを歴任。経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」サポーター。筑波大学非常勤講師(ジャーナリズム論・キャリアデザイン論)。所属学会:日本労務学会、日本キャリアデザイン学会、日本産業カウンセリング学会。一男一女の母。著者等に『なぜ、女性が活躍する組織は強いのか?』(日経BP社)、『企業力を高める―女性の活躍推進と働き方改革』(共著、経団連出版)、『就活生の親が今、知っておくべきこと』(日本経済新聞出版社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本企業では「日本人、男性、フルタイム勤務、残業可能、転勤可能」である人材を「適材」として、人材活用の仕組みがつくられている。女性や時間・勤務地の制約がある人材、多様なライフスタイルを選択している人材が活躍できる組織への改革が不可欠である。
  • 要点
    2
    女性の活躍を推進する際、自社の女性活躍の現状を踏まえて、女性の採用にくわえ、各キャリア段階での女性の定着、育成を積極的に進めることが重要だ。女性の意欲向上策と両立支援策を、「車の両輪」として同時に進めていかなければならない。

要約

【必読ポイント!】 ダイバーシティマネジメントと組織の変革

女性の活躍の場を増やすには?

ダイバーシティマネジメントとは、多様な属性や価値観などを持った人材あるいは人材の多様性を活かせる組織の構築を目指すことだ。その目的は、企業経営の活力や創造性を高めることである。

日本企業は、「日本人、男性、フルタイム勤務、残業可能、転勤可能」である人材を「適材」として、人材活用の仕組みがつくられている。そのため、「適材」に該当しない社員は能力開発や能力発揮の機会を与えられない。「適材」に該当する人が減少する今、女性や時間・勤務地の制約がある人材、多様なライフスタイルを選択している人材が活躍できる組織への改革が不可欠になっている。

2013年6月に閣議決定された成長戦略では、「女性の活躍推進」が打ち出された。「指導的地位(民間企業では課長相当職以上)に女性が占める割合を、2020年までに少なくとも30%とする」という政府目標と、企業の現状には、大きなかい離がある。目標達成のためには、企業総覧に管理職数が男女ともに記載された814社に絞っても、2020年までに2012年の約6倍の女性管理職を育成、登用しなければならない。しかし、女性管理職登用の現状は企業ごとに大きく異なるため、一律にすべての企業が上記の目標を達成することは厳しいだろう。そこで、自社の女性活躍の現状を踏まえ、女性の採用にくわえ、担当職、主任、課長などの各キャリア段階での女性の定着、育成を積極的に進めることが重要である。

重要なのはトップのコミットメント
Purestock/iStock/Thinkstock

企業が女性の活躍を推進する際、何よりも重要なのは、女性活躍の重要性を組織のメンバーで共有することである。トップがこの問題に強くコミットし、その姿勢を明確に発信することが不可欠だ。例えば、ダイバーシティ経営を進めている日産自動車では、カルロス・ゴーンCEOが、行動指針や人事評価、人材配置にもダイバーシティの概念を組み込み、その価値を組織に浸透させてきた。人事戦略に関わる取り組みは、トップの強力なリーダーシップのもと、トップダウンで進めることがカギである。

そのうえで、女性の就業意欲を向上させる取り組み(意欲向上策)と、就業継続が可能な働き方への変革を進めること(両立支援策)を「車の両輪」として同時に進めていかなければならない。

働き方改革の推進を
Nikolay Suslov/iStock/Thinkstock

女性が管理職に登用されない背景には、女性が昇進を望まないという実態がある。それは、管理職になると「男性並みの働き方」が要求されるという現状があるからだ。現に、育児休業制度や短時間勤務制度の利用者には、責任のある仕事を任せにくい、異動をさせにくいということで、キャリア形成にマイナスの影響が及び、女性本人も仕事へのモチベーションが低下してしまうという例は多い。

女性の活躍推進のためには、男性正社員の働き方そのものを問い直すことが重要な課題となる。長時間労働を前提とした日本の働き方を変えないことには、育児や介護責任を担う従業員や、個人のライフスタイルを重視する外国人にとっても魅力ある職場にはなり得ない。また、長時間労働を評価または容認する風土があると、働く人のモチベーションや生産性は低くなる。さらには、非効率な業務遂行プロセスに対する課題認識が甘くなり、無駄なコストがかかってしまう。

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要約公開日 2015.08.13
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