アンガーマネジメント

怒らない伝え方
未読
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怒らない伝え方
未読
アンガーマネジメント
出版社
かんき出版

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出版日
2015年05月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「怒ってはいけない」。怒ることは悪いこと、恥ずかしいこと、感情的になるのは大人気ない、怒ったら嫌われる、と思っている人は多いのではないだろうか。

人は怒りに対してマイナスのイメージを抱きがちだが、しかしそれは思い込みなのだ。怒りは自然な感情であり、感じてもいいし、怒ってもいい。無理に抑えたり、感じないようにしたりするのは、逆に不自然な行為である。大切なのは「アンガーマネジメント」を知り、怒りの扱い方と怒らない伝え方を工夫することだ。

ある調査によると、現在、日本では9割のビジネスパーソンが、仕事で怒りを感じているという。それなのに、怒ることで人間関係を悪くしたくないという思いから、怒れない人が急増しているそうだ。だが、そうするとストレスが蓄積し、心や身体に不調をきたす。溜めた怒りが爆発し、相手と修復不能な関係になってしまうこともある。

本書では、日本アンガーマネジメント協会の理事である著者が、たくさんの具体例と共に、怒ったときの自分の感情への対処法、そして感情の伝え方をアドバイスしている。咄嗟にできる対処法も書かれているので、様々なシーンで役に立つだろう。また、感情の伝え方を身につけると、ムダな怒りがなくなり、生きるのがラクになる。周囲との関係がよくなり、仕事の生産性も高くなるなど、多くの良い効果を得られるようになる。

怒りは悪いことと思っている人、またその感情をうまく伝えられずにストレスを感じている人にぜひ読んでいただきたい。

ライター画像
山下あすみ

著者

戸田 久実
アドット・コミュニケーション(株)代表取締役。日本アンガーマネジメント協会理事。立教大学卒業後、大手企業勤務を経て研修講師に。銀行・製薬会社・総合商社・通信会社など、大手民間企業や官公庁などで「伝わるコミュニケーション」をテーマに研修や講演を実施。対象は役員、管理職、リーダーや女性リーダーまで幅広い。
講師歴24年。とくに人間関係の悩みがなくなる「言葉がけ」に特化したコミュニケーション指導に定評があり、年間受講者数は毎年5000人を突破。これまでの指導人数は10万人に及ぶ。
現在、約8万人が受講し、ファシリテーター、キッズインストラクター登録者数がのべ2100名を超える日本アンガーマネジメント協会にて理事を務め、ファシリテーターの育成やスキルアップ勉強会の講師を担当している。
著者に『ゼロから教えて接客・接遇』『アドラー流 たった1分で伝わる言い方』(いずれもかんき出版)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    怒りは人間にとって自然な感情で、決して悪いことではない。怒りの感情をマネジメントする、アンガーマネジメントに取り組むことで、怒りと上手に付き合えるようになる。大切なのは、怒りのもとになった自分の価値観が何かを知り、怒ると決めたことは適切に怒りを伝えることである。
  • 要点
    2
    上手に感情を伝えるには、お互いの主張や立場を大切にした自己表現、アサーティブコミュニケーションを目指すといい。相手の人格を否定せず、どうしてほしかったかを具体的に、対等な立場で伝えよう。

要約

怒りとは

まずは「怒り」を知る
Wavebreakmedia Ltd/Lightwavemedia/Thinkstock

怒りとは、人間にとっては自然な感情で、うれしい、楽しい、悲しいなどと同じものである。しかし、怒りは他の感情と比べると強いエネルギーを持っているため、怒りにまかせた言動をして後悔したり、心がかき乱されるような思いをしてしまったりすることが多い。

怒りの前には「こうしてほしい」などの本来わかってほしい感情の「一次感情」があるはずで、怒りそのものは二次感情といえる。怒りをもつと怒りの感情だけが表に出てしまうため、相手に本来理解してほしい気持ち、一次感情を理解してもらえないままになってしまう。怒りを感じたときは、まず何に対しての怒りなのか、何をわかってほしいのかに目を向け、それを相手に伝えるにはどうしたらいいのかを落ち着いて考えることが大切だ。

怒りの感情をマネジメントするトレーニング、アンガーマネジメントに取り組み、自分の怒りの傾向や程度を知ることで、怒りと上手に付き合えるようになろう。

怒りの原因となるもの

怒りについて知っておきたいポイントは、①怒りは感じてもいい、②怒ってもかまわない、③怒りは悪い感情ではない、の3つである。大切なのは怒ることと怒る必要のないことを区別することである。

怒りの原因となるのは、その人の「ゆずれない価値観」=「○○であるべき」と思うことであり、自分の期待、理想が裏切られたときやそのとおりにならなかったときに生まれる感情である。だが、自分にとっての「当たり前」と相手にとっての「当たり前」は違う。イライラすることが多い場合は、自分にとっての「べき」を洗い出してみよう。例えば、玄関で脱いだ靴はそろえるべき、メールは24時間以内に返すべき、などは自分にとってだけの「べき」で相手にとってはそうではないかもしれない。時間は守るべき、挨拶は守るべき、など多くの人が抱く「当たり前のべき」もあるが、「べき」は人それぞれ「程度」が違うことも理解すべきだ。自分の「べき」と「程度」はどれくらいなのか、それらは周囲の人と同じなのかをお互いに明確に伝え合うことをすれば、ズレがなくなってくる。

怒る/怒らないの境界線を明確にする
kayintveen/iStock/Thinkstock

怒ると決めたことには適切な怒り方ができるように、怒らなくていいことには怒らなくて済むようになるためには、「怒る」「怒らない」の境界線(「べき」の許容範囲)を明確にすることが大切だ。

その際に心がけたいことは、まず、境界線を広げる努力をするということ。自分の「べき」の許容範囲が狭いとイライラしがちになるが、ほかの人にはそれぞれの「べき」があるか

どうかを確かめ、自分の「べき」を相手が知っているかどうかを振り返ってみよう。すると、少し許容範囲が広がり、イライラを軽減できる。

次に、境界線を伝える努力をすること。自分の「べき」を相手に伝え、何をどうして欲しいかを具体的に伝えることで、ズレがなくなっていく。

そして、境界線を安定させる努力をすること。自分の機嫌によって、境界線をコロコロ変えると相手を困惑させてしまう。境界線を自分の機嫌によって広くしたり、狭くしたりすることのないようにしたい。

【必読ポイント!】 感情の伝え方

感情をうまく伝えられる人の法則

感情をうまく伝えられない人には、怒りを人や何かのせいにする、嫌われたらどうしようと心配しすぎてしまい自分の正直な気持ちを言えない、怒りを溜め込みすぎて突然爆発させてしまう、などの特徴がある。

一方、感情をうまく伝えられる人には5つの法則がある。

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要約公開日 2015.09.22
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