世界が一瞬で変わる 潜在意識の使い方

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世界が一瞬で変わる 潜在意識の使い方
出版社
出版日
2015年08月24日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

「自分ばかり怒られる」、「どうしても理解されない」、「なかなか距離が縮まらない」。こうした人間関係やコミュニケーションのズレに悩まないためのカギを得られるのが本書である。

私たちはコミュニケーションの知識や技術を習っていない。自分自身の経験を通して、無意識のうちに思い込みや信念を抱き、自分のルールでコミュニケーションをとっているため、毎日のように摩擦や、衝突、葛藤を味わうことになってしまう。しかし、本書のベースとなる「マインドーム理論」を学び、人間の活動の99%を占める「潜在意識」のメカニズムをつかむと、次のような効果を得ることができる。「相手を理解する余裕ができる」、「どんなタイプの相手でも大丈夫と思える」、「喜んで自分に協力してくれる味方が増える」など、多岐にわたる。

著者自身が、潜在意識に働きかけることで、極度の人間不信を乗り越え、現在では組織や個人のコンサルティングで現場や人間関係の課題を解決に導いているという。本書では、潜在意識の重要性や、潜在意識をつくりだすメカニズム、潜在意識の扉の開き方、潜在意識の活用事例と効果を学べるようになっている。「存在を否定されても心が折れないようになる方法」や「嫉妬の気持ちをなくす方法」、「すべてが好転する営業スタイルを確立する方法」など、読んだそばから実践できるポイントが目白押しだ。

悩みの裏に潜む、もっと根本的な問題にアプローチするための必読の実用書として、本書をおすすめしたい。

ライター画像
松尾美里

著者

石山喜章(いしやま・よしあき)
株式会社CCO代表取締役、マインドームコーチ。
1977年、鳥取県生まれ。埼玉大学理学部卒業後、IT系コンサルティング会社に入社。営業目標の3倍の売上を達成し、社内MVPを授与される。その後、エッジ株式会社(後のライブドア)にスカウトされ、数々のメディア戦略、マーケティング戦略を統括し、同社の成長を支える。ライブドア事件を機に2007年より活動範囲を人材育成事業に拡げ、NR JAPAN株式会社を経て、株式会社CCOを創業。
現在は組織開発コンサルティングを行い、社員自らが潜在意識の構造を理解することを通して、現場の問題・人間関係の悩みを自ら解決できるような研修・コーチング等を提供している。問題の本質に迫るアプローチは定評があり、トヨタをはじめとした大手企業からも研修依頼がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    良い人間関係を築けている人は、自分の潜在意識を理解し、自分と相手の認識をすり合わせ、事実を確認する習慣ができている。自分とは異なる価値観を理解するには、自分の判断基準を手放すことが大事である。
  • 要点
    2
    潜在意識を変えるには、自分の言動や思考のパターンを観察して潜在意識を見ること、自分の判断基準を生み出した過去を、事実と解析に分けて整理すること、そして、新しい判断基準を持った場合に訪れる未来をイメージし、新しい判断基準を選択するというステップを踏む必要がある。

要約

人間関係がうまくいっている人は潜在意識を使っている

すべての答えは「潜在意識」にあり

世の中の成功者や、自分の人生を肯定できている人は、自分の潜在意識を理解し、他者の潜在意識も理解できているため、良い人間関係を築くことができている。

潜在意識を理解するには、「観点」、「判断基準」、「認識」がキーワードとなる。コミュニケーションが苦手な人は、自分の観点に固執して、自分が持っている判断基準に無自覚であるうえに、自分の思い込みを事実と混同しがちである。一方、人間関係をうまくつくれる人は、自分と相手の認識をすり合わせ、事実を確認する習慣ができている。まずは、潜在意識の構造を理解することが、コミュニケーションのスキルを上げる近道だ。

「できない」という思い込みを捨てる

人間の活動には、意識と無意識がある。無意識には次の3つの深さがある。

(1)経験が蓄積されたことで無意識に移行したもの

(2)生まれてから死ぬまで無意識に続く生命維持活動

(3)すべての生命を成り立たせている集合的無意識

本書では、1つ目の段階、すなわち潜在意識にアプローチしていく。例えば、過去の経験から「期待しても裏切られるから、最初から距離を置こう」と考える人がいるとする。自分が思い込んだ通りに行動して結果が出ると、「やっぱり裏切られた」と解析し、こうした「非道理的な思い込み」がさらに強化され、維持されてしまう。

無意識になったものを意識化させる仕組みを知ることで、思い込みを根本から変えることができる。

潜在意識の構造
(C)iStock.com/jgroup

人間の意識の99%は潜在意識であり、表情や言葉、行動などの顕在意識はたった1%の氷山の一角である。潜在意識は浅い順に並べると、次の5つの階層を持っている。1、2階層目は表情や言葉、行動を生み出している「考えや感情」である。3階層目は、過去の経験をベースにして考えや感情を生み出している「イメージ」であり、先入観や判断基準などを含んでいる。そして、4階層目は、やる気やモチベーションなどの「エネルギー」である。さらに5階層目は、人種や性別、肩書きなどを通じて自分自身をどう捉えるかという「アイデンティティ」である。

潜在意識を活用するには、4つのステージを経る必要がある。ステージ0では、自分の思い込みを前提に考えが堂々巡りしている状態だ。次にステージ1では、自分の経験に基づいた価値観だけをベースにコミュニケーションをとっている状態である。ステージ2に進むと、相手の背景にある考えを理解し、相手の立場に立って対話できるようになる。つづいて、「マインドフルネス」と呼ばれるステージ3では、目の前の事象に判断を加えず、「いま、ここ」を認識し、多様な価値観を受容できるようになる。

この変化のプロセスを意識してみると、自分の成長段階が手に取るようにわかるはずだ。

人間の判断基準を見える化したマインドーム
(C)iStock.com/Nastia11

マインドームとは、マインド(心)とホーム(家)を合わせた造語で、各人が持つ判断基準のことである。このマインドームが行動や人生の範囲を左右する。

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要約公開日 2015.10.14
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