心臓外科医がキャリアを捨ててCEOになった理由

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心臓外科医がキャリアを捨ててCEOになった理由
出版社
東洋経済新報社
定価
1,650円(税込)
出版日
2015年08月13日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

女性の医師や研究者、経営者は、今でこそ珍しい存在ではなくなっているが、現在60代の著者は、「女性だから」という理由で目的を実現できなかったり、挫折しそうになったことがあった。しかし、彼女は決してあきらめない。理学部に入学し、「女性では研究者になるのが難しい」と知れば、「女性でも自立できる医師免許取得」をめざして再受験し、医学部に入り直す。「女性だから京大の心臓外科に入局させられない」と言われれば、可能性のある別の機関でチャンスを待つ。それがうまくいかなければ、さらに交渉し、自分が求める道に向かって邁進していく。

そして、困難や挫折に向き合うたびに、著者は経験を深め、キャリアを磨き、自身も「強く」なっていくのである。研究者としてスタートした企業では、人工心臓の開発と販売に取り組み、最終的には経営のトップに立つ。

経営者として成功したのは、彼女が困難を克服して自分の人生を切り拓くことで身に付けた精神力と、医師と研究者、双方の経験があったからだと言えるだろう。著者の高校生時代の夢は「研究者になってノーベル賞をとること」だったという。当時、今のような「リケジョ」ブームがあり、女性の研究者が認められていれば、研究者としての道でも功績を残しただろうと思えるほど、彼女の意思の強さは際立っている。

本書の内容は人生で大きなチャレンジをしている人であれば、男女を問わず共感することが多いはずだ。志ある多くの人が、彼女の半生に大いに勇気づけられることだろう。

著者

野尻 知里
1952年愛知県生まれ。大阪府立北野高等学校を卒業したのち、京都大学理学部に入学。卒業後の進路が「学校の先生」か、「お茶汲み」しかないという現実にぶつかり、京都大学医学部を受験し直し、再入学。その後、小倉記念病院、熊本赤十字病院、東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所などで、心臓外科医としてのキャリアを歩む。1986年に医学博士号取得、同年から1989年まで米国ユタ大学に留学。
臨床の現場で救えない命を救いたい、という思いから1991年よりテルモ株式会社で人工心臓の開発に従事。2003年に同社米国法人テルモハート社長兼CEOに就任。プロジェクトは4人のメンバーからスタートし、数年後には12カ国約150人の部下を束ねるまでになる。
日本イノベータ大賞(2007年)受賞、日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2008」で総合ランキング1位、リーダー部門1位。
現在は東京大学COI(センター・オブ・イノベーション)研究推進機構で、国民の健康増進を目指す国家プロジェクトの副機構長を務める。
プライベートでは42歳で出産を経験し、一女の母。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分が本当にやってみたいことが原動力になる。信念があればバッシングも自分の力にすることができ、うまくいかないことも乗り切れる。
  • 要点
    2
    著者はスタッフを応援し、共に喜びを分かち合うチアリーダー的経営者を目指した。コミュニケーションをとることに努め、対外的にはタフに交渉してチームを守った。
  • 要点
    3
    仕事やキャリアに壁や悩みはつきものである。そんな時は自分の心の声を素直に聞くと、挑戦への意欲が自然に湧いてくる。

要約

世界で通用する「仕事力」を磨く

臨床の現場で救えない命を救いたい
©iStock/monkeybusinessimages

心臓外科医として経験とキャリアを積んできたが、医療の現場では救えない患者もいた。手術で助けられない患者を救えるようになりたいと常に考えてきた。

そのためには心臓移植か人工心臓を用いた治療しかない。当時、心臓移植がタブー視されていたことから、著者は人工心臓で、より多くの患者を救うことに賭けてみたいと思い、39歳で医師から研究者になった。

当時、日本では「体内埋め込み型」人工心臓の開発を国が関わる形で進め、所属するテルモも主幹企業として参加していた。日本の人工心臓開発は欧米よりも遅れ、部品や材料の供給企業の不足が不安だった。訴訟リスクを冒してまで、部品や材料を供給しようというメーカーが少なかったのだ。また、国が目指す人工心臓の方向性が自分たちの目標と異なり、ジレンマに陥った。

成功を誓いアメリカで開発に取り組む

そして、著者のグループはアメリカに開発拠点を置く決断をした。「日本の研究費を使ったのに」というバッシングもあったが、持ち前の反骨心から「必ずアメリカで成功する」と誓った。

人工心臓の開発は、実際に製品に落としていくのが難しく、特にポンプやコントローラーの小型化をクリアした製品仕様にするために寝る間を惜しんだ。製品仕様決定後はメーカー探しや、製品が組み上がった後の試験や実験に関する仕事などやるべきことが山積していた。限られたリソースでそれらをこなせたのは、スタッフの「火事場の馬鹿力」が大きかった。

同僚兼夫の大きな支え

アメリカでの初期の開発メンバーの1人である木島利彦と著者は、研究を共にするうちに親密になって結婚、著者が42歳の時に第一子を出産した。

失敗したり落ち込んだりした時、穏やかな木島は温かく見守り、著者の仕事を誰よりも理解していた。著者にとってかけがえのない支えとなっていた。働く女性にとって結婚や出産は難しい問題だが、著者の回答は、「自然にまかせるのが一番」だ。

【必読ポイント!】スタッフと喜びを分かち合う経営者に

CEOへの抜擢
©iStock/Jirsak

渡米から3年目の2003年1月、著者のチームはテルモ100%子会社「テルモハ―ト」となり、社員は30人に増え、著者はCEOに抜擢された。

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