最強のリーダー育成書 君主論

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最強のリーダー育成書 君主論
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最強のリーダー育成書 君主論
出版社
出版日
2015年10月31日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

マキアヴェリの『君主論』といえば、「君主であるためには残虐非道をよしとする非情の書」という認識を抱いている人も少なくないのではないだろうか。しかし著者が読み解く『君主論』は、それとは大きく異なっている。マキアヴェリは正義を為すことの大切さを否定しているわけではなく、正義の重要性について強調しているという。あくまで彼は現実主義的な立場に立って、大切な祖国を守るための統治術を提案するために『君主論』を執筆したのだ。現代においても自分の愛する人や組織を守ろうとする人にとって、大切な教訓が詰め込まれている書物であるというのが本書の見解である。

『君主論』の主張は、「いかにして敬意を獲得するか」ということに集約されるといってもよい。敬意を勝ち取るために何をなすべきか、そして敬意を受け続けるために何をしてはならないのかが、様々な観点から解説されている。敬意というものを基準に考えてみると、リーダーが時として残酷で冷酷な決断をしなければならないということも、圧政を強いるだけの独裁者になってしまってもいけないことも見えてくるだろう。無分別に振る舞うのではなく、全てに意図を持って行動する、用意周到さこそがリーダーに求められる資質なのである。

本書は優れたリーダーを目指している人だけではなく、守りたいものがある全ての人にとって読む価値がある。上辺の人間関係を重視するのではなく、その奥にある本質を見据えた上で行動できる人間を志す者の背中を、力強く後押ししてくれる一冊だ。

著者

鈴木博毅
ビジネス戦略、組織論 、マーケテイングコンサルタント、MPS Consulting代表。
1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。貿易商社にてカナダ・オーストラリアの資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略論や企業史を分析し、新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。『「超」入門 失敗の本質』『古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室』(以上、ダイヤモンド社)、『実践版 孫子の兵法』(プレジデント社)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    情に流されることなく、常に状況を見極めて行動をするように心がけることが肝要である。情は視野を狭くし、自らの行動の幅を狭めてしまう。
  • 要点
    2
    期待されている時期に、問題解決に努め、素早く大胆に行動し、この人は必要不可欠な存在であると他人に思わせよ。また、どのような経緯でリーダーになったとしても、常に努力を怠ってはならない。
  • 要点
    3
    リーダーは、多くの人の不満を解消し、夢を代弁するような正義を掲げねばならない。悪事を為す時のように緊張感を持ち、計画性を持って正義を実行するべきである。

要約

リーダーたるもの冷酷であれ

続かないことはしてはならない
liorpt/iStock/Thinkstock

優れたリーダーになるためには、継続してできないことに手を出すことを控えるべきであり、慎重に判断を下さなければならない、とマキアヴェリは説く。その一つの例として、安易に人気を稼ぐための行動をしてはならないということが挙げられる。例えば、奢ることで人気を稼ごうとしても、果たしてそのような行動が長く続くだろうか。ずっと施しを受けている人間は、それを当然のことであると考え始め、感謝することも忘れてしまう。そして一度優しく接することを止めてしまえば、かえって悪印象を招くことになる。このように、続かない行動を取る人間は、やがて他者からの尊敬を失う結果になるだけである。

同じ例についていえば、普段はひたすらケチに徹したほうが遥かに合理的である。実際に歴史上、偉業をなし遂げたリーダーはケチな人物ばかりであった。貯蓄をし、将来の重要な事業のために役立てるように務めよう。資金があれば、他人から見くびられることもなくなる。リーダーにはいざという時のために、常に備えておくという心構えが求められるのである。

情はしがらみである

組織を統率するリーダーに求められているのは、言うまでもなく結果である。そのためには変化していく状況に対して、常に柔軟に対応していく心構えが必要である。リーダーになろうとする者にとって、温厚さや優しさは必要のない資質であるとマキアヴェリは指摘している。情を持って判断しようとすると、視野が狭くなってしまい、適切な判断が下せなくなってしまうこともある。下手な温情をかけたせいで、かえって自分にも相手にも悪い結果を生むことにつながりかねないのだ。

リーダーに求められているのは、自分の集団を健全に存続させ、他の集団に勝つことである。ときに大胆な決断をするためには、ある種の残酷さが必要になることもある。なによりも優先するべきは成功であることを肝に銘じよう。最初に交わした約束ですら、成功のために不必要と判断したのなら反故にする勇気も必要だ。情というしがらみから自由になることによって、適切な判断が導かれるのである。

権力・支配力の源泉

権力を愛し、学ぶ
Fuse/Thinkstock

良きリーダーになるためには、なによりもまず権力を愛するようにならなければならない。「権力は良いもの、便利で大切なもの」と考えることが大切である。権力に執着しない人間は、従属状態から解放されることのないまま人生を終える。権力を愛し、組織内の権力構造を見極めるように努めよう。そうすることで、組織内でどのように立ち回り、適切な判断を下せばよいかがわかるようになる。

また、そのためには、

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要約公開日 2016.02.13
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