日本では従来、生え抜き社長が当然とされてきた。が、人間関係のしがらみがあって改革をしづらいなど、生え抜きならではのデメリットがある。また、業界への知見がときに新しい着想に基づいた行動を妨げることもある。
そこで、社内の人材ではできないような視野や実行力を持った人に、会社を改革し、発展させてもらうため、経営者や親会社、株主などがプロ経営者に会社を任せることになるというわけである。
プロ経営者は、ほとんどがヘッドハンターによってスカウトされている。ヘッドハンターはまず、企業のニーズに合った人材を探す。人の推薦や人脈をたどって本人にアポイントを取り、話を進めるというやり方をする。
経営者のポジションの採用では、その人物について、犯罪歴や学歴、交友関係などの身辺調査とともに、元同僚、部下、取引先への周到な調査が行われる。企業でそれなりのポジションの人の情報はどこまでもトランスファブル(持ち運びできる)なものであり、前職の悪評は次のキャリアに影響してしまう。
大学を卒業して入社し、そこで社長になることは非常に難しい。毎年社長のポストが空くわけではないし、仕事で業績を上げてきても、偶発的な条件に左右されてしまうこともある。企業、とりわけ大企業で社長になることは「宝くじに当たるより難しい」と言われている。
一方で、もっと確率の高い方法で起業のトップに立つことができる方法が、「プロ経営者」であるともいえる。
プロ経営者は、つねに企業において実力を発揮できるよう、異分野であっても勉強をし、あるレベルに到達していなければならない。そのレベルに達しようと努力を続け、将来に向かって努力し続けるような人でなければ、会社を任されるということはない、という厳しい面もあるが、情熱や実力を持て余している人には刺激ある選択肢となるはずだ。
プロ経営者は、主に外資系企業、ファンド系企業、オーナー系企業から探し求められている職種だといえる。それぞれの職種について、どのような機会を与えられ、どのようなリスクを負うかを紹介しよう。
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