外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術

未読
外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術
外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術
著者
未読
外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術
著者
出版社
KADOKAWA
出版日
2015年10月17日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者の山口周氏は、大手広告代理店、外資系戦略コンサルティングファーム、組織開発専門の外資系コンサルティングファームを渡り歩き、そのかたわら、講師・教員としても活躍している。華々しいキャリアだけ見ると、MBA(経営学の学位)を取得していたというような下積みがあるのでは、と思ってしまうだろう。しかし、著者が大学や大学院で学んだのは美術史で、経営学についてはまったくの独学だという。そこで登場するのが読書だが、単純に読書量を増やすだけではたして仕事の成果につながるのだろうか。著者は「量は必要条件ではあるが、十分条件ではない」と述べている。問題なのは、その量ではなく、何をどう読み、読んだ後どうするかだ。

本書では、読むべき本を「ビジネス書」と「リベラルアーツ(教養)」とで分け、それぞれにおすすめの読み方を示している。中でも、リベラルアーツを「今すぐ役に立たなくても、いずれ必要になるかもしれないもの」とし、世界という海から読書によって情報という魚を拾い上げ、さらにいつか調理するために泳がせておくための「イケス」つまりデータベースを作っておこう、というのは興味深い。

他にも「少なくともこれは読むべき」とセレクトしたビジネス書を分類した「マンダラ」を付け、巻末の特別付録ではそれらの簡単な書評を添えているのも特徴だ。この「イケス」と「マンダラ」の組み合わせで「人と差別化するための読書」を実践してみてはいかがだろうか。

ライター画像
下良果林

著者

山口 周(やまぐち・しゅう)
株式会社 ヘイ コンサルティング グループ ディレクター。1970年、東京都生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、A.T.カーニー等を経て2011年より組織開発を専門とするヘイグループに参画。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成、キャリア開発、新しい働き方研究。

本書の要点

  • 要点
    1
    読書は消費ではなく投資だとすると、もっとも大きなコストは本代ではなく読書にかける時間ということになる。したがって、たいして本から得られる情報がなくても「本代がもったいないから」とだらだら読み続けているのはムダな行為といえよう。
  • 要点
    2
    読んだ内容は忘れてしまうもの。したがって、忘れてもいいような仕組みが重要だ。まず、気になる箇所に線を引き、優先順位を決める。そして抽象化した要素と、本に書き込んだ仕事への示唆をあわせてデータベースに転記するという「知的ストック」を作成しよう。

要約

「仕事につなげる読書」6つの大原則

読書は「消費」ではなく「投資」だ
feedough/iStock/Thinkstock

読書には2つのタイプがある。それは、ビジネスパーソンとしての基礎体力を作るためビジネス書を狭く深く読む形と、ビジネスパーソンとしての個性を形成するための教養書を広く浅く読む形、である。

ビジネス書を狭く深く読むのは、定番・名著とされる本の数が少ないためだ。また名著の場合ビジネスに直結する示唆が得られるため、読了後に記憶や情報の整理をしなくともよい。一方で教養書の場合は、すぐビジネスや個人的な課題に結びつかなくても、後で立ち返ったり参照したりするため「読書ノート」を作成しておくことが必要だ。

読書に対する考え方も見直す必要がある。「せっかく買った本だから最後まで読み通さねばもったいない」という考え方で、自分の時間という希少な資源をムダにしている人が多い。そもそも読書は、本代の「消費」としてとらえるのではなく、本代+自分の時間を原資とし、知識や感動、あるいは仕事上の評価や昇進・昇給といったリターンを得るための「投資」として考えるべきだ。よって、読書時間をかけてもその分の見返りとしての知識や感動などが得られそうもなければ、別の本と付き合うことをすすめる。

時間をコストとするならば、10冊以上の本を同時進行で読むことも大切だ。工場や業務プロセスにおけるオペレーション効率を高めるには「アイドルタイム(滞留時間)」の縮小が最大のポイントだが、これは読書にもあてはまる。読書をすれば何回かに一度は必ず「今の気分にフィットしない」というものが出てくるはずだ。しかし、10冊同時進行で読んでいれば、気が進まない本を持て余すという時間がなくなる。

【ビジネス書×何を読むか】ビジネス書は「これだけ」読めばいい

基礎体力を身に着けるための読書術

著者は、2002年5月、32歳のときに、広告業界から外資系コンサルティングの世界へと身を転じた。それまで経営学に関する体系的な知識をほとんど持たなかった著者は、経営学のリテラシーを身に着けるべく2年で主だった経営学関連の定番書を読了するというプランを立て、実行した。実際には、3年がかりで200弱冊を読破したという。

しかし著者は振り返ってみて、「読む量がこの1~2割だったとしても、9割の効果が得られただろう」と感じたという。凡百の書籍を浅く乱読するよりも、経営学の古典・原典にあたる書籍を絞ってじっくりと掘り下げて読むことこそが、経営のリテラシーを得ることにつながるのだと説く。そのような名著には、「経営の考え方」「ビジネスを考えるツボ」を皮膚感覚で学ぶことができるからだ。概要を浅くなぞるだけの「古典の解説書」では、そのような知的体力は身につかないだろう。

【ビジネス書×どう読むか】古典には読む「順番」がある

ビジネス書で「人生戦略」を立てろ
Image Work/amanaimagesRF/Thinkstock

著者が「ビジネス書マンダラ」の中でもコアと位置付けている書籍は、

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要約公開日 2016.03.21
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