頭は「本の読み方」で磨かれる

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頭は「本の読み方」で磨かれる
出版社
三笠書房
出版日
2015年07月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書では、脳科学者の茂木健一郎氏が今までに読んだ膨大な量の本の中から、手間ひまをかけてでも読むに値する選りすぐりの70冊の本が紹介されている。また、茂木氏自身の体験を交えながら、「人生をよりよく生き抜くスキル」が身につく読書法が披露されている。

自分が興味のない本を読むのは大変なことだが、どんな本でも読むのが楽しくなるコツがある。ただザルから漏れる水のように本を読んでいても意味はないが、本書で提唱される「読書の技法」を手に入れれば、人生で直面するどんな課題にも対処していく手がかりを得られるはずだ。茂木氏によると、本を読めば読むほど、読み手の中に「知性の地層」が形成され、不測の事態においても応用が利く「頭のよさ」を手に入れることができる。茂木氏にとって、本とは「生命体」であるという。一回だけつき合って終わりではなく、ときどき対話をして新しいものの見方を手に入れたり、悩みに対するアドバイスを得たり、何気ないひと言に救われたりする。本はまるで友人のような存在だ。また、成長すれば手に取る本も変わるため、本は「自分自身の成長を映す鏡」でもある。

インターネットが主流となり情報に満ちた世の中で、どの本をどう読むかが、人生の深みや喜びを味わううえで重大な選択になってくる。「本の選び方」「味わい方」「読書した内容の実践へのつなげ方」を知りたいと思っている人に本書をぜひすすめたい。

ライター画像
山下あすみ

著者

茂木 健一郎
脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「クオリア」(感覚のもつ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究している。ベストセラーとなった訳書『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』『もっと「脳にいいこと」だけをやりなさい!確実に自分を変えていく法』(いずれも三笠書房)のほか、『脳と仮想』(新潮社)『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方』(学研パブリッシング)など、著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    本を読むことは、「自分の経験を増やす」ことであり、自分とは違った人間の考え方や人生を追体験することにより、脳を鍛えることができる。
  • 要点
    2
    優れた文章にふれることで自分の素養が増していくことは、人生の最大の喜びの一つである。また、本の内容について語りたくなるような本こそが「いい本」である。
  • 要点
    3
    分野を問わずあらゆる本をたくさん読み、多くの知識を吸収することで、いつかそれらが人生で役に立つときがくる。

要約

自分の頭で考える

本を読むということは、自分の経験を増やすこと

本を読むとどのようないいことがあるのか。本を読めば読むほど、人は高いところから世界を見ることができる。読むジャンルが多ければ多いほど、足場が安定して世界をより広く自由に動き回って見ることができる。したがって、本を読むことは、自分とは違った人間の考え方や人生を追体験して「自分の経験を増やす」ことでもある。読書によって、自分の感情を動かし、体験し、自分以外の誰かの気持ちを獲得する。このようにして内部に蓄えられた知識は、自分の過去と未来の経験と結びついて「発酵」していき、「知性・見識」として定着する。

一番、脳が鍛えられるのは、本を読んでいるとき
decisiveimages/iStock/Thinkstock

一冊の本を完成させるために、書き手は人生の経験を総動員し、編集者や校閲者は入念にチェックを行う。本ほど何人もの知恵が凝縮され、練り上げられた文章はない。一方、その場での思いつきを書くケースが多い、インターネット上の文章やSNSでの文章のみに接するだけだと、「言葉の筋力」が落ちてしまう。

とくに「古典」は、文章表現の中でも最高峰に難しく読みづらいが、古典にふれることで、言葉の精度を高め、自分が感じていることをより正確に把握したり伝えたりすることができるようになる。練り上げられ、鍛え上げられた文章の中には、自分が知らない感情や経験を教えてくれる言葉がたくさんある。本を読み、さまざまな表現を知ることは、自己表現の上達や、人間の心理に対する深い洞察にもつながるだろう。

脳が鍛えられるしくみ

うれしいことがあると人が学習するのは、基本的に「中毒(依存症)」と同じしくみである。達成感や喜びを感じると、脳の中に「ドーパミン」が放出され、その喜びにつながった行動を取る回路が強化される。

本をほとんど読んだことのない人なら、一冊読み切るということに挑戦して、最後まで読むことをおすすめする。読み切れないと思っていた本を最後まで読めると、たくさんのドーパミンが放出され、読書が好きになる。

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要約公開日 2016.04.30
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