外資系コンサルの知的生産術の表紙

外資系コンサルの知的生産術

プロだけが知る「99の心得」


本書の要点

  • 「論理思考」や「仮説思考」といった「思考の技術」だけを高めても知的生産性は向上せず、「行動の技術」いわゆる「心得」を学ぶことが必要である。

  • 「心得」は知的生産のプロセスに沿って「知的生産の『戦略』」「インプット」「プロセッシング」「アウトプット」の4つに分けられる。

  • さらに、知的生産のクオリティや効率を中長期的に高めていくためには、自分という知的生産のシステムの中の「知的ストックを厚く」していくことが大事である。

1 / 5

知的生産の「戦略」

戦略策定

なんらかの知的生産を行うとき、何から手をつけるべきかというと、それは「知的生産の戦略策定」である。知的生産によって付加価値を生み出すためには、自分の知的生産物を他の知的生産物とどのように差別化するか、特に「顧客がすでに持っている知識との差別化」が最も重要になる。

顧客の知らない「新しさ」を出すには「広さ」と「深さ」の2つの方向性がある。具体的には、顧客がまだ気づいていない問題を指摘し、問題意識を外に広げるのが「広さ」であり、顧客が抱えている不満について、今まで分からなかった原因を明確化することができればそれは「深さ」である。その方向性によって集めるべき情報が変わるため、情報収集に入る前に、どちらで勝負するのかを最初に整理することが重要である。

顧客と制約条件

Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

情報収集に入る前に明確化すべきポイントは3つあり、「ターゲットとなる顧客は誰か」「求められている知的生産物のクオリティ」「使えるリソース(時間・お金・人手)」である。顧客があいまいなままターゲットを広げて作られたメッセージは切れ味を失ってしまうし、顧客が知りたがっていることのクオリティと、使用できるリソースから得られるもののバランスが取れていなければ、まず顧客との調整が必要になる。

知的生産における成功・失敗は、その知的生産物のクオリティで決まるのではなく、顧客の期待値と実際の成果物とのギャップで決まるため、初期段階においてこれらを明確化しておくことが重要なのである。

2 / 5

インプット

4つの情報ソース

ホワイトカラーが知的生産を行うに当たって活用できる情報ソースは大きく分けると「社内資料」「公開資料」「社内の関係者インタビュー」「社外の関係者インタビュー」であり、必要な情報に合わせてこれらを使い分けることが必要となる。市場規模や他社の業績などの定量的・統計的な情報については公開資料で手に入ることが多く、自社の強みと弱みや業界特有のリスクなどの定性的な情報については複数の関係者の声をまとめるしか解が得られないケースが多い。この中で「社外の関係者インタビュー」は必要な時間も長く、欲しい情報が聞き出せないリスクもあるため、最も注意する必要がある。情報収集においては他者が絡むところから早め早めに動くのがよい。

よい質問は、よいインプット

ferlistockphoto/iStock/Thinkstock

インタビューを行う時は、まず初めに「これだけははっきりさせたい」という問いを明確化し、それを聞き出すためにはどんな質問をすればいいかをリストアップする。その際にはより具体的な言葉を用いるようにし、質問の受け手が戸惑わないようにすることで期待している答えが得られやすくすることができる。つまり、よい質問は、よいインプットに直結するということである。

また、実際のインタビュー時には、分かったふりをしないということに注意する。なぜなら、分からないまま進んでしまうとその後の質問力が低下するからである。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3042/4251文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2015.08.24
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

「外資系エグゼクティブ」の働き方
「外資系エグゼクティブ」の働き方
フラナガン裕美子
絶対に達成する技術
絶対に達成する技術
永谷研一
外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術
外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術
山口周
クリエイティブコンサルタントの思考の技術
クリエイティブコンサルタントの思考の技術
花塚恵(訳)ケヴィンダンカン
メディアのリアル
メディアのリアル
吉田正樹
ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか
ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか
佐藤智恵
どんな時代もサバイバルする人の「時間力」養成講座
どんな時代もサバイバルする人の「時間力」養成講座
小宮一慶
外資系コンサルタントの企画力
外資系コンサルタントの企画力
金巻龍一

同じカテゴリーの要約

頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
荒木俊哉
キーエンス 最強の働き方
キーエンス 最強の働き方
齋田真司
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
有山徹
無料
正しい答えを導く質問力
正しい答えを導く質問力
山口拓朗
伝わるコツ
伝わるコツ
山本渉
できるリーダーが意思決定の前に考えること
できるリーダーが意思決定の前に考えること
内田和成
頭のいい人が話す前に考えていること
頭のいい人が話す前に考えていること
安達裕哉
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
吉田浩岩井俊憲 (監修)
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
伝え上手になりたい
伝え上手になりたい
小川奈緒