社長が3ヶ月不在でも成長する会社の作り方

未読
社長が3ヶ月不在でも成長する会社の作り方
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社長が3ヶ月不在でも成長する会社の作り方
出版社
インフォレスト
出版日
2013年12月02日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

あらかじめ述べておこう。本書は組織のなかでチームリーダーとして働く方にも多少参考にはなるかもしれないが、あくまで経営者(社長)向けに書かれた本だ。そうでない人にとってはあまりに視点が高すぎて実感が湧かないかもしれない。一方で、特に中小企業の社長にとっては、ハッとさせられるポイントがふんだんに盛り込まれている一冊になっているのではないか。

本書はまず、著者である安東氏のエピソードから始まる。安藤氏は31歳で独立し、中小企業の営業支援を行う会社を立ち上げた。毎日必死に働くことで売上が伸びていくことに喜びを感じていたが、会社の成長と社員の増加とともに徐々に歯車が狂い、あるとき業績が突如悪化してしまう。そんなときに著者が出会ったのが米国の著名なコンサルタント、マイケル・E・ガーバー氏だった。この本にはガーバー氏から受け継いだ教えがふんだんに盛り込まれており、「年中働きづめの社長」と「3ヶ月休める社長」の考えや行動の違いを対比させながら紹介している。

中小企業の経営者のなかには、本書の表紙で謳われているような「3ヶ月休める社長」など到底無理だと思う人もいることだろう。はっきり言って、本書を読了しても「これなら3ヶ月休めそうだ」という確信を得られる人も多くないかもしれない。しかしながら、あくせく働く中でつい忘れてしまいがちな「仕組みづくり」や「ビジョンの描き方」を思い出させてくれるという点にこそ、本書の価値がある。自分の会社のことを思いながら、ゆっくりと対話するように読んでいただきたい。

ライター画像
苅田明史

著者

安東 邦彦
1970年大阪府生まれ。大学卒業後、24歳で独立して通信販売会社を設立。1997年からITベンチャー立ち上げに参画。2001年には、マーケティング支援を行う株式会社ブレインマークスを設立。マーケティングに関するノウハウを追求し続け、現在までに支援した企業は500社を超える。近年は、中小・零細企業・個人事業主などのスモールビジネスを対象に経営コンサルティングを行い、業績拡大を支援している。

本書の要点

  • 要点
    1
    スモールビジネスが成長できない、あるいは破綻してしまうのは、社長自身が毎日現場で働く「職人型ビジネス」に原因がある。社長が働くのではなく、ビジネス自体がどんどん働いてくれる「起業型のビジネス」を作り、「職人」「マネジャー」「起業家」という3つの人格をバランスよく使い分ければ、成長への土台を築くことが出来る。
  • 要点
    2
    年中働きづめの社長は「ビジネス=我が人生」と考え、忙しさのあまり気がついたら最期を迎えている。しかし、人生を自ら切り開いていくためには、彼らは事業や人生の将来像を決めてから、それに近づけるために現状を変えようとすることが肝要だ。

要約

【必読ポイント!】 現状打開で成長する

3ヶ月休める社長は、起業家型ビジネスを作る
iStock/Thinkstock

年中働きづめの社長は「職人型ビジネス」を作ってしまう。「職人型ビジネス」とは、ビジネスが働くのではなく、社長自身が毎日現場で働くことによって成り立つビジネスのことだ。そうした社長の多くは、現場での仕事に満足し、自分しかできない仕事に誇りを持っており、今の仕事でそこそこ稼げている、という感覚を持っている。著者自身、かつては自分が現場の第一線で働くことに美徳を感じていたという。

しかしこうしたビジネスは、キャパシティーの限界、体力の衰え、気力の衰え、本人のケガ、病気、あるいは社員のクーデターなどによってトラブルが発生し、最終的には破綻してしまうことが多い。破綻しないまでも「個人事業主から抜け出せない」といった低成長にかかる問題の多くは「職人型ビジネス」に起因するものである。

これに対して3ヶ月休める社長は「起業型のビジネス」を作る。「起業型のビジネス」とは、社長が働くのではなく、ビジネス自体がどんどん働いてくれるビジネスのことだ。

もちろん、「社員に働かせて社長が楽をする」というわけではない。「社長本来の仕事とは、社員の志や人の幸せのためにビジネスを働かせる仕組みを作ることだ」ということを指している。

マイケル・E・ガーバーによれば、「ビジネスを始める人の大半が、真の意味での『起業家』ではなく、起業したいという熱に浮かされた『職人』として働いているに過ぎない」のだ。

3ヶ月休める社長は、3つの人格を使い分けて仕事をする
iStock/Thinkstock

社長の中には、「職人」「マネジャー」「起業家」という3つの人格が存在する。

「職人」の人格とは、自らが手を動かして現場で働き、顧客に喜ばれることを好む人格。「マネジャー」の人格とは、資金や人の管理などを好む実務家として、仕事がスケジュール通りに進行していることを確認することなどに喜びを感じる人格。「起業家」の人格とは、将来のビジョンを描き、戦略や新しいアイデアの創出、未知の分野への挑戦に喜びを感じる人格のことを言う。

スモールビジネスでは、この3つの人格のバランスを社長が常に意識して運営していかなければならない。

3ヶ月休める社長は、経営手腕は後天的なものと考え学び続ける

ここまで読んで、「自分のために働いてくれるビジネスを創るという考え方は素晴らしいと思う。だけどそれが本当にできるとは思わない」というのであれば、この本をこれ以上読む意味は無いと、本書では述べている。

9割の中小企業経営者が、「成功する人は、持って生まれた特別な才覚にあふれ、特別に運が良く、自分とは違う次元で生きている人だ」と思っているという。独立したとは言え、生計を立てるための仕事に明け暮れ、現状を維持するだけでも必死な状況では、ワールドクラスのビジネスを作るという考えは、遠い世界のことだと思うのも無理からぬことだ。

しかし、決してそうではない、と著者(およびガーバー氏)は力説する。

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要約公開日 2013.12.20
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