会社に頼らないで一生働き続ける技術

「生涯現役」40歳定年のススメ
未読
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会社に頼らないで一生働き続ける技術
出版社
プレジデント社

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出版日
2016年03月01日
評点
総合
3.0
明瞭性
3.0
革新性
3.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

有名企業に勤めていても、いつ職を失うかわからない時代が到来している。日本の経済情勢がこのままならば、やがてさらに公務員の給料も減らされ、年金の受給開始年齢の引き上げや支給額の減額も行われるだろう。政府の「一億総活躍」というスローガンはすなわち、生涯現役で働き続けられるような実力を身につけよということである。

本書は、著者自身の経験からだけでなく、様々な業界から転職・独立した人たちへのインタビューを踏まえながら、満足のいく働き方を続けるために何をするべきなのかを総括している。実際の体験談を元にしているため、起業をするかしないかにかかわらず一人ひとりが「起業家精神」を持たなければならない、という著者の主張には説得力がある。

独立・起業できるかどうかを分けるのは経営知識やスキルの有無ではなく、気づきの力であるというのが本書の主張だ。かつて、パナソニックの創業者である松下幸之助が市電の走る姿を見て「これからは電気の時代がくる」と確信したように、ある現象から何を感じ取るかによってその後の歩むべき道は変わる。そのような感覚は一朝一夕で身につくものではないが、先人たちがどのような気づきを得て自らの道を選択したのかを知ることで、将来の指針が見えてくることもあるだろう。本書で紹介されているモデルケースの数々は、将来像を描いていくうえで大きな参考となるはずだ。

著者

井上 久男(いのうえ ひさお)
1964年生まれ。福岡県出身。88年九州大学卒。NECを経て92年朝日新聞社に転職。名古屋(豊田市駐在)、東京、大阪の経済部でトヨタ自動車や日産自動車、パナソニック、シャープ等を担当。2004年に独立し、文藝春秋社や東洋経済新報社等が発行する各種媒体で執筆。「現代ビジネス」(講談社)などに連載コラムを持つ。最近は農業の取材も積極的に行っている。主な著書に『メイドインジャパン驕りの代償』(NHK出版)、『トヨタ愚直なる人づくり』(ダイヤモンド社)、『トヨタ・ショック』(講談社、共編者)。13年放映のNHKテレビ60年記念ドラマ「メイドインジャパン」の脚本制作に取材協力。05年大阪市立大学大学院創造都市研究科(社会人大学院)修士課程終了、10年同大学院博士課程単位取得退学。16年4月から福岡県豊前市政策アドバイザー(非常勤)に就任予定。神戸市在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    独立した後は小さな実績を積み重ねていくことを優先すべきである。
  • 要点
    2
    転職や独立はあくまで自分の意志で行うべきだ。そうすることで「覚悟」が生まれる。友人やコンサルタントに頼ってしまうと、失敗した時に他人の責任にしてしまう。
  • 要点
    3
    大企業からの転職を成功させるためには、(1)専門性を磨くこと、(2)人脈をつくること、(3)必要なことを積極的に学ぶ姿勢を持つことが肝要である。

要約

【必読ポイント!】 40歳で会社を辞めて食っていくためには

憧れの朝日新聞社を辞めた理由
SamuelBrownNG/iStock/Thinkstock

著者はNECに3年余り在籍した後、ジャーナリストになるという夢を叶えるため、朝日新聞社に入社した。そして約13年務めた後に独立した。ちょうど40歳の時だった。

大新聞社において、40歳頃はちょうどキャリアの曲がり角に当たる。現場の記者が書いた記事の修正や、追加取材の指示が主な業務になってくる頃であり、その後は営業や管理部門で管理職になる人も多い。自分で取材を担当することはほとんどなくなる。

著者が退職を考えたのは、社内での過剰な出世競争に嫌気が差したからだ。著者の所属していた経済部は、政治部と交代で社長を送り出す部署だったため、そこで頂点に上り詰めれば役員以上になることが保証されていた。実際、読者のために記事を書くというよりも、自分の出世を考えて記事を書く風潮があったという。

また、記者クラブの存在により、自分で勉強するよりも、権力に媚びて情報をもらうことのほうが重要視される環境にも問題意識を抱いていた。世の中が大きく変わっていく中、勉強しない新聞記者はやがて世間から取り残されると考えた著者は、社内でも勉強会をするべきだと提言したところ、先輩記者からは「君は頭が悪いから勉強したいのか」と嘲笑されてしまった。実際に勉強会を企画しても、集まったのはわずか数名だった。

さらに、社会人大学院での学びも、著者の独立を後押しすることになった。東京から大阪への人事異動を受けた著者は、時間に余裕ができたため、夜学の社会人大学院で財務からマーケティング、人材育成について学んだ。そこに集まった社会人たちは皆、現状に危機感を持ち、これからのために学び直そうという気概を持った人々であり、著者も多いに触発された。

さらば社畜人生
diego_cervo/iStock/Thinkstock

朝日新聞社を辞めたとき、著者の年収は約1300万円だった。給料の大半は取材先との付き合いや浪費に消えていたため、貯金もほとんどなかった、まさに背水の陣だったが、それまで培ってきた人脈に助けられながら、10年以上フリージャーナリストとして活躍し続けている。組織に守られていないというリスクはあるものの、自分の問題意識にもとづいて行動できる自由さを享受できるのは、フリーランスの大きな利点だ。

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要約公開日 2016.07.15
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