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マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争
未読
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マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争
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出版社
KADOKAWA
出版日
2015年10月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

かつてのインターネットの先駆者ヤフーが迷走を続けている。2012年、現状を立て直すべく、鳴り物入りでヤフーのCEOに抜擢されたのは、元グーグル副社長のマリッサ・メイヤーだ。ヤフーの従業員たちは、プロダクトにおいては右に出るものがいないほどの優れた感性とカリスマ性を持つメイヤーに魅了され、希望を託した。しかし、その蜜月期もCEO就任からわずか1年で陰りが見え始めてしまう。

ヤフー・メールのリニューアル失敗、低迷するヤフーの検索シェア、減少の一途をたどる収益、経営能力に乏しいエンリケ・デ・カストロのCOOへの起用。さらには、新しい評価制度QPR(四半期業績評価)の導入により、従業員の士気がみるみる低下していく。こうした数々の失策により、メイヤーへの不信感が社内に募っていった。彼女は、大衆の前では情熱的にビジョンを語る一方で、根っからの内気さにより、一対一のコミュニケーションでは閉鎖的で冷酷であるという。また、細部にこだわるメイヤーの性格も裏目に出ている。このような逆境のもと、果たして彼女はヤフーの救世主になれるのだろうか?

本書を読めば、戦国時代さながらのインターネット業界における勢力図の変遷を概観できる。グーグルとヤフーの番記者である著者が、関係者への数百を超えるインタビューを通じて書いた本書は、実にスリリングな取材録であり、そこで展開されるネット業界の有為転変、熾烈な競争、駆け引きにぐいぐい引き込まれてしまうだろう。手に汗握る現在進行形のドラマを堪能してほしい。

ライター画像
松尾美里

著者

ニコラス・カールソン
ビジネスインサイダーのチーフライター。フェイスブックやツイッター、あるいはグルーポンに関する記事を執筆してきた。彼が手がけたヤフー関連記事はディジデイ・アワードの「2014年年間最高編集賞」を受賞している。ブルームバーグの伝記番組「ゲームチェンジャー」に出演。CNBCの番組にゲストとして呼ばれることも多い。

本書の要点

  • 要点
    1
    時価総額1280億ドルの巨大企業にまで上りつめたヤフーの価値は、2000年前半のドットコム崩壊で一気に地に落ちた。その後も、グーグルやフェイスブックの買収が失敗に終わり、数々のCEOが退任を余儀なくされた。
  • 要点
    2
    新しいCEOに抜擢されたメイヤーは、幹部の人選ミスや自身の冷たい態度、従業員の対立につながる評価制度の導入により、社内の不満を生み出してしまった。彼女はプロダクト開発に注力できておらず、現在も苦闘を強いられている。

要約

群雄割拠のネット業界に翻弄されるヤフー

ヤフー誕生とドットコム崩壊による苦境の始まり

1990年代、ヤフーというブランド名はインターネットの代名詞だった。創業者のジェリー・ヤンとデビッド・ファイロは、自分たちのつくったサイトがビジネスになるとは夢にも思っていなかった。彼らは自分たちが使いやすいツールをつくって楽しんでいたにすぎない。しかし、1995年の法人化後すぐに、CEOのティム・クーグルとCOOのジェフ・マレットという、高い経営手腕を持つ人材がヤフーに加わったこと、そして、孫正義率いるソフトバンクの出資を得たことを契機に、ヤフーは驚くべき勢いで成長を遂げた。この急成長の理由は、ヤフーが、ワールド・ワイド・ウェブを手っ取り早く体験するためのユーザーフレンドリーなWEBへの入り口、つまり「ポータル」を提供したからである。こうしてヤフーは、時価総額1280億ドルの巨大企業にまで上りつめた。

ところが、2000年前半に起きたインターネットバブル崩壊、つまりドットコム崩壊のあおりを受け、ヤフーの価値は凋落した。ヤフーの広告事業は、ドットコム企業に法外な金額で広告を売ることで成り立っていたため、ヤフーは危機的状況にある。この事実と向き合うことを余儀なくされたヤフーの経営陣たちは、プロダクトとサービスを利用するユーザーを増やすという計画、「ヤフー2.0」を掲げたが、2001年2月にCEOのクーグルは辞意を表明し、COOのマレットもその数カ月後にヤフーを去った。

ゴッドファーザー計画

2001年9月、類まれな経営者として映画業界で名を馳せた、テリー・セメルが新CEOに就任した。セメルは、伝統的な広告ビジネスの構築に注力し、ヤフーのサイトの訪問者を増やしていった。

一方、2000年から2002年にかけて、検索の世界は様変わりした。

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要約公開日 2016.06.16
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