すごい差別化戦略

競合他社を圧倒する「違い」のつくり方
未読
すごい差別化戦略
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競合他社を圧倒する「違い」のつくり方
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すごい差別化戦略
出版社
日本実業出版社

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出版日
2016年01月28日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

低価格競争が進む市場の中で、簡単には利益を出せない企業が多い。高度成長期を過ぎた日本は豊かな時代を経験し、ほとんどの消費者がすでに必要な商品を手にしている。価格と内容ともに本当に満足する商品でなければ、消費者は買ってくれなくなった。その中で商品が選ばれるためには、自社の強みを活かした差別化を行うことが得策である。なぜなら、他社との違いを生み出すことができれば、価格で比較されることなく、自社でしか手に入らない商品に消費者がお金を出そうとしてくれるからだ。

本書では、差別化戦略に注目する。しかし差別化を行おうとするとき、一般的に広く知られたセオリーを活かそうとすると、他社と似たような商品になってしまいがちで差別化にはつながらない。自社独自のオリジナル商品をつくるためには、問題を徹底的に考え抜く力が必要となる。問題を考え抜くために、ときにはセオリーを疑ったり、多角的に眺めたりする視点が求められる。そして考え抜く力を伸ばすためには、たとえわずかな時間であったとしても、それぞれの業界における成功・失敗の両パターンについて、自社ではどのように活用できるのかを想像するクセづけが必要だ。

他社との違いを生み出せるように、本書で紹介される25の事例についてじっくりと考え抜き、考える力を磨いてみてはいかがだろうか。

ライター画像
流石香織

著者

大﨑 孝徳
名城大学経営学部教授。1968年大阪市生まれ。民間企業勤務後、長崎総合科学大学助教授、ワシントン大学マイケルGフォスター・ビジネススクール客員研究員を経て、現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。
主な著書として『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)ほか。

本書の要点

  • 要点
    1
    リーダーが強い意志、姿勢を発揮することで、社員の緊張感、自覚が高まり、圧倒的な差別化商品を生み出す原動力となる。
  • 要点
    2
    差別化に妥協は許されず、たとえ高いリスクやコストが発生しても、徹底的にこだわりを実現することが必要である。実現した差別化は、他社が模倣できず、大きな利益を生み出す。
  • 要点
    3
    差別化を効果的に実現するためには、単にセオリーに従うのではなく、セオリーを疑い、その先に到達するために粘り強く取り組み、多面的にアイデアを出す、という「考え抜く力」が求められる。

要約

圧倒的な強さのある会社

リーダーの強い意志が、会社をけん引する
phototechno/iStock/Thinkstock

市場においてシェア1位の「リーダー企業」では、戦略が保守的になる傾向がある。規模が大きくなるほどコストが下がる「規模の経済」は通常、リーダー企業に有利に作用するため、競争をしかける「チャレンジャー企業」はリーダー企業と同質の競争を行っても勝つことは困難である。そのためチャレンジャー企業は差別化を図り、新たな取り組みに挑戦することになる。

一方で、リーダー企業は豊富な人材や資金を持っているため、後からの巻き返しが充分に可能である。またリーダー企業にとっては、他社が行った新しい取り組みはリアルなマーケティングリサーチの材料にもなり得る。結果として、リーダー企業はセオリーとして他社のヒットしたものを追随することになる。

しかし、このセオリーに反するのが、大手コンビニチェーン「セブン-イレブン(以下、セブン)」である。たとえば、セブンでは、プライベートブランド(PB)としては異例の高価格で高品質を追及する『セブンゴールド金の食パン』が大ヒットした。セブンはリーダー企業にもかかわらず、競合他社に先駆けて新しい取り組みをはじめる背景には、セブン鈴木敏文会長(当時)の「リーダーとしての覚悟」が見えてくる。

コンビニチェーンでPBが開発された経緯は、低価格での大量販売を実現するためであった。しかし鈴木会長は、「質の追求の結果として、量がついてくるので、質を追求する」という信念のもと、メーカーに高品質のPB商品の開発を要求した。また、セブンが食品の新商品を開発するにあたって、最終的に鈴木会長の試食で決定することは有名な話だ。この理由は、自らが試食を繰り返すことで、品質の向上を目指している姿勢が従業員に伝わり、緊張感を生む効果があるからだ。このような、鈴木会長の力強いリーダーシップやマネジメント力がセブンを引っ張り、競合他社から抜きん出た結果を生み出しているのである。

社員を本気にさせる
shironosov/iStock/Thinkstock

日本のプレミアム・ビール市場では、長年サッポロビール『ヱビス』が定番の位置を占めてきた。しかし2005年に投入されたサントリー『ザ・プレミアム・モルツ(以下、プレモル)』が僅か3年でトップに立った。プレモルが短期間に突出した結果を出せたのは、

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要約公開日 2016.07.12
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