風と共に去りぬ

未 読
風と共に去りぬ
ジャンル
著者
マーガレット・ミッチェル 荒このみ(訳)
出版社
岩波書店
定価
907円
出版日
2015年04月16日
評点(5点満点)
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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レビュー

あなたは、アメリカという国が、いくつもの戦争を重ね、凄まじい人種差別を抱えながら今に至っていることを、どれくらい理解しているだろうか。

本書は、南北戦争から混乱の再建時代(リコンストラクション)にかけ、主人公スカーレット・オハラの激しい生きざまとロマンスを描く一大巨編である。国を二分した戦争の敗者側となった南部には、綿花の大農園を営む白人貴族文化があった。スカーレットも、南部のレディとして華やかな毎日を送っていたが、戦火と北軍の略奪によって全てを奪われ、絶望的な飢えと貧困に苦しむことになる。戦後、黒人は解放された一方で、南部の白人は法的な保護も受けづらくなり、悪名高いKKKに入る者もいた。誇り高い南部の白人たちは、その誇りのために貧しさにあえいだ。しかし、スカーレットは、現実的な考え方と激しい気性で、恥ずかし気もなく金儲けに精を出し、南部社会に後ろ指をさされながらも3度の結婚をする。

奴隷制を美化している、といった批判も受ける本書だが、南北戦争の敗者の歴史、戦争の風と共に去った「南部文化」を深部まで描き出しており、まさにアメリカを代表する小説のひとつであるといえるだろう。

物語の背景ばかりに注目してしまったが、本書はたいへんなメロドラマでもある。なにせスカーレットは、お嬢様面をしながら、生きるために人を殺し、妹の婚約者すら奪う。スカーレットとレット・バトラーとの運命的恋愛には、読者はもだえずにいられないはずだ。

壮大なドラマに浸りながら、日常のニュースを追うだけでは知ることのできない、アメリカの姿を思う時間を持っていただければと願う。

熊倉 沙希子

著者

マーガレット・ミッチェル
(1900~49)
ジョージア州アトランタ生まれ。裕福な家庭に育ち、東部マサチューセッツ州の名門スミス・カレッジに入学する。が、母親がスペイン風邪で死去したため学業を打ち切り、アトランタへ戻る。その後、「アトランタ・ジャーナル」社に入社し、日曜版マガジンの記者として4年ほど働く。退社後、小説を書くようになり、1936年『風と共に去りぬ』を発表。作品は大成功をおさめ、世界的ベストセラーとなる。同年ピュリッツアー賞を受賞。ヴィヴィアン・リー主演の映画化作品も世界中で人気を博した。

本書の要点

  • 要点
    1
    19世紀半ば、アメリカ南部ジョージア州の大農園の娘として育った、スカーレット・オハラが主人公。黒人奴隷たちにかしずかれ、生気あふれる魅力で男たちを骨抜きにしていたが、南北戦争が勃発。激動の戦中、戦後を、浅ましいまでの現実主義、荒々しいまでの生命力で生き抜いていく。
  • 要点
    2
    1936年に発表された『風と共に去りぬ』は、初版から大ベストセラーとなり、映画化作品でもよく知られている。今でも世界中で衰えぬ人気のある、アメリカの大河ロマン。本書は荒このみ氏による新訳。

要約

華やかなりし日々

南部のレディ、スカーレット・オハラ

スカーレット・オハラは、いわゆる美人ではなかった。が、フランス上流階級の血を引く母とアイルランド移民の父から受け継いだ、繊細な目鼻立ちと活力をあわせ持つ、じつに魅力的な顔をしていた。偉大なレディである母と黒人乳母マミーによって厳しくしつけられ、おとなしげな立居振舞をしていても、緑色の目は意志と生命の貪欲さで光っていた。こんなスカーレットに、たいていの男は夢中になった。

スカーレットの父親はかつて、政治をめぐる口論に激情して殺人を犯し、アメリカへ逃亡してきた。持ち前のポーカーの腕を活かして賭けで土地を手に入れ、黒人奴隷を買い集め、南部ジョージア州に綿花の大農園を一代で築いたのだった。その農園はタラと呼ばれた。

ウィルクス家のパーティー
Jupiterimages/PHOTOS.com>>/Thinkstock

大きな館で、ほとんどのことは思い通りに過ごしてきたスカーレットだったが、あるとき不愉快な情報を聞きつけた。自分のことを愛していると思っていた、金髪の優雅なアシュリー・ウィルクスが、パーティーで別の女との婚約を発表するというのだ! やせっぽちで地味なメラニー・ハミルトンとの婚約を! 自分が愛していることを伝えられさえすれば、アシュリーはきっと自分と結婚しようと思うはず。スカーレットはウィルクス家のパーティーへ、とびきり自分が美しく見える、緑色のひだ飾りがついたドレスを着て乗り込んだ。

若い客人たちと挨拶をかわすなか、スカーレットは自分を見つめる不遜な視線に気づく。浅黒くがっちりして、抜け目ない大胆な雰囲気をまとった男性は、レット・バトラーといい、名家の出身だが女性とのトラブルで勘当されている評判の悪い人物だという。

スカーレットは、女性だけの集まりを抜け出し、体よくアシュリーを書斎へ誘いこんだ。いぶかしむアシュリーに、スカーレットは、レディの教えをすっかり忘れて、「愛している」と何度も言いつのった。しかしアシュリーは、スカーレットのことは好きだが、自分と同じく本や音楽を愛するメラニーを結婚相手として決めたのだと告げる。それを聞いたスカーレットは、怒りにまかせてアシュリーを平手打ちし、彼が出ていった後に花入れを暖炉に投げつけた。すると、なんとソファの陰から「昼寝をしていた」というレット・バトラーがぬっと現れた。

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風と共に去りぬ
未 読
風と共に去りぬ
ジャンル
リベラルアーツ
著者
マーガレット・ミッチェル 荒このみ(訳)
出版社
岩波書店
定価
907円
出版日
2015年04月16日
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