国宝消滅
イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機

未 読
国宝消滅
ジャンル
著者
デービッド・アトキンソン
出版社
東洋経済新報社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2016年02月19日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
この要約を友達にオススメする
国宝消滅
国宝消滅
イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機
著者
デービッド・アトキンソン
未 読
書籍情報を見る
ジャンル
出版社
東洋経済新報社
定価
1,500円 (税抜)
出版日
2016年02月19日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
本の購入はこちら
レビュー

国宝に指定されているお寺なのに、外観も内装もボロボロで修理がなされていない。建造物についての簡素な説明が展示されているだけで、その建造物での暮らしが、観光客には伝わらない。そして、サービスへのクレームを回避するかのように、文化財の入場料を最低限に設定する。これらは、日本の文化財が陥っている窮地の現状だ。

これまでも著者は、「山本七平賞」を受賞した『新・観光立国論』にて、日本を観光大国にするための斬新な提案を行ってきた。本書では、「改革まったなし」といえる文化財の課題にスポットライトをあてる。そして、ポテンシャルが埋もれたままの文化財を、観光資源に生まれ変わらせるための提言を述べていく。具体的には、建築偏重の弊害や、文化財業界の意識改革、職人文化の崩壊といった問題をあぶり出し、旧態依然とした文化行政を一刀両断にする。もちろん、一方的な批判ではない。日本の文化財と真正面から向き合ってきた著者の、日本文化に対する底知れぬ愛情が感じとれる一冊だ。

読み進めるにつれ、文化財に関するサービスの創意工夫が、どれだけ経済活性化や日本文化の継承に寄与するかが、手にとるようにわかるだろう。同時に、著者の多角的な分析と鋭い舌鋒により、文化財行政の現状について、大いに興味がかき立てられるはずだ。いつか確実に「審判の日」はやってくる。果たして日本は文化財を活かした観光立国へと生まれ変わることができるのだろうか。

松尾美里

著者

デービッド・アトキンソン
David Atkinson
小西美術工藝社社長。元ゴールドマン・サックス金融調査室長。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年、イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。1998年に同社managing director(取締役)、2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、2007年に退社。同社での活動中、1999年に裏千家に入門。日本の伝統文化に親しみ、2006年には茶名「宗真」を拝受する。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、取締役に就任。2010年に代表取締役会長、2011年に同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ、旧習の縮図である伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている。
著書にベストセラー『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞受賞、東洋経済新報社)、『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』(講談社+α新書)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    これまでの行政の根幹には、「優れたものを選定し、補助金(税金)を投入して手厚く守る」という考えがあり、芸術や文化の発展を阻害してきた。日本の観光業を50兆円以上の産業へと成長させ、観光立国となるためには、文化財を観光資源として活用することが肝となる。
  • 要点
    2
    文化財は、伝統文化の理解を促すという役割を担っている。日本人がどのように文化を培ってきたのかを観光客が「体感」できる、開かれた場へと生まれ変わる必要がある。

要約

なぜ今、「文化財の大転換」が必要なのか

観光立国をめざすための秘策

人口減少が著しく、GDPの大きな伸びを期待できない日本において、社会保障費をどう捻出するかは喫緊の課題である。日本経済を立て直すために、著者は観光立国をめざすべきだと提言している。現在、日本のGDPに観光業が占める割合は約3%にすぎない。そこで、世界的には第4の基幹産業となっている観光業に力を入れ、外国人観光客という「短期移民」を募ることにより、日本の観光業は50兆円以上の産業へと成長することができると目されている。

その観光業を構成する重要な柱が「文化財」だ。人口減少により、寺社仏閣の維持に欠かせない「氏子」や「檀家」、そして国内観光客の数が急激に減少する今、日本各地の文化財は「一生に一度行けばよい」という観光地から、リピーターを生み出す魅力的な観光資源へと転換することを余儀なくされている。

これまで、文化財関係者の大多数には、「稼ぐ」「売る」「PRする」という発想が根づいてこなかった。また、行政の根幹には、「優れたものを選定し、補助金(税金)を投入して手厚く守る」という考えがあり、これが芸術や文化の発展をむしろ阻害してきたのだ。

文化財を観光資源化することで得られる4つの効果
Razvan/iStock/Thinkstock

こうした行政の方針を見直し、文化財の業界を産業化することで、次の4つの効果が期待できる。1つ目の効果は、文化財を観光資源として整備することで、観光立国の実現を果たし、社会保障制度を支える屋台骨を築けるという点だ。2つ目の効果は、手厚すぎる保護行政を調整することで、観光客の満足度を上げ、観光客から文化財維持費を得られるという点である。3つ目の効果は、日本文化の伝承を担う教育施設へと文化財を進化させることで、人々が日本古来の歴史や習慣、美意識を身近に学ぶことを可能にするという点だ。最後に4つ目の効果は、文化財の修理の現場を増やすことで、伝統技術の継承に寄与するという点である。

日本には北から南まで、多種多様な建造物や地域の特色が息づいた伝統が残っており、これらは観光資源としてのポテンシャルを大いに秘めている。文化・文化財を「収入源」とみなす意識を日本人が持つようになれば、文化的な衰退を食い止め、日本の街並みを守ることにもつながるだろう。

上記のことからも、日本の文化財行政に「国際観光戦略」という視点を盛り込むという大転換が急務だといえる。

【必読ポイント!】 「日本文化離れ」を食い止める方法

家庭や日常生活から消えゆく日本文化
deeepblue/iStock/Thinkstock

文化財は、観光資源としてはもちろん、

要約全文を読むにはシルバー会員またはゴールド会員への登録・ログインが必要です
「本の要約サイト flier(フライヤー)」は、多忙なビジネスパーソンが本の内容を効率的につかむことで、ビジネスに役立つ知識・教養を身につけ、スキルアップに繋げることができます。具体的には、新規事業のアイデア、営業訪問時のトークネタ、ビジネストレンドや業界情報の把握、リーダーシップ・コーチングなどです。
この要約を友達にオススメする

一緒に読まれている要約

GAMIFY ゲーミファイ
GAMIFY ゲーミファイ
ブライアン・バーク 鈴木素子(訳)
未 読
リンク
馬を飛ばそう
馬を飛ばそう
ケヴィン・アシュトン 門脇弘典(訳)
未 読
リンク
貧乏人の経済学
貧乏人の経済学
山形浩生(訳) アビジット・V・バナジー エスター・デュフロ
未 読
リンク
「感動」ビジネスの方程式―「おもてなし」を凌駕する驚異の手法
「感動」ビジネスの方程式―「おもてなし」を凌駕する驚異の手法
杉元崇将
未 読
リンク
男性上司の「女性は気がきくね」はなぜ地雷なのか?
男性上司の「女性は気がきくね」はなぜ地雷なのか?
齋藤直美
未 読
リンク
風と共に去りぬ
風と共に去りぬ
マーガレット・ミッチェル 荒このみ(訳)
未 読
リンク
日本人の知らないHONDA
日本人の知らないHONDA
ジェフェリー・ロスフィーダー 依田卓巳(訳)
未 読
リンク
バリアバリュー
バリアバリュー
垣内俊哉
未 読
リンク

今週の要約ランキング

1
考え続ける力
考え続ける力
石川善樹
未 読
リンク
2
コンサル一年目が学ぶこと
コンサル一年目が学ぶこと
大石哲之
未 読
リンク
3
あなたの知らない あなたの強み
あなたの知らない あなたの強み
古野俊幸
未 読
リンク

イチオシの本

未来屋書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2020年8~9月)
未来屋書店“フライヤー棚”で売れた今月のベスト3(2020年8~9月)
2020.09.28 update
リンク
「プレゼン力」を上げたい方の必読書3冊
【〈連載〉レッツ・ビジネスワークアウト第1回】 「プレゼン力」を上げたい方の必読書3冊
2020.09.22 update
リンク
今こそ必須の「数学的思考力」を鍛える3冊
【〈連載〉大人の教養シリーズ 第1回】 今こそ必須の「数学的思考力」を鍛える3冊
2020.09.15 update
リンク
知的筋力を鍛えよう!「ビジネスワークアウト」にぴったりの5冊
知的筋力を鍛えよう!「ビジネスワークアウト」にぴったりの5冊
2020.09.14 update
リンク

インタビュー

戦略コンサルタントが語る、いま知るべき「働き方の潮流」
戦略コンサルタントが語る、いま知るべき「働き方の潮流」
2020.09.04 update
リンク
50万部超のベストセラーを連発! 敏腕編集者の「考える技術」を公開!
50万部超のベストセラーを連発! 敏腕編集者の「考える技術」を公開!
2020.07.22 update
リンク
ポストコロナライフの未来予測
ポストコロナライフの未来予測
2020.07.15 update
リンク
【対談】人生の主導権を取り戻すカギは「早寝」にある
【対談】人生の主導権を取り戻すカギは「早寝」にある
2020.06.30 update
リンク
1
考え続ける力
考え続ける力
石川善樹
未 読
リンク
2
コンサル一年目が学ぶこと
コンサル一年目が学ぶこと
大石哲之
未 読
リンク
3
あなたの知らない あなたの強み
あなたの知らない あなたの強み
古野俊幸
未 読
リンク
出版社のイチオシ#036
出版社のイチオシ#036
2020.08.21 update
リンク
令和時代の最強スキル、「考える力」を身につけるには?
令和時代の最強スキル、「考える力」を身につけるには?
2019.06.13 update
リンク

この要約をおすすめする

さんに『国宝消滅』をおすすめする

保存が完了しました

保存した「学びメモ」はそのままSNSでシェアすることもできます。
新機能「学びメモ」誕生!
要約での「学び」や「気づき」をシェア! アウトプットの習慣づけに役立ちます。
みんなのメモが見れる!
新しい視点で学びがさらに深く!
「なるほど」「クリップ」ができる!
みんなの学びメモにリアクションしたり、保存したりできます。
ガイドライン
「学びメモ」をみなさんに気持ちよくご利用いただくために、ガイドラインを策定しました。ご確認ください。
「学びメモ」には自分自身の学び・気づきを記録してください。
要約や書籍の内容を読まずに「学びメモ」を利用することはご遠慮ください。
要約や書籍に対しての批評や評点をつける行為はご遠慮ください。
全文を見る
新しい読書体験を
お楽しみください!
ご利用には学びメモに記載されるユーザー名などの設定が必要です。
ユーザー名・ID登録(1/3)
ユーザー名 ※フライヤーでの表示名
ユーザーID
※他のユーザーが検索するために利用するIDです。
アカウントの公開や検索設定は次の画面で設定できます。ご安心ください。
後で登録する
ユーザー名・ID登録(2/3)
アカウント公開
すべてのユーザーにマイページを公開しますか?
はい 許可した人だけ
マイページを全体に公開したくない方は「許可した人だけ」を選択して、次ページにお進みください。

※登録内容の編集画面からいつでも変更できます
ユーザー名・ID登録(3/3)
検索設定
ID検索を有効にしますか?
はい いいえ
友達と繋がるには、ID検索を有効にしてください。マイページを全く公開したくない方は「いいえ」を選択してください。

※登録内容の編集画面からいつでも変更できます
登録完了しました!
まずは他のユーザーをフォローして学びメモをチェックしてみよう!
flierの利用に戻る