仕事の結果は「はじめる前」に決まっている

マッキンゼーで学んだ段取りの技法
未読
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マッキンゼーで学んだ段取りの技法
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仕事の結果は「はじめる前」に決まっている
出版社
出版日
2016年09月28日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

「徹夜で企画書を仕上げたのに、上司から書き直しを命じられた」。「いつもバタバタしていて締切に間に合わない」。「段取りに自信がない」。いずれか一つでも思い当たる節があるなら、究極の段取り術を紹介した本書をぜひ手に取ってみてほしい。

著者は、マッキンゼー時代に仕事の「質」と「スピード」の両方を追求しながら、高いパフォーマンスを出すための思考と技法を徹底的に叩き込まれたという。そして、著者がこれまで出会ったビジネスエリートたちは、最小の力で最大の成果を得るという「ミニマム思考」の実践者であり、段取り上手ばかりである。ミニマム思考とは、価値を生み出す最も重要なことに集中して、最小の力でそれを成し遂げる思考法のことだ。一流のエリートたちは、大事な仕事で最高のパフォーマンスを出すだけでなく、いつもワクワクした状態でいるため、周囲の人の心をわしづかみにする。

本書では、ミニマム思考を実践するうえで不可欠な「精度の高い仮説」の立て方や、モレなく、ダブりなく仕事を進めるための「全体設計」の方法、アウトプットのイメージの重要性、優先すべきものを見極めるための「五感を研ぎ澄ませる」方法が、非常にわかりやすく書かれている。

ミニマム思考が定着すると、「この仕事は、ここに問題があるから、こんな仮説が立てられる」などと、仕事に対する直感もいっそう冴え、ますますパフォーマンスが上がるというから驚きだ。「段取りが人生を変える」。本書を読み終えたときには、こう実感するにちがいない。

ライター画像
松尾美里

著者

大嶋 祥誉(おおしま さちよ)
センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。
エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。上智大学外国語学部卒業。米国デューク大学Fuqua School of Business MBA取得。米国シカゴ大学大学院人文科学学科修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、新規事業の立ち上げ戦略、全社戦略立案、営業戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。その後、ウイリアム・エム・マーサー、ワトソンワイアット、グローバル・ベンチャー・キャピタル、三和総合研究所にて、経営戦略や人材マネジメントへのコンサルティングおよびベンチャー企業支援に携わる。
2002年より独立し、エグゼクティブ・コーチングや組織変革コンサルティング、チームビルディング、リーダー開発に従事する。
著書に『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』『マッキンゼー流 入社1年目ロジカルシンキングの教科書』『マッキンゼーのエリートはノートに何を書いているのか』(以上、SBクリエイティブ)、『マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣』(アスコム)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    一流のビジネスパーソンは、最も重要なことにフォーカスし、最小限のエネルギーで最大の成果を生み出すための思考法、「ミニマム思考」を身につけており、仕事の「質」と「スピード」の両方を追求している。
  • 要点
    2
    ミニマム思考は、「仮説を立てる技術」、「全体を設計する技術」、「アウトプットをデザインする技術」を土台とする。
  • 要点
    3
    仕事に取りかかるまえに、確度の高い仮説を立てておくと、集中すべきことが見えてくる。また、スピーディーに仮説の検証をくり返すことで、成果が出やすくなる。

要約

ミニマム思考とは

最小の力で最大の成果を得る

「今、集中すべき最も重要なことは何か?」マッキンゼーのコンサルタントをはじめ、一流のビジネスパーソンは、この問いに即答でき、限られた時間で最大の成果を生み出せる。その理由は、彼らが「ミニマム思考」を身につけているからだ。ミニマム思考とは、最も重要なことにフォーカスし、それ以外を捨てて、最小限のエネルギーで最大の成果を生み出すための思考法である。

多くのビジネスパーソンは、仕事上、「質」と「スピード」のいずれかに偏りがちだが、それでは顧客や上司、仲間からの評価は下がってしまう。一方、周囲から高い評価を得ている人は、質の高い仕事を、速いスピードで期限までに終わらせている。こうした生産性が高い人材は、成果を生み出すことにのみ集中しているため、ムダがなく、仕事の質もスピードも自然と高まっていくのだ。

徹底的にバリューを意識する

段取りの本質は、スケジュール管理や効率的な仕事術といった小手先のテクニックではなく、「どんなバリューを出すべきか」を常に考える思考法にある。バリューとは自分や相手にとってのメリットを指す。ミニマム思考の人は、自分がどんなバリューを出しているかを意識して仕事を進め、バリューを生み出すことを心底楽しんでいる。

バリューを明確にした後は、その実現に向けた具体的な段取りを組んでいく必要がある。そこで欠かせないのが、ミニマム思考の土台となる「仮説を立てる技術」、「全体を設計する技術」、「アウトプットをデザインする技術」の3つである。「ミニマム思考」を構成する3つの技術について、これから詳述していく。

【必読ポイント!】 あらゆる仕事に「仮説」をもつ

仮説を立てれば、やるべきことが絞られる
SIphotography/iStock/Thinkstock

まずは「仮説を立てる技術」について説明する。コンサルティングの世界では、クライアントの問題を解決するうえでキーとなる真の問題、「イシュー」を見つけ出し、「こうすればイシューを解決できるのではないか」という仮説を立てるのが原則だ。

これは、営業先への提案や企画書づくりのための情報収集などにおいても当てはまる。仕事に取りかかる前から仮説を意識しておくと、成果に歴然と差が出る。例えば営業の仕事においては、「お客様が求めているのは、○○ではないか」と、当たりをつけておけば、アプローチの仕方や推奨する商品を絞り込みやすくなる。

ただし、仮説はあくまで「バリューを実現するための仮のアイデア」にすぎない。検証して結果が出ないことがわかれば、新たな仮説を立てればよい。高速で検証し、精度を上げることで、「質」と「スピード」の両方を追求できる。これこそが「仮説を立てる技術」の真髄である。

とはいえ、最初に立てた仮説があまりに見当はずれだと、軌道修正の手間がかかってしまう。そこで、筋がよく、確度の高い仮説を立てることが求められる。確度の高い仮説を立てるには、「情報収集力」と「編集力」がキーとなる。

目利きを使い倒す
tonefotografia/iStock/Thinkstock

「情報収集力」とは、誰もが簡単に得られる情報ではなく、現場でしか得られない、さりげなく目にする情報を入手する力を指す。こうした情報を効率よく集めるには、調べたい分野において独自の知見をもった「目利き」に相談することだ。

相談する際も、ミニマム思考の人は、自分なりの仮説に沿った質問を用意することを忘れない。

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要約公開日 2016.10.03
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