「勘違いする力」が世界を変える。

未 読
「勘違いする力」が世界を変える。
ジャンル
著者
丸幸弘(編)
出版社
リバネス出版 出版社ページへ
定価
1,620円
出版日
2016年07月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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丸幸弘(編)
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定価
1,620円
出版日
2016年07月01日
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4.0
明瞭性
4.5
革新性
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レビュー

これは素晴らしい対談集だ。本書に登場する科学ベンチャーは、どれもこれもワクワクさせるものばかり。また同時に、創業者たちがどのような思いでベンチャーを立ち上げたのか、そして困難をどのようにして乗り越えていったのかを知ることで、科学技術立国である日本の抱える課題への理解も深まるだろう。

本書の編者であり、対談相手を務めている丸 幸弘(まる ゆきひろ)氏は、「科学技術分野において世界を変えたい」という情熱をもった若手研究者を発掘し、研究成果の事業化を支援している。彼自身もベンチャー経営者であり、サイエンスとビジネスをつなげる「コミュニケーター」として、長年活躍してきた人物だ。だからこそ、研究者の知を発掘するプラットフォーム、そして掘り起こした知を育てて世界に巣立たせるためのエコシステムの構築に対する情熱は計り知れない。

世界を変えるほどの力をもつ創業者たちには、「必ず実現する」という「勘違いする力」が備わっている。だからこそ、その力に引き寄せられるように人が集まってくるし、そうした創業者たちを支援していくべきだと丸氏は考えている。「本気で解決したい課題や疑問」をもつ起業家が次々と現れる土壌を、はたして日本が今後つくれるのかどうか。本書を読めば、その答えの一端が見えてくるにちがいない。

石渡 翔

著者

丸 幸弘(まる ゆきひろ)
1978年神奈川県横浜市生まれ。幼少期の4年間をシンガポールで過ごす。2006年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程終了、博士(農学)。
2002年6月に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立し、日本で初めて「最先端科学の出前実験教室」をビジネス化した。世界から研究者の知を集めるインフラ「知識プラットフォーム」を通じて、200以上のプロジェクトを進行させる。2014年12月に東証一部に上場した株式会社ユーグレナの技術顧問、孤独を解消するロボットをつくる株式会社オリィ研究所、日本初の大規模遺伝子検査ビジネスを行なう株式会社ジーンクエスト、次世代風力発電機を開発する株式会社チャレナジー、腸内細菌ベンチャーの株式会社メタジェンなど、30社以上のベンチャーの立ち上げにも関わるイノベーター。

本書の要点

  • 要点
    1
    科学ベンチャーをさらに発展させるためには、サイエンスとビジネスを結びつける「コミュニケーター」の存在が必要だ。
  • 要点
    2
    起業を成功させるためには、中軸となる人物が3人いなければならない。それぞれが互いの弱みを補い、強さを生かせる環境を整えるべきだ。
  • 要点
    3
    ベンチャーは少数精鋭でメンバーを揃え、その領域の「核」になる部分を押さえるべきである。「核」を押さえておけば中心的な存在になれるだけでなく、他業種との連携もしやすくなる。

要約

【必読ポイント!】 ミドリムシで上場したバイオベンチャー

科学ベンチャーの両輪を回すには
Phil jackson/iStock/Thinkstock

世界初のユーグレナ(ミドリムシ)の食用大量培養に成功し、「ミドリムシが地球を救う」ことを信念にかかげる株式会社ユーグレナの出雲 充(いずも みつる)代表取締役社長は、もともとサイエンスで起業するつもりはなかったという。

しかし大学1年生の頃、夏休みを利用してバングラデシュのグラミン銀行でインターンをした出雲氏は、現地の人達が栄養問題で苦しんでいることを知ることとなる。バランスの良い栄養が取れず、多くの命が失われていく現状を憂いた出雲氏は、その後文学部から農学部に移った。栄養問題を解決するためにはサイエンスが必要不可欠だからだ。

大学卒業後、一度は就職したものの、すぐに退職した出雲氏は、課題解決の糸口を探るため、多くの先生を訪ねていった。そしてそのなかで、ミドリムシの栄養価の高さに着目した。

科学者はまず、ミドリムシの生態を解明したがるものだ。出雲氏のように「みんなに配ろう」という発想はなかなか出てこない。科学者を巻きこみ、実際に行動を起こしてはじめて、科学ベンチャーはうまく動きはじめるのである。

日本での起業はいいことばかり

米国の起業を取り巻く環境はすばらしく、一方で日本では起業がしにくいとよく言われている。しかし、出雲氏はまったく逆の考えだ。米国の場合、ベンチャーがユニークなテクノロジーを持っていても、GoogleやFacebookといったメガベンチャーが早い段階で取りこんでしまい、死蔵されることも少なくない。

しかし、日本での起業は創業期にとても苦労することになるものの、一度実績ができはじめると、大企業から個人まで、多くの人々が手助けしてくれる。そのため、日本から次々とすばらしいベンチャー企業が出てくる可能性は十分あると出雲氏は語る。

特にミドリムシの場合、競合がいないため、大成功しても誰も困らないのも大きい。他社や大学の技術、アイデアを組みあわせて技術革新を起こそうとする「オープンイノベーション」を成功させるためには、ミドリムシのように、大企業と競合しないアイデアや技術が最適なのだ。

科学をビジネスに育てる方法
altrendo images/Stockbyte/Thinkstock

日本でも、サイエンスやテクノロジーをコア技術にしたベンチャーが育つ土壌が育ちつつある。その土壌をさらに豊かにするためには、サイエンスとビジネスを融合させる「コミュニケーター」の存在が必要だ――本書の編者であり、株式会社リバネスの丸 幸弘代表取締役CEOはそう語る。

出雲氏にとってのコミュニケーターがまさに丸氏であった。経営には技術だけでなく、商品・サービス化のアイデア、人材ネットワークなど、広範な知識や情報が求められる。それらを提供するのがコミュニケーターの役割だ。

コミュニケーターとして1番大切なのは、科学者が何に対して情熱を燃やしているかを引き出すことだと丸氏は考えている。

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起業・イノベーション サイエンス
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2016年07月01日
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