グッドワークス!

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グッドワークス!
ジャンル
著者
フィリップ・コトラー デビッド・ヘッセキエル ナンシー・リー ハーバード社会企業大会スタディプログラム研究会(訳)
出版社
東洋経済新報社 出版社ページへ
定価
2,376円
出版日
2014年09月12日
評点(5点満点)
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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レビュー

本書は、企業が「善いこと」をしたうえで、さらに良い業績を残すために何をすべきなのか、豊富な事例とともに明らかにした一冊だ。

かつては、企業の行う「善いこと」、すなわちCSR(社会的責任)活動といえば、スポーツや文化活動への寄付や、従業員による地域清掃のボランティア活動といったように、本来の事業とは関係が薄く、企業にとっては「コスト」として認識されるようなものがほとんどであった。

しかし時代は変わった。今では、企業の社会的課題に対するアクションのほとんどが、そのまま企業の事業内容に直結している。つまり、これはCSR部門だけではなく、従業員全員に関わりのある話なのだ。

マーケティングや企業の社会的取り組みの概念化、計画策定、実行、および評価は、実に大変な作業である。限られた資源をうまく分配しながら、自分の企業にも地域社会にも好ましい結果をもたらすような戦略的政策やプログラムを策定しなければならない。本書は、そのような使命を持つビジネスパーソンにとって、きわめて実践的なマネジメント・ガイドとなるであろう。

マーケティングの泰斗であるコトラー氏の著作ということもあり、本書はマーケティングに関する記述が中心となっている。それゆえ、本業そのものを社会にとって「善いこと」にするにはどうしたらよいかという視点は、少し弱いかもしれない。とはいえ、自分の携わる仕事によって、世界を少しでも善い方向に変えたいと考えている方には、ぜひ一読をお薦めしたい。

猪野 美里

著者

フィリップ・コトラー (Philip Kotler)
ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院インターナショナル・マーケティングS.C.ジョンソン・アンド・サン特別教授。
マーケティングの世界的権威の1人であり、今日までの約40年間に発表された著作物は世界のマーケティングの流れを定義づけてきた。

デビッド・ヘッセキエル (David Hessekiel)
コーズ・マーケティング・フォーラム(CMF)社長。
コーズ・マーケティング・フォーラムのウェブサイト (www.causemarketingforum.com) は、世界中の大企業幹部がこぞって最新情報、研究論文や企業事例を入手するため、さらに、CMF社のプログラムや出版物を得るためにアクセスしているサイトである。『フォーブス』、『メディアポスト』、『ハフィントンポスト』のブロガーでもあり、また産業アナリストとしても最近活躍しているほか、企業や非営利期間の人々に向けて、コーズ・マーケティングやCSRについての講演を定期的に行っている。

ナンシー・R・リー (Nancy R. Lee)
ソーシャル・マーケティング・サービス社長。
ワシントン大学非常勤教授。100を超す非営利期間向けにコンサルティング業務を行うほか、公的機関向けに50件以上ものソーシャル・マーケティング・キャンペーン戦略の開発に携わる。本書は同氏とフィリップ・コトラーの共著として第9作目にあたる。

本書の要点

  • 要点
    1
    コーズ(社会的な貢献を目的とする企業の主義主張)の選択は非常に重要である。自分の業務とつながりが深く、主たる価値観に整合するコーズを選択しなければならない。
  • 要点
    2
    企業が長期的な社会貢献活動を行っていくうえで鍵となるのは、外部団体との協力関係だ。適切な協力団体を選定し、法的な合意や契約を交わすことを怠ってはならない。
  • 要点
    3
    企業は社会貢献活動についての定期的な実態調査や報告を行うなど、活動の透明性を高める体制を構築していくべきである。

要約

【必読ポイント!】単なる寄付から事業活動と直接結びついた活動へ

企業の社会的責任が大きく変わってきている
tameek/iStock/Thinkstock

1990年代以前は、「善いことをしなければならない」という社会的圧力の高まりを受け、あくまでそれに対処するために、企業として支援する対象を選ぶことが多かった。また、利益誘導していると思われないよう、主要商品と関係のありそうなものは避けられた。どの団体を支援するかは、結局のところ、会社幹部や取締役会の好みにより左右されていたのだ。

しかし、現在の傾向はそれとはまったく異なっている。企業の事業目的を支持する、あるいは主要製品や市場に関連があり、市場シェアや浸透率の上昇、ブランド構築につながるような社会的課題に取り組むことが多くなった。さらに、コミットメントは長期的なものとなり、企業のノウハウ(専門知識や技術支援・サービス)提供や、使用しない機器の寄付のような現物供与もするようになっている。プログラムの評価測定を行うことも当たり前となった。

企業の社会的課題に対する取組みがこのような変化を遂げたのは、こうした取り組みが売上や市場シェアの向上、ブランド強化、企業イメージの向上、従業員の定着率向上、営業コスト削減、投資家へのアピールなど、さまざまなかたちで、企業の最終利益に貢献することが明らかになってきたためである。

たとえば、化粧品製造・販売業のザ・ボディショップは、設立当初からフェア・トレードや動物実験反対などをしてきたことで知られるが、マスコミからの評判があまりにも良かったため、新たに会社の宣伝をする必要がなかったという。

マーケティング部門主体の社会貢献活動

注意深く課題を選択せよ
SIphotography/iStock/Thinkstock

企業が行う社会的責任活動は、(1)コーズ・プロモーション、(2)コーズ・リレイテッド・モデル、(3)ソーシャル・マーケティング、(4)寄付や助成金による活動、(5)従業員のボランティア、(6)社会的責任のある事業、の6種類に分けられる。そのうち、前者3つは、マーケティング部門主導で行われるものだ。一方、後者3つは、マーケティング部門というよりは、企業全体の取組みとして行われるものである。それぞれの活動には長短があるため、その特性を把握して取り組む必要がある。

まず、コーズ・プロモーションについて考えてみよう。「米国で毎晩空腹のまま眠る子どもの数」のようなキャンペーンを打ち出し、社会的課題に注目させるのがコーズ・プロモーションであり、その狙いは、企業が社会から注目を集め企業イメージを向上させていくことにある。しかし、その実施方法によっては、キャンペーンに協賛する多数の企業のうちの1つになってしまったり、短期的なキャンペーンに終わってしまったりする可能性がある。その場合、投資額やその効果が把握しにくい。

このようなコーズ・プロモーションの側面を考慮し、自社製品と会社の価値に結びつく課題を注意深く選択している企業がある。乳がん患者支援団体とのパートナーシップを形成し、取引先となる小売業者に強くアピールすることに成功したヨープレイ・ヨーグルトはその好例だ。

顧客の感情に訴えろ

コーズ・リレイテッド・マーケティングとは、製品の収益の一部、もしくは現物を非営利団体や財団に寄付することで、消費者の関心を引いて購買意欲を向上させる手法である。反面、消費者の行動が直接的に寄付につながっているゆえに、企業の貢献や寄付活動に透明性が保たれていない場合、消費者の信頼を損なってしまうというリスクを抱えている。

そのような事態を避けるためには、寄付の条件について具体的な契約書を交わす、法的制限と開示請求に対し適切な準備をしておく、寄付金について信頼性ある追跡システムを確立しておくなどの対策が必要不可欠だ。

コーズ・リレイテッド・マーケティングをうまく成功させている企業には、いくつかの特徴がある。

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経営戦略 マーケティング
著者
フィリップ・コトラー デビッド・ヘッセキエル ナンシー・リー ハーバード社会企業大会スタディプログラム研究会(訳)
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定価
2,376円
出版日
2014年09月12日
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