2050年の世界
英『エコノミスト』誌は予測する

未 読
2050年の世界
ジャンル
著者
英『エコノミスト』編集部 船橋洋一(解説) 東江一紀(訳) 峯村利哉(訳)
出版社
文藝春秋
定価
1,750円 (税抜)
出版日
2012年08月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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2050年の世界
英『エコノミスト』誌は予測する
著者
英『エコノミスト』編集部 船橋洋一(解説) 東江一紀(訳) 峯村利哉(訳)
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出版社
文藝春秋
定価
1,750円 (税抜)
出版日
2012年08月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
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レビュー

未来予測系の本は面白い。これまでも本の要約サイトflierでは「ワーク・シフト」「100年予測」「感情の地政学」など、未来の世界情勢を予測する書籍を紹介しており、本書「2050年の世界」もそのひとつである。著者は、世界的にも最も権威のあるメディアのひとつである英『エコノミスト』の編集部で、各章を担当する記者・ライター陣の未来への洞察の鋭さには驚かされる。

本書は全4部20章からなり、一人の記者・ライターが一つの章を担当している。具体的には、第1部「人間とその相互関係」、第2部「環境、信仰、政府」、第3部「経済とビジネス」、第4部「知識と科学」という4つの部(テーマ)にわけて40年後の未来が予測されている。その4部20章全部の内容についてハイライトで紹介することは困難であるため、今回は注目すべき4つの章に関して紹介させていただく形式を採用した。

なお、本書において日本は悲観的に捉えられている点が多い。日本という国家を客観的に分析するエコノミスト誌の主張を我々日本人が真摯に受けとめることは、今後の日本が成長するためには必要不可欠であろう。これからの数十年をビジネスパーソンとして駆け抜けるであろう若年層世代にこそ、読んでいただきたい一冊である。

著者

英『エコノミスト』誌
1843年に英国で創刊された週刊誌。ニュースをただ報道するのではなく、その背後の意味、将来に与える影響を解説し、大きなトレンドを深い洞察をもって伝える特集スタイルの記事を得意とする。インターネット全盛の時代に、没落する他の紙媒体を尻目に、2000年には100万部だった部数を2012年には160万部まで増やしている。
グループ内にエコノミスト・インテリジェンス・ユニットというシンクタンクを抱えているのも特長のひとつで、単なる印象論ではなく、膨大なデータをもとにした分析でも定評がある。200カ国以上で読まれ、アメリカの読者の3分の2が年収10万ドル以上であるなど、グローバルエリートが読む雑誌のひとつでもある。

船橋 洋一(解説)
日本を代表するジャーナリスト。歴史を動かした国際的な事件や合意の舞台裏とその歴史的意味を、各国の政権中枢にまで入り込んで、描き出すという手法を得意とする。通貨交渉の舞台裏を追った『通貨烈烈』(1988年吉野作造賞)、90年代の日米同盟の質的変換をうきぼりにした『同盟漂流』(1998年新潮学芸賞)、2000年代の朝鮮半島核危機をめぐる六カ国協議を多面的に描いた『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』(2006年)などの著書がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    突出して多い世代が労働年齢に達した時、その国は急成長する。これを「人口の配当」という。さらにその世代がリタイヤし、被扶養世代になると、その配当は負へと変化する。今後人口の配当を受ける地域はインドとアフリカと中東、負の配当を受けるのは日本と欧州、そして中国である。
  • 要点
    2
    ソーシャル・ネットワーク・サービスのこれまでの成功は、物理的世界における友情の概念を仮想世界へ移行させられることを示してきた。利用者が描く“ソーシャル・グラフ”は人間関係のネットワークと興味対象のネットワークを明らかにし、あらゆる分野に大きな影響をもたらすだろう。
  • 要点
    3
    2050年には世界の半分がアジア経済となる。しかし、日本は急速にプレゼンスを失っていく。2010年には世界経済の5.8パーセントを占めていた日本のGDPは、2050年には1.9パーセントになるだろう。

要約

人口の配当を受ける成長地域はここだ

人口の配当とはなにか

人口動態はある程度確実に未来の予測ができる指標であり、すべての予測の基礎となるものである。2050年には、世界人口は90億人を超えることが見込まれる。その中でもナイジェリアとタンザニアの人口は驚くべきペースで増大していくことが予想される。

また、世界的趨勢として高齢化が進み、世界の平均年齢は2010年から2050年までに9歳上がって38歳となる。富裕国では100歳まで生きることが普通になる。一方で、出生率は世界的に低下し、2050年には2・1になると予測される。その結果、世界の人口増のスピードは減速し、やがて人口増加はとまる。

出生率の低下は、ある世代のみが突出して多いという現象を生み出す。その世代が年齢層のどこにいるかで、その国の経済が変わってくる。このでっぱりの世代が労働年齢に達した時、その国は急成長する。これを「人口の配当」という。さらにその世代がリタイヤし、被扶養世代になると、その配当は負へと変化する。

人口の配当を受けるアフリカはアジアに続く経済成長地域になるか
iStock/Thinkstock

これから人口の配当を受ける地域は、インドとアフリカと中東である。これらの国々は2050年には中位数年齢が40歳を下回り、大量の安い労働力を利用することができる。しかし、労働者人口の増加は成長の向上につながる場合もあるが、彼らが仕事にあぶれれば、社会の不安定性が進むことになる。特にアフリカと中東ではそのリスクが高まるだろう。

インドの場合は、成長は継続され、被扶養者率は向上し続けるだろう。今後40年間でインドの人口構成は中国より有利になると予想される。要するに、インドにおける低賃金の製造とサービスは中国よりも長続きするわけだ。

日本は世界史上最も高齢化の進んだ社会になる

これから人口の負の配当を受けるのは、日本と欧州、そして中国である。

特に日本の高齢者比率は長いあいだ世界最高を維持しており、今なおその比率は高まっている。2050年までに、被扶養者数と労働年齢の成人数が肩を並べるだろう。過去を振り返っても、このような状況に直面した国は存在しない。

日本がこの高齢化の重荷をどう背負うかは定かではない。たとえ出生率が大幅かつ持続的に回復したとしても、高齢化トレンドを逆転させるまでには最低でも20年という膨大な時間が必要となる。

きわめて大規模な移民流入は、年金生活者を支える若年労働者の供給と、暫時の出生率の上昇を通じて、状況の改善に一役買うこととなるだろう。移民を受け入れるためには、痛みを覚悟したうえで、社会的姿勢を一変させなければならないが、受け入れ国の高い所得水準を考えれば、何らかの対策を打つ余地は残っているはずだ。

ソーシャル・ネットワークの可能性

ソーシャル・グラフ
iStock/Thinkstock

世界は今、前代未聞の集団的実験の真っただ中にある。ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)であるフェイスブックの会員数は本書執筆時点で約8億人と言われている。

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英『エコノミスト』編集部 船橋洋一(解説) 東江一紀(訳) 峯村利哉(訳)
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文藝春秋
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