
「読書感想文に何を書けばいいかわからない」「読書感想文を書く本選びに迷う」「本は読んだけれど、原稿用紙を前にすると手が止まってしまう」。そんな悩みを抱えている人、そして保護者は多いのではないでしょうか。
読書感想文は、本のあらすじをまとめるものではありません。本を読んで「自分がどう感じたか」「何を考えたか」を、自分の体験や考えと結びつけて書く文章です。基本的な構成さえ知っておけば、想像よりも簡単に書き進められるでしょう。
この記事では、読書感想文に向いている本の選び方から、序論・本論・結論の組み立て方、題名のつけ方まで、簡単に実践できる書き方を解説します。 さらに後半では、小学生・中学生・高校生それぞれの書き方のポイントや例文、おすすめ本も紹介します。
読書感想文を書くとき、最初に悩むのが本選びです。
「感想文を書きやすい本を選んだほうがいいのでは?」「有名な本や課題図書のほうが評価されるのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、自由に本を選べるのであれば、何より大切にしたいのは、自分が「読みたい」「おもしろそう」と思える本を選ぶことです。
好きなスポーツがあるならスポーツをテーマにした物語、動物が好きなら動物が登場する本、科学に興味があるなら科学のノンフィクション。自分の興味があるテーマなら、読み進めやすいのはもちろん、自然と疑問や感情が生まれやすく、感想文に書きたいことも見つけやすくなります。
反対に、「感想文を書きやすそうだから」という理由だけで興味のない本を選ぶと、読むこと自体が苦痛になりかねません。読書感想文のために読む場合でも、まずは読書そのものを楽しめる一冊を探してみましょう。
保護者が本選びを手伝う場合も、大人が「この本なら書きやすいよ」と決めてしまうのではなく、「どんな話が好き?」「最近、気になっていることはある?」と問いかけながら、本人が興味を持てる本を一緒に探すのがおすすめです。
読書感想文は、思いついたことを最初から順番に書いていくより、あらかじめ全体の構成を決めておくとスムーズに書けます。
基本となるのは、「序論・本論・結論」の3部構成です。小学生なら、「はじめ・なか・おわり」と考えてもよいでしょう。
・序論(はじめ):本を選んだ理由や、印象に残った場面などを書く
・本論(なか):本を読んで感じたことや考えたことを、自分の経験などと結びつけて書く
・結論(おわり):読書によって自分がどう変わったか、これからどうしたいかを書く
大切なのは、本の内容そのものよりも「自分」について書くことです。「主人公が○○をしました。次に△△が起こりました」とあらすじを説明するだけでは、読書感想文ではなく本の紹介になってしまいます。
「その場面を読んで自分はどう思ったのか」「なぜそう思ったのか」「自分にも似た経験はないか」と考えることで、自分にしか書けない読書感想文になります。
序論は、読書感想文の最初の部分です。
「私は『○○』という本を読みました。この本を読んだ理由は……」と書き始めるのもいいでしょう。しかし、続きが読みたくなる、印象的な書き出しにするには、次のような工夫もできます。
本の中で特に心に残ったセリフや場面があるなら、そこから始める方法があります。
たとえば、「『逃げてもいい』という言葉を読んだとき、私は少し驚いた。」といった書き出しです。そのあとに、「私はそれまで、嫌なことから逃げるのはよくないことだと思っていた」と続ければ、自然に自分の考えへとつなげられます。
印象的な言葉を引用するときは、引用だけで終わらせず、「なぜその言葉が気になったのか」「読んだとき、どんなことを考えたのか」まで書くことが大切です。
本を読んで生まれた疑問を、そのまま冒頭に置くのもおすすめです。
たとえば、「友達のためなら、自分が損をしてもいいのだろうか。」「本当の勇気とは、怖くないことなのだろうか。」といった書き出しです。
最初に問いを提示して、その問いについて本論で考え、最後に自分なりの答えを書くと、文章全体に一本の軸ができます。
問いは難しいものでなくても構いません。本を読みながら「どうして?」「自分ならどうする?」と思ったところを探してみましょう。
「なぜこの本を読もうと思ったのか」から書き始める方法もあります。
たとえば、「私がこの本を手に取ったのは、表紙に描かれた犬が、昔飼っていた犬に似ていたからだ。」「野球部の先輩にすすめられたことが、この本を読むきっかけだった。」などです。
そして、その本と出会ったときに自分がどう感じたのかまで書くと、自分らしい文章になります。
「最初はあまり読みたくなかった」「タイトルを見ておもしろそうだと思った」など、読む前の気持ちも覚えておきましょう。
ネガティブな第一印象が、読み進めるにつれ、ポジティブに変わっていったという流れにするのもいいでしょう。読後の気持ちと比較すれば、本論や結論にもつなげやすくなります。
読書感想文において、最も多くの文字数を使いたいのが本論です。
本論では、あらすじを詳しく説明するのではなく、印象に残った場面を取り上げながら、自分の経験や考えを掘り下げていきます。
「本の中では○○だった→私はこう思った→なぜなら自分にはこんな経験があるからだ」というように、本と自分を行き来しながら書くのがポイントです。
「感想が『おもしろかった』『感動した』しか思いつかない」という人は、本の内容に似た自分の経験を探してみましょう。
たとえば、主人公が友達とけんかをする場面が印象に残ったなら、自分が友達とけんかしたときのことを思い出します。
「主人公はすぐに謝ったけれど、自分はなかなか謝れなかった」
「主人公の気持ちは、自分にもわかると思った」
「自分だったら、主人公とは違う行動をしたと思う」
――このように比較すると、書けることが一気に増えます。
大きな出来事である必要はありません。学校での出来事、家族や友達との会話、習い事、部活動など、日常の小さな経験で十分です。
読書感想文は、本についての「正しい感想」を書くものではありません。本を読んだ自分だからこそ思い出したこと、考えたことを書くことが重要です。
本を読む前と後で、自分の考えがどう変わったかを比べるのも効果的です。
たとえば、「私は以前、失敗はできるだけしないほうがいいと思っていた。しかし、この本を読んで、失敗したからこそ気づけることもあるのだと考えるようになった。」というように書きます。
といっても、大きな変化がなくてもかまいません。
「以前よりも○○について考えるようになった」
「自分の考えがすべてではないと気づいた」
「わかっていたつもりだったが、実は深く考えたことがなかった」
こうした小さな変化に目を向けてみるのもいいでしょう。
本を読む前の自分と、読んだ後の自分を比較すると、「この本を読んだことで何を得たのか」が伝わりやすい読書感想文になります。
中学生や高校生なら、著者の考えに対して「自分はどう思うか」を書くのもおすすめです。
著者の意見にすべて賛成する必要はありません。
「著者は○○と述べている。たしかに△△という点には納得できる。しかし、私は□□という場合もあると思う」というように、自分なりの意見を書いてみましょう。
大切なのは、「賛成です」「反対です」だけで終わらせず、そう考えた理由を書くことです。自分の経験やニュースで知った出来事、学校で学んだことなどと結びつけると、より説得力のある文章になります。
結論は、読書感想文全体を締めくくる部分です。
本論までに書いた内容をすべて繰り返すのではなく、「この本を読んで、自分に何が残ったのか」を簡潔にまとめます。
書きやすいのは、読む前と読んだ後の変化を示す方法です。
たとえば、「この本を読むまで、私は失敗することを恥ずかしいと思っていた。しかし今は、失敗したときに何を学ぶかのほうが大切なのだと思っている。」といった形です。
序論で「読む前の自分」について触れておけば、結論で「読んだ後の自分」を書くことで、文章全体がきれいにつながります。
本を読んで考えたことを、これからの行動につなげて終える方法もあります。
たとえば、「次に友達と意見がぶつかったときは、すぐに自分の考えを押し通すのではなく、まず相手がどう思っているのかを聞いてみたい。」といった形です。
「これからは頑張りたいです」と漠然と書くのではなく、「何を」「どうするのか」まで具体的に書くのがポイントです。
読書感想文を書き終えたら、最後に題名を考えます。
書く前に考えてもかまいませんが、すべて書き終えてから、文章に合う題名をつけるのがおすすめです。
定番は「『○○』を読んで」という題名。もちろんこれでもかまいませんが、自分の感想文の中心となるテーマを題名にすると、より内容が伝わりやすくなります。
たとえば、「私が考えた本当の勇気」「失敗は本当に悪いこと?」「あの日の私と主人公」「『ありがとう』を言える人になりたい」などです。
本文の中で何度も登場する言葉や、最後にたどり着いた自分なりの答えを題名にしてみるとよいでしょう。
原稿用紙に題名を書く場合、学校から指定された書き方があれば、それに従いましょう。
題名が長く1行に収まらない場合は、無理に短くするのではなく、意味の切れ目が自然になるところで次の行に送ります。
ただし、長すぎる題名は内容が伝わりにくくなることもあります。「自分が一番伝えたいことは何か」を考え、できるだけ簡潔な言葉にできないか検討してみましょう。
題名だけでは読んだ本がわかりにくい場合などは、副題を付ける方法もあります。
たとえば、「私が考えた本当の勇気――『○○』を読んで」といった形です。
副題の書き方について学校や応募先から指定がある場合は、そのルールを優先してください。
基本的な構成ができたら、もう一歩だけ文章を深めてみましょう。
難しい言葉をたくさん使う必要はありません。「自分が何を感じ、なぜそう感じたのか」を具体的にすることが大切です。
「おもしろかった」「すごいと思った」「感動した」と書くだけでは、どのように心が動いたのかが読み手に十分伝わりません。
そこで、もう一度「なぜ?」と自分に問いかけてみましょう。
「感動した」
→「なぜ感動した?」
→「主人公が自分より友達を優先したから」
→「なぜそれが心に残った?」
→「自分は同じ状況で同じことができる自信がないから」
ここまで考えれば、「主人公が自分より友達を優先した場面を読んで、私は自分に同じことができるだろうかと考えた。」と、具体的な感想を書けます。
難しい感情表現を知っている必要はありません。「なぜそう思ったのか」を一段深く考えるだけで、文章はぐっと自分らしくなります。
原稿用紙を埋めようとして、「学校ではこんなことがあった」「家ではこんなこともあった」と、たくさんのエピソードを並べたくなることがあります。
しかし、エピソードは数を増やすより、一つを詳しく書くほうが効果的です。
たとえば「友達とけんかした経験」を使うなら、「けんかしました」で終わらせず、「何がきっかけだったのか」「そのとき自分は何を言ったのか」「どんな気持ちだったのか」「今振り返るとどう思うのか」「本の登場人物との違いは何か」と掘り下げていきます。
一つの経験を深く考えることで、本を読んで自分が何に気づいたのかが伝わる文章になります。
本の中の印象的な言葉を引用するのも、読書感想文を具体的にする方法の一つです。
ただし、引用しただけで終わらせないようにしましょう。
「○○という言葉が心に残りました。」だけではなく、「○○という言葉が心に残りました。なぜなら私は、それまで△△だと思っていたからです。」というように、引用と自分の考えをセットにします。
引用する部分が長くなりすぎると、自分の感想を書くスペースが減ってしまいます。必要な部分に絞り、その言葉から何を感じ、何を考えたのかを中心に書きましょう。
読書感想文の基本はどの年代でも同じですが、学年によって求められる文章量や、できることは異なります。
青少年読書感想文全国コンクールでは、小学校低学年(1・2年生)は本文800字以内、小学校中学年(3・4年生)・高学年(5・6年生)は1,200字以内、中学生・高校生は2,000字以内とされています。
さらに、以下の点に注意しましょう。
・句読点は1字に数える
・改行の空白箇所も字数に数える
・題名、学校名、氏名は字数に数えない
学校独自の課題では別の文字数が指定される場合もあるため、実際に書き始める前に学校からの指示を確認しましょう。
小学校1・2年生の場合、最初から一人で原稿用紙に感想を書こうとすると難しく感じることがあります。
そんなとき、保護者は文章そのものを考えてあげるのではなく、子どもの中にある感想を引き出す役を担いましょう。
「どこがおもしろかった?」
「誰が一番好きだった?」
「びっくりしたところは?」
「自分だったらどうする?」
などと質問してみます。
答えが返ってきたら、「どうしてそう思ったの?」ともう一度聞いてみましょう。子どもが話した言葉をメモしておけば、それが感想文の材料になります。
・好きな場面をひとつだけ深掘りすればOK低学年では、本全体について書こうとしなくてもかまいません。
「一番おもしろかったところ」「一番悲しかったところ」など、好きな場面を一つ選び、その場面について詳しく書くだけでも立派な読書感想文になります。
「どんな場面だった?」
「そのときどう思った?」
「自分にも似たことがあった?」
と順番に考えてみましょう。
・「よい感想文」より「楽しむ」を優先低学年では、立派な文章を完成させること以上に、「本を読んで、感じたことを言葉にするのは楽しい」と思えることが大切です。
大人が言葉を直しすぎると、子ども自身の文章ではなくなってしまいます。少しくらい幼い表現でも、本人が実際に感じたことなら、それを大切にしましょう。
【小学校低学年の例文】「ぼくは、主人公が一人で友だちを助けに行ったところが一番すごいと思いました。ぼくだったら、こわくて行けないと思ったからです。でも、前に弟が転んで泣いていたとき、ぼくはすぐにお母さんをよびに行きました。ぼくも少しだけ主人公と同じだったのかなと思いました。こんどこまっている人を見つけたら、できることをしてあげたいです。」
3・4年生になると自分で文章を書ける子も増えますが、何を書けばいいのか整理する段階では、大人のサポートが役立ちます。
ただし、「ここにはこう書きなさい」と内容を決めるのではなく、低学年と同様に質問によって考えを引き出すのが基本です。
特に、「どうしてそう思ったの?」「自分にも似たことはなかった?」という2つの質問は、感想を深める助けになります。
・項目ごとにメモ・リストを作ってから書き始めてみるいきなり原稿用紙に書き始めるのではなく、まずメモを作るのがおすすめです。
たとえば、
・この本を選んだ理由
・一番心に残った場面
・その場面を読んだときの気持ち
・自分の似た経験
・本を読んで気づいたこと
の5項目について、一言ずつ書き出します。
材料がそろったら、それを「はじめ・なか・おわり」の順に並べて文章にしていきます。
【小学校中学年の例文】「私はこの本を読むまで、友達ならいつも同じ意見でいるのがいいと思っていました。だから、主人公が親友に『それはちがうと思う』と言った場面を読んで、けんかにならないのかなと心配しました。でも二人は、自分の考えを話したあと、前よりおたがいのことをわかり合っていました。私にも、友達に合わせて本当は嫌だったことを言えなかった経験があります。この本を読んで、相手を大切にすることと、何でも相手に合わせることはちがうのだと思いました。」
高学年では、登場人物の行動を説明するだけでなく、「自分だったらどうするか」まで考えてみましょう。
「主人公は勇気があると思った」なら、「自分だったら同じ行動ができるだろうか」と考えます。自分と登場人物の似ているところ、違うところを比較すると、自分ならではの考えが生まれます。
・出来事+そのときの気持ちをセットで書く自分の経験を書くときは、出来事だけでなく、そのときの気持ちまでセットにします。
「去年、転校生がクラスに来た」だけではなく、「去年、転校生がクラスに来た。話しかけたいと思ったが、何を話せばいいかわからず、結局その日は声をかけられなかった。」とすれば、その場面での迷いまで伝わります。
・題名は「〇〇を読んで」から一歩ひねったものにする高学年になったら、本文のテーマが伝わる題名にも挑戦してみましょう。
たとえば友情について考えたなら「友達だから言えること」、挑戦について考えたなら「失敗した人だけが見えるもの」など、本文の中心となる考えを短い言葉にします。
【小学校高学年の例文】「『失敗しても、またやり直せばいい』。私はこの言葉を読んだとき、本当にそうだろうかと思った。私は去年、ピアノの発表会で何度も間違え、それ以来、人前で弾くのが怖くなったからだ。でも主人公は失敗したあと、自分の苦手なところを一つずつ練習していた。私は失敗したことより、『もう失敗したくない』と思って何もしなくなったことのほうが問題だったのかもしれない。次の発表会では、間違えないことだけを目標にせず、最後まで弾くことを楽しみたい。」
中学生になると、感想だけでなく、その理由を筋道立てて説明することが求められるようになります。
2,000字程度を書く場合でも、エピソードをたくさん詰め込む必要はありません。中心となる体験を一つ決め、その経験をしたときの状況や感情、本との共通点・相違点を詳しく書きましょう。
短い感想文なら体験談を簡潔にし、その分、本から考えたことを中心にするなど、指定された字数に合わせて配分を調整します。
・自分の将来や社会との関わりを一言混ぜる本を読んで考えたことを、自分の将来や身の回りの社会に少し広げてみるのもおすすめです。
たとえば、環境問題を扱った本なら、「自分の生活では何ができるか」、働くことを扱った本なら、「自分は将来どんな働き方をしたいか」と考えます。
ただし、急に大きな社会問題へ話を広げる必要はありません。あくまで、本を読んだ自分の考えの延長として書くことがポイントです。
【中学生の例文】「私はこれまで、『努力すれば必ず報われる』という言葉をあまり疑ったことがなかった。しかし、この本には、どれだけ努力しても望んだ結果を得られなかった人物が登場する。最初は、その結末に納得できなかった。だが考えてみると、私も部活動の大会で、練習したのにレギュラーになれなかった経験がある。当時は努力が無駄になったように感じたが、その後、後輩に教える立場になったとき、練習してきた経験が役に立った。努力は必ず『望んだ結果』につながるわけではない。しかし、別の形で自分に残ることはある。この本を読んで、努力の意味を以前より広く考えられるようになった。」
高校生の読書感想文では、「共感した」「感動した」という個人的な感想から一歩進み、著者の主張を検討する視点を持つと、文章に深みが出ます。
「著者の考えは、どんな前提に立っているのか」
「別の立場から見るとどうだろうか」
「現代社会にも当てはまるだろうか」
と考えてみましょう。
もちろん、難しい社会問題を無理に盛り込む必要はありません。自分の身近な経験と社会の出来事をつなげるだけでも、視野の広がりを示せます。
・字数に応じて構成配分を変える高校の課題では、600字程度の短い感想文から2,000字程度のものまで、さまざまな字数が指定されます。
600字程度なら、印象に残った論点を一つに絞り、「本の内容→自分の考え→結論」とシンプルにまとめます。
2,000字程度なら、序論で問題提起をし、本論で本の内容と自分の経験・社会との関係を検討し、結論で自分なりの答えを示すなど、論理的に構成するとよいでしょう。
【高校生の例文】「『自分らしく生きる』という言葉は、一見すると自由で前向きに聞こえる。しかし本書を読み、私は『自分らしさ』という言葉そのものが、人を苦しめる場合もあるのではないかと考えた。SNSでは、好きなことを仕事にした人や、自分の個性を生かして活躍する人の姿を日常的に目にする。それを見ていると、明確な夢を持っていない自分は遅れているように感じることがある。本書が示しているのは、他人の価値観をそのまま自分の基準にしないことの重要性だと私は受け取った。自分らしさとは、最初から見つけなければならない答えではなく、さまざまな経験や選択を重ねた結果として、あとから形になっていくものなのかもしれない。」
読書感想文を書く本に「これが正解」というものはありません。
ここでは、flierで要約を読める本の中から、自分の考えや経験と結びつけやすい本を年代別に紹介します。


宮沢賢治の代表作の一つです。ジョバンニとカムパネルラの旅を通して、友情や幸せ、生と死など、さまざまなことを考えられます。
すべてを理解しようとするより、「なぜか心に残った場面」を一つ選び、自分が何を感じたのかを掘り下げるのがおすすめです。
『オズの魔法使い』

不思議な国オズに迷い込んだ少女ドロシーが、かかしやブリキの木こり、ライオンとともに冒険する物語です。
友情や勇気、自分を信じることなどさまざまなテーマが描かれているため、「自分だったらどうするか」と登場人物に自分を重ねながら、心に残った場面を掘り下げてみるのがおすすめです。
『星の王子さま』

小さな星からやってきた王子さまが、さまざまな星をめぐり、地球で出会った人や動物との交流を通して大切なことに気づいていく物語です。
友情や愛情、「本当に大切なものとは何か」などについて、自分の身近な人との関係や経験と結びつけて考えてみると、感想を深めやすいでしょう。


名前のない猫の視点から、英語教師・苦沙弥先生とその周囲の人々をユーモラスに描いた夏目漱石の代表作です。
猫の目を通して人間の言動を眺めるおもしろさに注目し、「なぜ猫の視点で描いたのか」「自分には人間たちがどう見えたか」を考えてみると、感想を深めやすいでしょう。
『スマホ脳』

スマートフォンが人間の脳や生活に与える影響について考える一冊です。
中学生にとってスマートフォンは身近な存在だからこそ、「自分はどのくらいスマホを使っているか」「使い方を変えたいと思ったか」など、自分の経験と結びつけて書きやすいでしょう。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

人種や格差、ジェンダーなど、現代社会にあるさまざまな問題を、日常生活の具体的な出来事から考えられる一冊です。
社会問題について論じるだけでなく、「自分ならその場面でどう考えるか」と自分自身に引き寄せて書くと、深みのある感想文になります。


詩人になる夢を抱きながら挫折し、虎の姿になってしまった李徴の物語を通して、自尊心や劣等感、人間の弱さを描いた中島敦の代表作です。
「なぜ李徴は虎になったのか」を自分なりに考え、夢や才能、他人からの評価に対する自分の考えと結びつけると、深みのある感想文を書きやすいでしょう。
『きみのお金は誰のため』

お金を切り口に、社会の仕組みや働くことについて考えられる本です。
「お金は何のためにあるのか」「働くとはどういうことか」といった問いから、自分の将来や身近な社会へと考えを広げやすく、読書感想文の題材にも向いています。
『夜と霧』

強制収容所での経験をもとに、人間が生きる意味について考えた一冊です。
決して軽い内容ではありませんが、「人は困難の中で何を支えに生きるのか」「自分にとって生きる意味とは何か」など、高校生だからこそ向き合える問いが数多くあります。
生成AIに読書感想文をすべて作ってもらい、それをそのまま自分の作品として提出することはおすすめできません。
読書感想文の大切な目的の一つは、本を読んで自分が感じたことを言葉にすることです。自分で考えて文章にする経験は、文章力や思考力を鍛える機会にもなります。
また、コンクールなどに応募する場合は、それぞれの応募規定を必ず確認してください。本人が書いたオリジナル作品であることが条件になっている場合、AIが生成した文章をそのまま提出すると、その条件を満たさない可能性があります。
一方で、AIを「考えるための相手」として使う方法はあります。
たとえば、本を読み終えたあと、「この本を読んだけれど、何を書けばいいかわからない。感想を引き出す質問をして」と頼み、AIから質問してもらいます。
「どの場面が一番印象に残った?」
「その人物の行動に賛成? 反対?」
「自分にも似た経験はある?」
といった質問に自分の言葉で答えていけば、書きたい内容を整理できます。
構成を考えるための壁打ちや、誤字脱字のチェックなどに活用する方法もあります。ただし、最終的な文章は自分自身で考えて書くことを大切にしましょう。
AIの文章には独特のニュアンスがあるため、AIを使ったことがわかってしまうケースもあります。
読書が苦手なら、最初から長い本や難しい名作に挑戦する必要はありません。
ページ数が少ない本、短編集、興味のあるテーマのノンフィクションなど、「これなら読めそう」と思える本から選びましょう。
映画やドラマ、アニメになった作品から選ぶ方法もあります。すでに物語の大まかな流れを知っていれば、本を読むハードルが下がることがあります。
ただし、読書感想文はあくまで「本を読んだ感想」を書くものです。映像作品だけを見て感想文を書くのではなく、原作を読んだうえで、必要なら映像との違いを考えてみるのもよいでしょう。
また、一度に全部読もうとせず、「今日は10ページ」「15分だけ」と区切るのもおすすめです。
課題図書や指定された本を読んでも、「何を言っているのかわからない」「感想が思いつかない」ということはあります。
そんなとき、最初から本のすべてを理解しようとしなくても構いません。
まず、「ここだけは気になった」「この場面だけはわかった」という部分を探してみましょう。そこから、
「なぜ気になったのか」
「自分ならどうするか」
「理解できなかったのはなぜか」
と考えていけば、感想文の材料になります。
本の要約や書評を補助的に読んで、本のテーマや背景を確認する方法もあります。ただし、他人の感想をそのまま自分の感想として使うのではなく、理解を助けるための参考資料として活用しましょう。
わからなかったこと自体から書き始める方法もあります。
「最初に読んだとき、私は主人公がなぜこんな行動をしたのかわからなかった。」などと書き出し、そこから考えた過程を書けば、それも自分にしか書けない読書感想文になります。
読書感想文を書くときに大切なのは、立派なことを書くことでも、本のあらすじをきれいにまとめることでもありません。
基本は、「本を読んで何を感じたか」「なぜそう感じたか」「自分の経験や考えとどうつながったか」を言葉にすることです。
何を書けばいいかわからないときは、まず印象に残った場面を一つ選び、「なぜ?」と自分に問いかけてみましょう。
そして、読書感想文を「序論(はじめ)・本論(なか)・結論(おわり)」の3つに分けて考えれば、文章を組み立てやすくなります。
最初から上手な文章を書こうとする必要はありません。本を読んだときに生まれた「おもしろい」「不思議だ」「自分とは違う」「自分も同じだ」という小さな気持ちこそ、読書感想文の出発点です。
まずは、その気持ちを一つ、自分の言葉で書き出してみてください。