〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る

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〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る
出版社
出版日
2016年07月25日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

自分自身を試されるような大事な場面に遭遇したとき、誰しも大きなプレッシャーを感じるはずだ。とたんに不安な気持ちが押し寄せて、それまでは普通に振る舞えていたことも当たり前にできなくなってしまう。このような状態に抗う方法はあるのだろうか。

本書の著者である社会心理学者のエイミー・カディは、2012年に世界的なプレゼンテーションのイベント「TEDグローバル」でプレゼンテーションを行った。その内容とは、著者自身が「インポスター症候群(詐欺師症候群)」に苦しみながらも、それを克服した話だ。著者のプレゼンテーションは世界中に動画配信され、大きな反響を呼んだ。しかも、その反響のどれもが著者の体験に共感を示すものである。本書は、著者が長年注目し続けてきた「プレゼンス」の研究をまとめた一冊だ。

著者がプレゼンスの研究をはじめたきっかけは、事故によって脳に大きなダメージを負う怪我を経験したことである。本書では、その怪我を克服した彼女の体験から、身体と心の関係を解き明かしている。さらに、他者と自分にプラスの効果を与えてくれる、パワーを感じたときに行うしぐさ(=パワーポーズ)について、科学的な研究結果を交えて説明している。ストレスを乗り切るために、本書を読んでパワーポーズを日常に取り入れてみてはいかがだろうか。

ライター画像
流石香織

著者

エイミー・カディ
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)経営学准教授(交渉術・組織・市場ユニット)。専門は社会心理学。非言語行動が人間に与える影響について研究。《タイム》誌で「ゲーム・チェンジャー」に、《ビジネス・インサイダー》誌で「世界を変える50人の女性」に、世界経済フォーラムで「ヤング・グローバル・リーダー」に選ばれている。
19歳のとき、頭部を強打する交通事故により深刻な外傷性脳損傷を負い大学を長期休学。このケガとリハビリがきっかけで心理学に興味を抱く。1998年、コロラド大学卒業(心理学専攻)、2005年、プリンストン大学にて社会心理学の博士号取得。ラトガース大学、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院を経て、2008年からHBSで教鞭を執る。
本書執筆のきっかけとなった2012年のTEDトーク(Your Body Language Shapes Who You Are は世界中で大反響を呼び、約3,500万回の再生数を記録している(TED史上2位)。夫、息子とボストン在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    真の自分自身に従った表現(=プレゼンス)は、人をひきつけ、自らをプレッシャーなどのマイナス感情から開放する。
  • 要点
    2
    「この場にふさわしくない」と感じる「インポスター症候群(詐欺師症候群)」は、誰もが陥りやすい状態だ。しかし、不安を自覚することでインポスター症候群を軽減することができる。
  • 要点
    3
    自らが感じるパワーには、社会的なものと個人的なものの2種類がある。そのうち、とくに個人的なパワーを持つことが重要である。個人的なパワーはプレゼンスにつながる。

要約

プレゼンスは説得力を持つ

大事な場面で普段の実力を出せない原因
TakakoWatanabe/iStock/Thinkstock

人生を変えるような、大事な場面で自分の力を出し切れない。このような経験は、誰しも体験したことがあるだろう。大きなプレッシャーのかかる場面で不安な気持ちばかりを優先して、良い結果に至るまでの自分をイメージできずに、その結果、失敗を招いてしまう。不安を感じるからこそ、「今、この瞬間」に集中できない状態なのである。

この不安を制するには、自分が成功するストーリーを信じることが必要である。しかし本当に「信じる」ことができなければ、逆効果を生むことになる。

多くの人は、自分の目の前にいる人物が自信や熱意のある「ふり」をしていると、敏感に感じとる。たとえば、採用試験で好印象を与えようと、無理やり笑顔をつくった応募者に対して、面接官は「作為的な笑顔」と感じる。

このように熱意や情熱、自信などの第一印象は意図的に演出しにくいため、それらは信頼できる情報となりうるのだ。よって、先のことばかりを考えて、今に集中していない態度は相手に見破られる。反対に、本当の自分を表現すると、相手にもそれが伝わるのだ。

著者が体験したプレゼンス(存在)の無い状態

著者は社会心理学を専攻し非言語行動が人間に与える影響を研究しているが、過去にプレゼンス(自信の表現)のない状態を経験している。

そのとき著者は、まだ博士課程の学生であった。ある学会で著名な学者たちの前で自分の研究成果を発表することにとても不安を覚えていた。その結果が教授の職に直結する、いわば就職活動だったからである。

そして著者は学会の会場で偶然にも3人の著名な学者とエレベーターに乗り合わせた。そこで「エレベーターピッチ」と呼ばれる、短時間で自分を売り込むことトークに挑戦したのだが、焦りや不安が先行してしまい、全く上手く話すことができず、散々な結果となった。そして、学会の期間中、その場面を繰り返し思い出しては後悔を深めることになった。

プレゼンスとは何か
Tijana87/iStock/Thinkstock

本書で唱えるプレゼンスとは、「自分の真の気持ちや考え、価値観、可能性に耳を傾け、自然にそれを表現できている状態」のことである。さらに、永久に変わらないものではなく、その瞬間ごとに移り変わる現象を指す。

プレゼンスは、いつわりのない自分で、かつ個人的にパワーを感じるときに実現できる。このとき、私たちの表情や姿勢、しぐさは連動するのである。そのような、いわば一体となった自己は人をひきつける力を持つ。さらにプレゼンスを持つと、ストレスのかかる状況下でも不安などのマイナス感情を感じにくくし、後悔やフラストレーションを起こさないメリットがある。

ときに、人は不安になると緊張する。ここで注意したいのは、

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要約公開日 2016.12.30
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