休む技術

かしこくコスパを上げる大人のオン・オフ術
未読
休む技術
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かしこくコスパを上げる大人のオン・オフ術
未読
休む技術
出版社
大和書房
出版日
2013年05月22日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

どうやら、日本人は休みを取るのがヘタなようだ。世界的なオンライン旅行予約サービス、エクスペディアの有給休暇に関するアンケート結果によると、日本は調査対象22カ国中で有休消化率がワースト1位であり、その数値は38%であるという。ちなみに隣国の調査結果は、韓国は70%、台湾は100%という数値だ。

このアンケートによると、日本人が有休を消化しない理由として「同僚から否定的な見方をされる」という声が数多く寄せられたそうだ。日本では有休をネガティブに捉える風潮があるのは間違いない。逆に、休みを取らず、毎日夜遅くまで働く努力をしている姿が会社から評価されるという側面も少なからずあるだろう。空気を読んで休みを取らず、残業に勤しむのだ。

この現状はおそらく、今後も変わらないことだろう。長年組織に根付いた文化は、そう簡単には変わらないからだ。しかし、一部のワーカホリックを除いて、心から休みが欲しくないと思っている人はそういないだろう。

本書は、休めない組織に所属する、本当は休みたいと思っている人にうってつけの書籍だ。本書には「休む技術」に関して、数十個のティップスが紹介されている。休みにくい組織でいかにしてパフォーマンスを維持・向上していくべきか。この問いへの答えとして「休む技術」は欠かせないと私は思う。本書の内容を頭の片隅に置いておけば、いつでも創造性を持って最高のアウトプットを出せるスーパービジネスパーソンになれるに違いない。

著者

西多 昌規
精神科医・医学博士。自治医科大学精神医学教室・講師。1970年、石川県生まれ。東京医科歯科大学卒業。国立精神・神経医療研究センター、ハーバード・メディカル・スクール研究員を経て、現職。日本精神神経学会専門医、睡眠医療認定医など、資格多数。スリープクリニック銀座でも診療を行うほか、企業の精神科産業医として、メンタルヘルスの問題にも取り組んでいる。

本書の要点

  • 要点
    1
    毎日午後2~3時は予定を入れない時間とするなど、業務時間中に敢えて「サボる時間」を作るのも集中力を維持するためには効果的な手法である。
  • 要点
    2
    興味のある対象に没頭しすぎてしまっている場合が、度を越してしまうと、心身の疲労を脳が認識できなくなってくるため注意が必要である。
  • 要点
    3
    寝不足の日にワーキングメモリをフル稼働させるためには、15分間の仮眠が有効である。
  • 要点
    4
    人間関係につらくなったら、平日にリフレッシュデイを設けて人間関係を「休む」べし。
  • 要点
    5
    有休がとりにくい場合でも、有休を取る計画を立てることが肝要である。

要約

暮らしをゆるめてこまめに休む技術

仕事の中に「サボる時間」を「計画」すればラクになる
flashfilm/Digital Vision/Thinkstock

「昔は3人でやっていた仕事を、今は2人でやらされる」

本書の著者である西多氏は、診察室でしばしばこのような話を聞くという。リストラの影響や心身の病によって休んでしまった同僚のぶんの仕事もカバーしなければならない、というケースも後を絶たないそうだ。

こうした現状を踏まえ、「上手に手抜きをする、サボる作法は厳しい今後の日本社会を生きていくうえでは欠かせないスキルだ」と西多氏は主張する。サボると聞いてネガティブな印象を持つ人も多いかもしれない。しかし、「成果を上げる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする」というドラッカーの主張を拡大解釈すると、「サボる」時間確保から始めなさい、とも読み取れるのではないか。

具体的にサボる時間を確保するために、本書では例として次の手法を提案している。

1.毎日、午後2~3時を調整時間として空けておいて予定を入れない

2.前の仕事が2時台に食い込んでしまっても、その後の予定を変えない

3.定時になったら、残業する日でも15分のブレイクタイムをとる

4.スケジュール表の「サボる時間」枠は、書き込めないように斜線を引いてしまう

「面倒くさい」ことは、「とりあえず」始めてみる

いざとなるとやり始めるのに結構時間がかかってしまう、という経験は誰しも持っているのではないか。試験勉強をしなければならないのに、デスクや部屋の方付けをしてしまう。書類の準備が明日までなのに、なぜだかネットサーフィンをしてしまうといった具合だ。

実はこのような「回避行動」は、「取りかかったら、結構手こずるのではないか」という不安が一種の原因となっている。したがって、まずはこの不安を払拭するのが良い。

そのためには、やるべき作業をいくつかのプロセスに分割するところから始めるべきだ。最低でも第一ステップは今日済ませるなど、区切りの感覚を持つのである。気合を入れるよりも、「とりあえずなにかする」ことが効果的なのだという。ドイツの精神医学者、クレペリンが作業を始めてみるとだんだんやる気がでる現象を「作業興奮」と名付けたが、いかに早く「作業興奮」に入れるかが、仕事を手早く済ませるコツなのである。

からだをゆるめて休ませる技術

睡眠の取り方を変えれば、パフォーマンスを上げられる
moodboard/moodboard/Thinkstock

日本人の睡眠時間は戦後から短くなる一方である。日本人は総じて、睡眠不足気味なのだ。西多氏が診療を行っているクリニックでも、「睡眠不足症候群」で困っている人が予想以上に多いという。昼間の会議で居眠りしそうになった、眠くて頭が回らないといった症状がそれである。

本書では、快眠の基本こそが重要であると述べられている。快眠の基本とは何も珍しいことではなく、食事、運動、入浴、嗜好品など当たり前の注意事項を守ることだ。

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要約公開日 2014.02.19
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