日本迷走の原点
バブル

未 読
バブル
ジャンル
著者
永野健二
出版社
定価
1,836円
出版日
2016年11月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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バブル
日本迷走の原点
バブル
著者
永野健二
未 読
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定価
1,836円
出版日
2016年11月20日
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総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
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レビュー

1980年代、日本はバブルの真っ只中にいた。本書はその激動の時代を見事に総括した一冊だ。

バブルは世界中のいたるところで起きている現象ではあるが、その内実は国や地域の文化・歴史を色濃く反映する。著者がバブルをただの金融現象ではなく、文化現象でもあると強調するのはそのためである。日本の80年代後半のバブルを理解するためには、戦後の復興と高度経済成長を支えた、日本独自の経済システムを理解しなければならない。本書はバブル以前の日本の経済システムから、バブルがはじけた後の展開まできちんとカバーしており、多角的にバブルという現象を分析しているという点で、まさに白眉のできだと言えるだろう。

「バブルとは、グローバル化による世界システムの一体化のうねりに対して、それぞれの国や地域が固有の文化や制度、人間の価値観を維持しようとしたときに生じる矛盾と乖離であり、それが生み出す物語である」――著者はバブルをそう定義づける。

バブルという狂乱の時代を理解することは、現在の日本の姿を理解するうえでもきわめて重要である。日本という国がどのような道筋をたどり、これからどこへたどり着こうとしているのかを考えるうえでも、本書は素晴らしい案内役となってくれるにちがいない。

石渡 翔

著者

永野 健二 (ながの けんじ)
1949年東京都生まれ。京都大学経済学部卒業後、日本経済新聞社入社。証券部の記者、編集委員として、バブル経済やバブル期の様々な経済事件を取材する。その後、日経ビジネス、日経MJの各編集長、大阪本社代表、名古屋支社代表、BSジャパン社長などを歴任。共著に『会社は誰のものか』『株は死んだか』『宴の悪魔――証券スキャンダルの深層』『官僚――軋む巨大権力』 (すべて日本経済新聞社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    バブルは1985年のプラザ合意をきっかけにして始まった。
  • 要点
    2
    金融自由化による直接金融の増加や、大企業の自立化によって収益基盤が弱体化した銀行は、土地の融資を積極的にするようになった。
  • 要点
    3
    バブル期は、「財テク」に励むほうが本業よりもはるかに儲かる時代だった。
  • 要点
    4
    バブル崩壊後、盤石と思われた「土地神話」や「銀行不倒神話」は崩れさった。
  • 要点
    5
    宮沢喜一首相による公的資金の注入が実現していれば、日本復活のチャンスはあった。

要約

バブルが膨れあがるとき

プラザ合意からすべては始まった
Ingram Publishing/Thinkstock

バブルのそもそものきっかけは、1985年のプラザ合意であった。これにより、経済政策が一国だけで完結する時代が終わり、日銀は長期の金融緩和を余儀なくされた。

プラザ合意とは、ニューヨークのプラザホテルでのG5会合後に発表された、マクロ経済政策の協調とドル高是正のための協調介入を決めた声明のことを指す。この目論見は成功し、先進国が一体となった世界規模の政策としては、それまでないほどの効果をあげた。その反面で、G5の利害調整や各国の国内政策との整合性などについては十分に考えられておらず、のちのち多くの問題を引き起こすことになった。

プラザ合意を理解するうえでは、3つのポイントが挙げられる。1つ目は、米国の「強いアメリカ」路線が貿易赤字と財政赤字の拡大によって持続不可能になったため、「強いドル」を放棄する必要があったことである。2つ目は、世界経済の指導力が、米国単体からG7(先進7カ国首脳会議)と呼ばれる先進諸国に移ったことで、各国の負担の調整手段として、為替政策が全面に出てきたことだ。そして3つ目は、為替政策による調整を最優先としたことで、さまざまな矛盾に満ちた政策がぶつかり合うことになったことである。日本のバブルを生みだした過度な金融緩和政策もそのひとつであった。

いずれにせよ、プラザ合意を契機に円高が急速に進み、円は国際通貨として存在感を強めていった。日本経済のグローバル化と金融自由化が促進されたことで、日本企業はファイナンスを通じて海外の資金を持ちこむようになり、それもバブル加速の要因となった。一方で、プラザ合意による円高により、ドル資産に資金を移動していた銀行、生保、事業会社は、巨額の評価損を被りかねない状況に追いこまれていった。

バブルによって何が変わったか

銀行が土地を積極的に融資しはじめた
AlexRaths/iStock/Thinkstock

バブル崩壊後の「失われた20年」と呼ばれる日本経済の長期低迷と、銀行の経営危機の大きな原因は、1986年から89年にかけての土地をめぐる取引にある。バブルは、株価と地価が相互に干渉しあいながら上昇することで生じたが、それを加速させたのは、銀行の節度を越えた土地融資への傾斜であった。

土地を通じてバブルが拡大した背景を理解するうえで、「含み益」の存在を無視することはできない。含み益とは取得原価(簿価)と時価の差益であり、企業のもつ含み益の大半は所有土地の評価であった。当時、日本の土地価格は制度的に曖昧であり、企業の会計制度における時価主義も不徹底であったため、本来は株主に帰属するはずの含み益は、企業経営者の自由裁量に委ねられていた。

くわえて、メインバンクは土地を時価評価し、含み益を担保に企業や経営者に融資していた。土地の価格が上昇しつづけるかぎり、たとえ赤字経営が続いていたとしても、銀行は貸し倒れしない。日本の経済制度として、

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産業・業界 政治・経済
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2016年11月20日
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