なぜ日本企業は勝てなくなったのか
個を活かす「分化」の組織論

未 読
なぜ日本企業は勝てなくなったのか
ジャンル
著者
太田肇
出版社
定価
1,296円
出版日
2017年03月25日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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なぜ日本企業は勝てなくなったのか
なぜ日本企業は勝てなくなったのか
個を活かす「分化」の組織論
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太田肇
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1,296円
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2017年03月25日
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4.2
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4.5
革新性
4.0
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レビュー

日本企業は今まで社員の勤勉さとチームワークを強みに、目覚ましい成長を遂げてきた。しかし、日本人の仕事に対する熱意や労働生産性は急落の一途をたどり、日本経済は長期の停滞からいまだ抜け出せていない。さらには、名だたる企業や官公庁での組織的不祥事の頻発、思うように進まない「働き方改革」、正社員と非正社員の待遇格差といった諸問題が横たわっている。なぜこうした課題が解決できないのか? 

組織論研究の第一人者である著者によると、それは共通する病根が見逃されているからだという。この病根は、個人が組織や集団から「分化」されていないこと、つまり「未分化」にあるという。日本の企業では社員が組織に埋没し、共同体の圧力の中で過度な忠誠と貢献を求められている。この状態は短期的には、集団に受け入れられたいという欲求を満たす。しかし、社員一人一人の能力発揮を妨げ、長期的には組織や社会にさまざまな歪みを生んでしまう。現状を打破するには、組織や集団から個人を「引き離す」ことで、分化と真の統合をめざすしか手はないという。

本書では、未分化が引き起こしている問題と原因をあぶりだし、分化によって個人と組織が享受できるメリットや、分化した個人が協働するための道筋が、明快に描かれている。日本の組織や社会に広く蔓延する未分化という現象にメスを入れ、凝り固まった既成概念を壊してくれる一冊だ。新しい働き方、組織づくりを模索しているすべての読者にお薦めしたい。

松尾 美里

著者

太田 肇(おおた はじめ)
1954(昭和29)年兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。経済学博士。専門は個人を尊重する組織の研究。『個人尊重の組織論』『承認欲求』『公務員革命』『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』など、著作多数。講演やメディアでの登場も多い。

本書の要点

  • 要点
    1
    組織ぐるみの不祥事やブラック企業の横行、女性活躍の難航などの根本には、個人が組織や集団から分化されていないという問題がある。
  • 要点
    2
    未分化な組織では、仲間からの同調圧力が強く、個人の仕事の分担が不明確であることが、個人のモチベーションの低下につながっており、組織の活力を奪っている。
  • 要点
    3
    分化が進めば、個人のモチベーションや生産性が向上し、「異質なチームワーク」を発揮できるようになる。また、不祥事の抑制や女性活躍、ダイバーシティの推進にもつながる。

要約

「未分化」が引き起こしていること

「分化」とは何か

企業や役所の不祥事、長時間残業に象徴されるブラックな職場、女性活躍推進の実効性の低さ。こうした問題が解決されないのは、個人が組織や集団から分化されていないという根本の課題に手つかずになっているためだ。

分化とは、個人が組織や集団から制度的、物理的、あるいは認識的に分別されている状態を指す。一方、未分化とは、個人が組織や集団の中に溶け込み、埋没してしまっている状態を意味する。分化には程度の違いがある。例えば独立や在宅勤務の導入は強い分化であり、職場での仕事の分担の明確化やフレックスタイム制の導入は比較的弱い分化に、そして「のれん分け」や「社内FA制度」などはその中間に位置づけられる。

企業の不祥事が後を絶たないのはなぜか
Purestock/Thinkstock

社員の過労自殺や不適切な会計処理といった、大企業による組織ぐるみの不祥事が相次いでいる。官庁や警察でもガバナンスの欠陥が厳しく指摘されて久しい。こうした不祥事の背景には、日本企業特有の組織構造が成員に圧力をかけるという共通点がある。その組織構造とは、共通利害と濃密な人間関係で結びついた、内向きな「共同体型組織」を指す。

共同体型組織では、成員は「会社を守るため」といった大義名分のもと、過度な忠誠心や貢献が求められる。個人の職務と権限が明確に決まっていないため、人事評価には上司の主観、しかも態度や意欲といった情意面が入りやすい。こうした状況下では、部下は無制限の忠誠を示すべく、場合によっては不正に手を染めることがあるのだ。

さらには、「集団無責任体制」も不祥事を誘発する要因となっている。非公式な場での空気や、あうんの呼吸によって実質的な意思決定がなされるため、責任の所在があいまいになっていく。しかも、人間関係が濃密であるために、上司や仲間の不正を見逃すようになってもおかしくはない。

共同体型組織の中の空気は、世間的常識といった「外気」の影響をさほど受けない。不祥事対策のために管理強化が謳われたところで、成員は組織の論理を優先し、ますます上司の顔色をうかがうようになるだけだ。このように、不祥事が発生し、その防止がうまくいかない理由にも、個人の未分化が深く関係している。

ブラック企業一掃と女性活躍推進を阻む壁

過労死や長時間労働の問題を撲滅できないのも、個人の未分化による社会的・心理的プレッシャーが大きく影響している。長時間労働が常態化している職場では、上から与えられた目標達成に向け、社員が一丸となって無理をしている様子が見てとれる。集団的な職務編成のもとでは、誰かが早く帰ったり、有給休暇を取ったりすると、

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