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最後の超大国インドの表紙

最後の超大国インド

元大使が見た親日国のすべて


本書の要点

  • インドではカースト制度がいまだ根強いものの、4つの柱から成る政治文化に支えられて、民主主義が機能している。

  • インドの親日ぶりは筋金入りだ。仏教という精神的な絆をもっていること、そして日本がインド独立を支援したことへの感謝から、インドは日本を兄弟国と認識している。

  • インド外交は冷戦後に大きく路線変更し、非同盟主義から世界の大国へと歩を進めた。政治的には東アジア重視のアクト・イースト政策をとり、世界での存在感は増してきている。

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インドを知る

桁違いの大きさ

KishoreJ/iStock/Thinkstock

インドが大きい国であることは周知の事実である。だが具体的な数字で確認すると、その桁違いの大きさに驚く。国土総面積は日本の約9倍で、インド亜大陸と呼ばれることもあるほどだ。

人口は12億1000万人(2011年の国勢調査公式統計)。現時点では中国に次いで世界第2位だが、2025年頃までには中国を抜くのではないかと予想されている。すでに人口オーナス期(人口構成の変化が経済にとってマイナスに作用する状態)に入っている日本や中国と異なり、インドでは若い人口が増加中で、きれいなピラミッド型の人口構成となっている。

一人当たり国民所得も増加傾向である。2016年の国内総生産(GDP)は世界第7位、購買力平価ベースでは世界第3位だ。経済発展とともに教育レベルも向上し、識字率は大幅に改善され、現在では80%を超えていると考えられる。「インドは貧しい途上国」というイメージは、すでに過去のものなのだ。

インドの大きさは選挙にも見て取れる。インド最大のウッタルプラデシュ州は人口2億人以上を擁する。この規模で選挙をするとなると、その労力たるや大変なものだ。だから人口の大きな州の場合、投票は7〜9回に分けて行なわれる。一度にやりたくても、選挙の管理や警備人員、場所の確保ができないためである。インドが「世界最大の民主主義国」と称されるのも納得といえよう。

世界最大の民主主義国

XtockImages/iStock/Thinkstock

独立当初から民主主義体制のインドだが、この世界最大の民主主義国はどのように運営・維持されているのだろうか。

インドでは実質的に、カースト制度が根強く残っている。貧富の格差や教育の機会が均等でないことなど、問題は山積みだ。その一方で、基本的な民主主義はしっかり機能している。

民主主義がうまくインドに浸透している背景には、次の4つの柱から成る政治文化が挙げられる。

1つ目の柱は有権者の積極的な参加意欲だ。インドの政党は国民会議派(コングレス)、インド人民党(BJP)、共産党、大衆社会党(BSP)などの全国政党と、大多数の地域政党から構成される。2014年には、合わせて大小363もの政党が存在していた。州によっては地方政党の力が強く、全国政党が政権を取れない場合もあるため、必然的に連立政権となる。特に低カーストの投票率が高く、次の選挙に希望を託して政権交代させるべく、自らを代表する政党をつくり支援することもある。

2つ目の柱はマスコミである。インドでは新聞やテレビなどのマスメディアが発達している。多言語の国ということもあり、ローカル紙を含めると新聞の発行部数はきわめて多い。しかもそれぞれが権力に迎合しない姿勢をもっているので、レベルも非常に高い。

3つ目の柱は裁判所だ。インドの司法制度は日本と同じく、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所の三審制である。特に最高裁判所の質や清廉さは先進国並みだ。ここが世界最大の民主主義を守る砦の役割を担っている。

4つ目の柱は軍である。軍の最高司令官は大統領だ。軍は首相や国防大臣などの文民に従い、忠誠心が高い。実際インドでこれまでクーデターが起こったことは一度もない。

多様性を統一するシステム

「多様性の中の統一」とは、初代ネルー首相の言葉だ。

混血を重ねて複雑化した人種構成、方言を含めると800を超える言語、そして歴史、文化。こうした多様性を受け入れる器の大きさがありながら、インドでは国としての統一がしっかりと維持されている。そこには2つの工夫がある。

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要約公開日 2017.12.10
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