最後の超大国インド
元大使が見た親日国のすべて

未 読
最後の超大国インド
ジャンル
著者
平林博
出版社
定価
1,870円(税込)
出版日
2017年06月26日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.0
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元大使が見た親日国のすべて
著者
平林博
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定価
1,870円(税込)
出版日
2017年06月26日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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おすすめポイント

インドといえば、人口増加、経済発展、親日国、仏教・ヒンドゥー教の国。インド旅行の経験もビジネス上の接点もなく、身近にインド人の知り合いでもいなければ、一般的にはこのようなイメージだろう。

しかし本書を読みすすめていけば、インドのもつ凄まじさが「これでもか」というぐらいわかってくるはずだ。とにかくスケールが違うのである。いまや世界第2位になったインドの人口だが、これでは具体的にイメージしにくいかもしれない。しかしインド最大の人口を擁する州が2億人以上の規模だと聞けば、どうだろう。日本が丸ごと入ってしまう大きさだ。選挙があると当然、投票は一度にやりきれない。複数回に分けて実施されるという。

さらに親日度合いも飛び抜けている。驚くべきなのは、昭和天皇の崩御に際して、インドが3日間の服喪を宣言したことだ。他国の元首が逝去するにあたり、国を挙げて喪に服することはめったにない。インド独立に貢献した日本に対する感謝のあらわれだといえよう。加えて日本の政府開発援助(ODA)が、貧困対策や環境保護だけでなく、主要都市でのメトロ交通網建設などにつながっていることも、日本に対する高い評価をもたらしている。

元日本大使としてインドに在勤された著者の言葉は、等身大のインドの姿を私たちに教えてくれる。本書を通して、ぜひインドのリアルを感じとってみていただきたい。

ライター画像
金井美穂

著者

平林 博 (ひらばやし ひろし)
日印協会理事長・代表理事
1963年東京大学法学部卒業、外務省入省。在外公館では、イタリア、フランス、中国、ベルギー、及び米国に勤務。本省では、官房総務課長、経済協力局長等を歴任。在米大使館参事官時代に、ハーバード大学国際問題研究所フェロー兼同研究所日米関係プログラム研究員。1990年駐米公使、1995年内閣官房兼総理府外政審議室長(現在の内閣官房副長官補)、1998年駐インド特命全権大使、2002年駐フランス特命全権大使、在任中にリヨン第二大学より名誉博士号を授与、2006年在外公館査察担当大使。2007年外務省退官。同年から現職。
退官後、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科客員教授、国土交通審議会委員、日本国際フォーラム副理事長、日本戦略研究フォーラム会長、数社の社外取締役などを歴任。
著書に『首脳外交力 首相、あなた自身がメッセージです!』(日本放送出版協会)、『フランスに学ぶ国家ブランド』(朝日新聞出版)、『あの国以外、世界は親日!』(ワニブックス)、『日本とインド いま結ばれる民主主義国家』(文藝春秋、共著)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    インドではカースト制度がいまだ根強いものの、4つの柱から成る政治文化に支えられて、民主主義が機能している。
  • 要点
    2
    インドの親日ぶりは筋金入りだ。仏教という精神的な絆をもっていること、そして日本がインド独立を支援したことへの感謝から、インドは日本を兄弟国と認識している。
  • 要点
    3
    インド外交は冷戦後に大きく路線変更し、非同盟主義から世界の大国へと歩を進めた。政治的には東アジア重視のアクト・イースト政策をとり、世界での存在感は増してきている。

要約

インドを知る

桁違いの大きさ
KishoreJ/iStock/Thinkstock

インドが大きい国であることは周知の事実である。だが具体的な数字で確認すると、その桁違いの大きさに驚く。国土総面積は日本の約9倍で、インド亜大陸と呼ばれることもあるほどだ。

人口は12億1000万人(2011年の国勢調査公式統計)。現時点では中国に次いで世界第2位だが、2025年頃までには中国を抜くのではないかと予想されている。すでに人口オーナス期(人口構成の変化が経済にとってマイナスに作用する状態)に入っている日本や中国と異なり、インドでは若い人口が増加中で、きれいなピラミッド型の人口構成となっている。

一人当たり国民所得も増加傾向である。2016年の国内総生産(GDP)は世界第7位、購買力平価ベースでは世界第3位だ。経済発展とともに教育レベルも向上し、識字率は大幅に改善され、現在では80%を超えていると考えられる。「インドは貧しい途上国」というイメージは、すでに過去のものなのだ。

インドの大きさは選挙にも見て取れる。インド最大のウッタルプラデシュ州は人口2億人以上を擁する。この規模で選挙をするとなると、その労力たるや大変なものだ。だから人口の大きな州の場合、投票は7〜9回に分けて行なわれる。一度にやりたくても、選挙の管理や警備人員、場所の確保ができないためである。インドが「世界最大の民主主義国」と称されるのも納得といえよう。

世界最大の民主主義国
XtockImages/iStock/Thinkstock

独立当初から民主主義体制のインドだが、この世界最大の民主主義国はどのように運営・維持されているのだろうか。

インドでは実質的に、カースト制度が根強く残っている。貧富の格差や教育の機会が均等でないことなど、問題は山積みだ。その一方で、基本的な民主主義はしっかり機能している。

民主主義がうまくインドに浸透している背景には、次の4つの柱から成る政治文化が挙げられる。

1つ目の柱は有権者の積極的な参加意欲だ。インドの政党は国民会議派(コングレス)、インド人民党(BJP)、共産党、大衆社会党(BSP)などの全国政党と、大多数の地域政党から構成される。2014年には、合わせて大小363もの政党が存在していた。州によっては地方政党の力が強く、全国政党が政権を取れない場合もあるため、必然的に連立政権となる。特に低カーストの投票率が高く、次の選挙に希望を託して政権交代させるべく、自らを代表する政党をつくり支援することもある。

2つ目の柱はマスコミである。インドでは新聞やテレビなどのマスメディアが発達している。多言語の国ということもあり、ローカル紙を含めると新聞の発行部数はきわめて多い。しかもそれぞれが権力に迎合しない姿勢をもっているので、レベルも非常に高い。

3つ目の柱は裁判所だ。インドの司法制度は日本と同じく、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所の三審制である。特に最高裁判所の質や清廉さは先進国並みだ。ここが世界最大の民主主義を守る砦の役割を担っている。

4つ目の柱は軍である。軍の最高司令官は大統領だ。軍は首相や国防大臣などの文民に従い、忠誠心が高い。実際インドでこれまでクーデターが起こったことは一度もない。

多様性を統一するシステム

「多様性の中の統一」とは、初代ネルー首相の言葉だ。

混血を重ねて複雑化した人種構成、方言を含めると800を超える言語、そして歴史、文化。こうした多様性を受け入れる器の大きさがありながら、インドでは国としての統一がしっかりと維持されている。そこには2つの工夫がある。

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