アート×テクノロジーの時代
社会を変革するクリエイティブ・ビジネス

未 読
アート×テクノロジーの時代
ジャンル
著者
宮津大輔
出版社
定価
994円
出版日
2017年06月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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アート×テクノロジーの時代
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社会を変革するクリエイティブ・ビジネス
著者
宮津大輔
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定価
994円
出版日
2017年06月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.0
革新性
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レビュー

今存在している仕事の多くは、10~20年後にはコンピューターやAIに取って代わられる可能性が高いと聞く。一方、コンピューターは全く何もないところから創造するクリエイティブな作業が苦手だという。特に芸術分野のような創造的な領域は、人間の強みを発揮しやすい領域として残ると予測されている。

本書では、人類に残された最後の分野といえる「アート」が今後果たすであろう役割について論じられている。アートは絵画や彫刻といった従来の枠を超えて、テクノロジーと融合し、新しい価値創造に寄与する、というのが著者の主張だ。

国際競争で後塵を拝するようになった日本。この国が今後生き残っていく手段として、著者は「最先端テクノロジー・アート」に注目している。日本には独自性の高い文化や技術が多く存在する。そうした日本古来の思考法と最先端のテクノロジーを融合させ、組織の力を駆使することで、他にはない価値を発信していけるだろうと著者は主張する。

その先駆的な動きとして本書に登場するのが、「最先端テクノロジー・アート」を生み出し、社会から注目を集めている4つの日本企業だ。これら4社の企業理念や思考法が、美術史や経営学的な視点を交えながら余すところなく紹介されている。また、本書は全ページフルカラーで、ネットでも閲覧できる作品にはQRコードがつけられている。スマートフォンがあればその場で作品の動画を楽しめるという充実ぶりだ。最先端アートの過去・現在・未来を見通すための有用なガイドブックとして、本書をお薦めしたい。

池田 明季哉

著者

宮津 大輔(みやつ だいすけ)
1963年東京都出身。アート・コレクター、横浜美術大学教授、京都造形芸術大学客員教授。広告代理店、上場企業の広報、人事管理職を経て現職。1994年以来、企業に勤めながら収集したコレクションや、アーティストと共同で建設した自宅が国内外で広く紹介される。文化庁「現代美術の海外発信に関する検討会」委員、「Asian Art Award 2017」審査員等を歴任。著書に『現代アート経済学』(光文社新書)、『現代アートを買おう!』(集英社新書/中国・金城出版/台湾・Uni Books/韓国・ArtBooks)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    大きな社会変革の中で日本は苦境に立たされている。独自の優位性をすでに持っている日本が国際競争を生き残っていく切り札となるのは、「最先端テクノロジー・アート」である。
  • 要点
    2
    その中心的な役割を担う日本の新世代の企業4社における強みの源泉や、企業の運営方法などを本書で明らかにしていく。
  • 要点
    3
    新世代の日本企業はすでに日本の縦割り組織などの悪習から脱し、クリエイティブ・ビジネスの分野で成功している。その理念の根幹にあるのは日本古来の「多様性」を重んじる考えである。

要約

アート×テクノロジーの時代

アートという視点から未来を考える

21世紀に入ってから、社会環境はすさまじいスピードで変化を続けている。特にコンピューターなどの技術革新とグローバル化、気候変動、ナショナリズムの高揚による政治と社会の変革は、人々の生活に大きな影響を与えている。

技術革新の中でも、AIの進歩は目覚ましい。現在人の手で行われている多くの仕事が、今後AIに取って代わられると予測されている。人類が今後、コンピューターにはない、独自の優位性を保ち続けることは可能なのだろうか。

グローバル化には負の側面もある。外国資本の企業が国内に多く参入し、私たちは手軽かつ安価に、高品質のものを手に入れられるようになった。その反面、海外への生産拠点移動による国内産業の空洞化や、それにともなう雇用喪失、技術流出も問題になっている。国際競争に敗れ、アジア企業の傘下に入る日本企業も少なくない。

日本には様々な独自優位性がある。日本古来の考え方や高い技術力は世界中で高い評価を得ている。しかし、自らの価値に対する認識不足や縦割り組織体制による弊害、技術視点の偏重、PR下手などが、国際社会における日本の政治的、経済的、文化的苦境を招いているといってよい。

こうした中で、日本の国際的競争力を高める切り札として期待されるのが、伝統的な価値観と最先端技術を融合した、「最先端テクノロジー・アート」である。その中心的な役割を担っているのは日本の新世代の企業だ。彼らの強さの源泉を、その作品や創作プロセス、企業運営手法などから明らかにしていきたい。

【必読ポイント!】 日本のアートは何を変えていくのか

チームラボ
monsitj/iStock/Thinkstock

チームラボは2000年末、猪子寿之氏が同級生や幼馴染と設立した企業である。自らを「ウルトラテクノロジスト集団」と名乗り、最新のデジタル技術と高いクリエイティビティの融合を特長とする。主な作品は、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』のオープニング・タイトルバックや、スマートフォンを使用して来場者がリアルタイムでデコレーションできる大型のクリスマスツリー、「チームラボクリスタルツリー』などだ。デジタルという方法論で、日本古来の空間認識の構造を明らかにするといった試みも行っている。

チームラボには部長などの役職やルールがない。運営はメンバーそれぞれの自主性に任されている。この経営方針は一見型破りに見えるかもしれない。しかし、複雑化する情報社会において、クリエイティビティを効果的かつ効率的に発揮するという点で理にかなっている。ルールがあると、人はそれに従うことで思考を停止させてしまう。常に自分で考え、判断することを強いられる状況のほうが、クリエイティビティが発揮されるのだ。

また、彼らのオフィスでは在宅勤務を一切認めていない。それは、現在のテクノロジーではやりとりできる情報が、フェイス・トゥ・フェイスに比べて圧倒的に少ないためだという。顔を合わせて話すことで、表情や声のトーンなど、知覚されない領域も含めて大量の情報交換が可能になる。その結果としてクリエイティブなアイデアが生み出せるのだ。

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