ファンダム・レボリューション
SNS時代の新たな熱狂

未 読
ファンダム・レボリューション
ジャンル
著者
アーロン・M・グレイザー ゾーイ・フラード=ブラナー 関美和(訳)
出版社
定価
1,836円
出版日
2017年12月06日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
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ファンダム・レボリューション
ファンダム・レボリューション
SNS時代の新たな熱狂
著者
アーロン・M・グレイザー ゾーイ・フラード=ブラナー 関美和(訳)
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定価
1,836円
出版日
2017年12月06日
評点
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4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
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レビュー

本書は、アメリカの人気クラウドソーシング・ホビー会社の経営者コンビが著した、ファン行動の考察の書である。今日、特定の商品やコンテンツ、人物に熱狂する集団行動=「ファンダム」の動向を理解することは、企業のマーケティングに欠かせない。SNS全盛期の今、フェイスブック、インスタグラムなどのソーシャルメディアがファン同士を結びつけ、それが爆発的流行を生み出すようになったからだ。一方で、企業が打ち手を一歩間違えば、ファンダムがインターネット上での炎上を引き起こし、企業活動の命取りともなりかねない。そのような危険を回避し、大きな売上と、ファンの満足感の両方を生み出すには、ファンダムの本質を熟知する必要がある。

巻末の解説で「WIRED」日本版編集長を務めていた若林恵氏が指摘しているとおり、近現代の経済理論は、「消費者は自身の効用を、企業は自身の利潤を最大化すべく、合理的な行動をするもの」という前提のもとに築かれている。ところが、ファン心理は非合理で、不可解なものとして映る。では、ファンの行動原理とは何か。ファン行動に共通するものはあるのか。

著者たちは、あらゆる業界・業種の具体例を豊富に提示しつつ、ファン心理の実像に迫っていく。読み物としても非常に面白く、読み進めるうちに、これまでの経済学やマーケティング理論が捉えきれなかったファンダムの真髄が明らかになる。コミュニティの運営、構築を志す人や、マーケティングを専門とするビジネスパーソンにとっては、必読の書と言えるだろう。

西 広海

著者

著者情報
ゾーイ・フラード=ブラナー
Zoe Fraade-Blanar
人気クラウドソーシング・ホビー会社「スクイッシャブル(Squishable)」の共同創設者にしてCCO(最高コンテンツ責任者)。ニューヨーク大学のインタラクティブ・テレコミュニケーション・プログラムおよびジャーナリズム学科で講師を務める。

アーロン・M・グレイザー
Aaron M. Glazer
スクイッシャブルの共同創設者にしてCEO。コンサルタントやジャーナリストの経験を持つ。

本書の要点

  • 要点
    1
    ファンダムとは、オブジェクトへの情熱を表現し合える場所を見つけた人たちによる、自発的かつ熱狂的な活動である。その拡大を支える要因は、「過去を懐かしむ気持ち」「デジタルなつながり」「匿名性」だ。
  • 要点
    2
    ファンは、文脈づくりに時間、資金、エネルギーを注ぎ込んでいる。
  • 要点
    3
    変化を嫌うファンの嗜好と、企業として必要な行動が相反する場合、ファンダムが炎上を引き起こす。ファンの要求の本質を見極めて対応すること、要求を満たせない場合でも人間らしく対応することが重要だ。

要約

【必読ポイント!】 ファンダムとは何か

成功するファンダムを導く公式
AntonioGuillem/iStock/Thinkstock

ファンダムとは、ファンの熱狂的な「行動」を表す言葉である。ファン行動は昔からあったが、この100年の、輸送技術の進歩やインターネットの発展などが、ファン行動を引き起こすような特定の人やモノ=「ファンオブジェクト」へのアクセスを容易にした。時間とエネルギーを持て余したファンたちは、オブジェクトへの愛の表現にエネルギーを向け始めた。

このようなファン活動の恩恵に預かっているのが現代のマーケティングである。ファンは、あたかも宗教行為のごとく、無形の概念を有形のファンオブジェクトに託したり、重要な場所を「巡礼」したりする。さらには、ファンオブジェクトを通して知人にファンとしての重要な概念を「布教」したり、それについて仲間と語り合ったりする。

ファンダムは「クリティカル・マス+思い入れ+プラットフォーム」という公式で表せる。成功しているファンダムには、ファンオブジェクトに思い入れを持つ人が相当数、存在し、その感情を表現するためのプラットフォームがある。つまり、ファンダムとは、オブジェクトへの情熱を表現し合える場所を見つけた集団による、自発的かつ熱狂的な活動なのだ。

ファンダムの目的は「文脈づくり」

ファンダムの目的は文脈づくりである。文脈とは、ファンオブジェクトをめぐるファンの「思い入れ」のことだ。

ファンオブジェクトは基本的に商売のために作られるが、文脈がなければ、ファンオブジェクトにはなりえない。なぜなら、ファンがファンオブジェクトを購入するかどうかは、それにまつわる文脈の良し悪しに左右されるからである。

現代の購買情報源は、レビューサイト、ソーシャルメディアのコメントなどだ。消費者はこれらの閉じたメディアでつくられたブランドの文脈を見て、どの商品を買うか決めている。このようにしてファンは、文脈づくりに時間、資金、エネルギーを注ぎ込んでいるのである。

ファン行動の拡大を促すもの
Sitthiphong/iStock/Thinkstock

ファン行動の拡大を促す要素として、「過去を懐かしむ気持ち」「デジタルなつながり」「匿名性」の3つが挙げられる。

第1は、「過去を懐かしむ気持ち」である。現代は、100年前と比べてモラトリアム期間が長い。家族を持つのが遅くなり、娯楽に使えるお金も増えた。一方で、大学卒業後も自宅に留まる人は増えている。子供時代の生活環境に戻り、過去を懐かしむ気持ちが芽生えやすい。そのため、思い入れのあるものに時間やエネルギーを注ぐようになる。

第2に、「デジタルなつながり」によって、ファンたちはコミュニティの団結と協力の方法を変えた。つながりたいという欲求があれば、誰でも容易にコミュニティに参加できる。その結果、現代のファンは過去と比較して、より熱狂的になった。また、以前は、コミュニティの維持に大規模なファン集会や地区ごとの支部など、ピラミッド型の組織と強い指導力が必要だった。しかし、インターネットのおかげで、強力なトップダウンの命令系統がなくても分散したコミュニティをまとめられるようになり、人員コストも最低限で済むようになった。

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アーロン・M・グレイザー ゾーイ・フラード=ブラナー 関美和(訳)
出版社
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定価
1,836円
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2017年12月06日
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