ジョブズの料理人
寿司職人、スティーブ・ジョブズとシリコンバレーとの26年

未 読
ジョブズの料理人
ジャンル
著者
日経BP社出版局(編) 外村仁(序文)
出版社
日経BP社
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2013年12月09日
評点
総合
3.3
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.0
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ジョブズの料理人
ジョブズの料理人
寿司職人、スティーブ・ジョブズとシリコンバレーとの26年
著者
日経BP社出版局(編) 外村仁(序文)
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出版社
日経BP社
定価
1,400円 (税抜)
出版日
2013年12月09日
評点
総合
3.3
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
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レビュー

言わずと知れたアップルの創業者、スティーブ・ジョブズ。ジョブズにまつわる書籍は、彼の伝説的なプレゼンや妥協なきモノづくりへのこだわり、ユニークな性格や言動など、あらゆるテーマで執筆され、その数は彼が亡くなってからも衰えることを知らない。

本書はそんな「ジョブズ本」のなかでも異色の一冊だ。主人公はジョブズではなく、彼が惚れ込んだ一人の寿司職人、佐久間俊雄氏である。

15歳から寿司の修行を始めた佐久間氏は、1979年に渡米し、本物の日本食がまだまだ根づいていないなかで、本格的な寿司や会席料理を専門とする店を開き、徐々に和食文化を広めていく。ジョブズも最初はサーモンやハマチをつまむ程度だったのが、だんだんとネギトロや穴子、貝類へとレパートリーを広げていったそうだ。

その後、ジョブズは佐久間氏の店に定期的に顔を出すようになり、アップルの取締役と幹部社員が一同に会する食事会の場としても愛用していた。佐久間氏の最後の店「桂月」を閉める際には、「アップルで働いてみないか」とオファーするほど熱心なファンだったという。

本書はジョブズが佐久間氏にしか見せなかった素顔をうかがい知ることができる貴重な一冊であると同時に、佐久間氏自身が米国で本格的な寿司・会食料理を広めていく起業ドラマとしても楽しむことが出来る書籍だ。生魚を仕入れる難しさや、現地の人の好みに合わせて料理を変えるべきかという苦悩、それらを乗り越えた開拓者としての佐久間氏に心から敬意を表したい。

苅田 明史

著者

取材協力
佐久間 俊雄
福島県出身。15歳から寿司の修行を始める。1979年に渡米後、1985 年カリフォルニア州パロアルトに最初の店「スシヤ(鮨家)」を開店。1994年に「トシズ・スシヤ」、2004年には会席料理の専門店「桂月」を開店する。シリコンバレーの起業家、投資家をはじめ地元の人に親しまれる。2011年10月に桂月を売却。現在シリコンバレー在住。

佐久間 恵子
沖縄県出身。ハワイ大学経営学科卒業(Bachelor of Business Administration)。米国公認会計士取得。4大会計事務所勤務を経て、夫俊雄と共に16年間、和食店の経営に携わる。現在はシリコンバレーで会計事務所に勤務。

序文
外村 仁
戦略コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーを経て、アップル社でマーケティングを担当。ジョン・スカリーからスティーブ・ジョブズまで5年間で4人のCEO に仕える。スイスIMDでMBAを取得後に米シリコンバレーで起業、ストリーミング技術の会社を立ち上げ、売却。現在はエバーノート日本法人会長のほか、ファーストコンパスグループ共同代表、スタートアップ数社のアドバイザーやOpen Network Labの起業家アドバイザーなども務める。『スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン』『アップル 驚異のエクスペリエンス』(以上、日経BP社)の解説も執筆した。

本書の要点

  • 要点
    1
    佐久間氏が非冷凍の穴子を取り寄せて握ったのをきっかけにジョブズは穴子を好むようになった。ジョブズは理不尽ともいえる厳しさを見せるが、しっかりした仕事をすればその成果は認めてくれる。
  • 要点
    2
    貸し切りランチをきっかけに、佐久間氏はジョブズのカリスマや変わり者としての一面だけでなく、夫や父親という普通の一面を見出した。
  • 要点
    3
    佐久間氏が成功できたのは、現状に満足せずに、新たな一歩を踏み出したこと、そしてその際に、とにかく小さく始めることで、試行錯誤を繰り返しながら、目指すビジョンに向かって突き進んでいったからだ。

要約

シリコンバレーで旨い寿司を食わせよう!

シリコンバレーで寿司屋を開く
Andrey Armyagov/iStock/Thinkstock

『ジョブズの料理人』と銘打たれた本書は、スティーブ・ジョブズに愛された寿司職人、佐久間俊雄氏の半生を描いた一冊だ。佐久間氏は2011年10月に自身が運営する「桂月」という会席料理店を閉店し、26年に及ぶ米国での和食店経営に終止符を打った。まずは彼がシリコンバレーで寿司の専門店を開くに至った経緯から振り返ってみたい。

福島県で生まれた佐久間氏は15歳から東京で寿司の修行をはじめた。新入りがいきなり寿司を握らせてもらえるわけもなく、まずは掃除、出前、洗い物を半年ほど続け、その後イカやコハダの下仕込みを担当することになる。それらが一人前にできるようになってから、ようやく大型魚をさばくことが許されるのだ。

寿司屋の世界は人と人とのつながりが強く、加えて当時はどこのお店も人不足のため、次の働き口を探すのはとても簡単だったという。佐久間氏が自身を動きたがりの「虫」と形容しているとおり、彼は東久留米市にあった一軒目の寿司屋から浅草や渋谷の寿司屋へと転々と身を移した。

ハワイで寿司屋を始めたのは1979年のことだ。このときも「ハワイで働かないか?」という提案に対して動きたがりの「虫」が背中を押し、ワイキキのハイアット・リージェンシーの中にある「ふるさと」という店で寿司を握った。

和食の世界展開が本格的に始まろうとしていた1980年ごろ、ハワイを足がかりに米国本土へ移り住む板前が増えていた。佐久間氏も日本人の多い地域で働かないかという誘いを受けていたといい、いくつかの候補地のなかからサンフランシスコを選んで、新生活を始めたのは1982年のことだった。

当時、海外では寿司、てんぷら、照り焼きなどを出す「総合型」の和食店が一般的だった。米国本土で最初に働いた「カンサイ」というお店は、まさにこの「総合型」の和食店で、佐久間氏はここで2年間働いたのち、ついに自分の店を開く準備に移る。

いくつかの物件を見て回るなかで選んだのは、スタンフォード大学のお膝元にあるパロアルトだった。ここで佐久間氏は「スシヤ」という、当時は珍しかった寿司専門店を開いた。資金調達で苦しみ、経営ノウハウもなかったというが、スタンフォード大学に近接し、有力IT企業のオフィスや高級住宅街に近い立地が功を奏し、期待を上回る成果を収めることに成功する。

スティーブ・ジョブズとの出会い
Jag_cz/iStock/Thinkstock

スシヤの経営が軌道に乗って2、3年後のこと、カウンターで忙しく寿司を握っていると、常連客のひとりが「奥にいるのはスティーブ・ジョブズだよ」とささやいた。

当時、ジョブズは自分で興したアップルを追われ、不遇をかこっていたが、佐久間氏はそんな事情はまったく知らなかったそうだ。ジョブズとの遭遇が印象的だったのは、そのときのジョブズの格好がスーツに蝶ネクタイという、シリコンバレーには似つかわしくない姿だったからだという。その上、わざわざ寿司専門店を訪れたのに、肝心の寿司は巻物を少し食べた程度だった。

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起業・イノベーション
著者
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日経BP社
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1,400円 (税抜)
出版日
2013年12月09日
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