心の中に抱く「思い」は、人の運命を作る。多くの人々は「考える」ことが大切だと信じ、「思う」ことは蔑ろにしている。「思いつき」と言うように、思うだけなら誰でもできると考えられがちだ。しかし、「思う」ことの大切さは「考える」ことの比ではない。私たちが生きていく中で「思い」に勝る力は存在しない、そう感じるほどである。
では、具体的に「思い」というものが人生にどれほど大きな影響を与えるのか。「思い」はふたつの側面から理解することができる。
一つは、私たちの人間性、人柄、人格は「思い」によって作られているということ。たとえば、利己的な「思い」を持ち続けている人は自分勝手な人間性の人になり、一方で優しくて思いやりのある「思い」を持ち続けるのなら、そのような人間性を備えた人になれる。
そしてもう一つ。「思い」は人間性に影響するだけでなく、人の運命まで形成する。今、目の前にある境遇や環境というのは、他でもない自分の「思い」が作ったものだということだ。たとえ、今置かれた環境がどれだけ不運で不幸だと感じようとも、それは他人のせいではないのはもとより、自然がそうさせたものでもない。他ならぬ、自分自身が心に持ち続けた「思い」が蓄積してできあがったものである。
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