ネットで「女性」に売る

数字を上げる文章とデザインの基本原則
未読
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数字を上げる文章とデザインの基本原則
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ネットで「女性」に売る
出版社
エムディエヌコーポレーション

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出版日
2017年09月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「セールスコピーライター」という職業を知っているだろうか。耳慣れない職業かもしれないが、ウェブサイトやチラシ、メールなど、商品やサービスを「売るための文章」全般を書く仕事のことである。本書はそのなかでも、女性に「売るための文章」を書き続けてきた、現役セールスコピーライターによる珠玉の一冊だ。

「女性に響く見せ方や書き方を追求していくと、女性と男性でははっきりと異なる常識がある」というのが著者の見方である。それはつまり、女性に売りたいならば、男性とは違うアプローチをしなければならないということだ。

著者によれば、女性はいまいる現実に対して、違和感をもっていることが多いのだという。だからこそ常に「本来の自分を取り戻してくれる魔法」を探し求めている。本書ではこの考えにもとづき、女性に売るためのアプローチが解説されていく。

著者が女性ということもあり、そのアプローチ方法はどれも説得力がある。しかしその根底にあるのは、「売る相手を知り、その人に合わせたセールスをする」という、セールスの鉄則に他ならない。本書は女性に対するアプローチ方法を具体的に示しているものではあるが、この基本的な理念は、誰にモノを売る場合でも適用できるはずだ。

女性にモノを売るための文章を書きたい人はもちろん、デザインや営業など、「モノを売る」ことに関わっているあらゆる人にとって、得るものがあるだろう。

ライター画像
池田明季哉

著者

谷本 理恵子(たにもと りえこ)
1977年、大阪生まれ。関西大学法学部卒業。ダイレクト出版認定セールスライター。インターネット通販の運営責任者として4社6年にわたり、多様なジャンルの実務を経験。Webマーケティングの最前線で、できるだけコストをかけずに、少人数で利益を残す仕組みづくりに注力する。独立後は「無理なくリピート購入されるメール」や「同梱資料」の制作などを、主として化粧品・健康食品のメーカー通販から請け負い、圧倒的な実績を叩き出す。後進ライター育成のための講座や一般向けのセミナー開催なども多数。株式会社グローアップマーケティング代表取締役。泉佐野商工会議所会員。ミラサポ(中小企業庁による小規模事業者支援事業)登録専門家。

本書の要点

  • 要点
    1
    女性にとって現実は「仮の姿」であり、「お城にいる自分」こそが「本来の自分の姿」である。そのため「ないものを手に入れる」のではなく、「もともともっているものが目覚める」というニュアンスが重要となる。
  • 要点
    2
    女性は「解決手段」ではなく、「本来の自分を取り戻してくれる魔法」を探している。数字やスペックよりも、「ときめき」や「理想の場面」を見せることが、売り上げ向上につながる。
  • 要点
    3
    女性は男性よりも「パッと見の印象」に敏感だ。色やフォントなどといった小さな要素にこだわることが、印象を大きく左右する。

要約

【必読ポイント!】 男性と女性の買い物は違う

「ピンとくるか」で買う女性

男性と女性では、買い物の仕方が異なる。男性は目当ての売り場に直行し、さっと商品を選んですぐに帰るタイプが多い。一方、女性は「ついでに」色々な売り場を見てウインドウ・ショッピングをしつつ、気に入ったものがあれば衝動買いすることも珍しくない。

また、男性は「数字」や「機能性」などのスペックを重視する傾向があるのに対し、女性は「ピンとくるか」「背景にあるストーリーに共感できるか」などのイメージに左右されやすい。

ビジネスとして「女性にモノを売る」うえでは、購買行動にこうした大きな男女差があることをよく意識しておかなければならない。

女性の欲求は「本当の自分を取り戻す」こと
Grape_vein/iStock/Thinkstock

女の子があこがれる物語の代表格、それが『シンデレラ』だ。シンデレラは「私は本来お城にいるべき人間なのに」と思いながら毎日を過ごしている。

多くの女性もシンデレラと同じように、「いまいる現実の場所」よりも「何不自由なく暮らしている世界」を本来の自分がいる場所だと思っている。女性にとってお城での生活は「めざすべきゴール」ではなく、「本来あるべき姿」なのだ。

したがって女性には、「ないものを手に入れる手段」ではなく、「本当の自分を取りもどす魔法」として、商品やサービスを提示するといい。「もともともっているものが目覚める」というニュアンスを含ませるだけでも、売れ行きは大きく変わる。

女性が欲しいのは「解決手段」ではなく「魔法」

女性にとって、自分がいまいる現実は「機械が故障している状態」に似ている。女性は「どこかを少し修理し、足りない何かを手に入れさえすれば、本来の完璧な状態に戻れるのではないか」という「欠乏感」をもっている。加えていまの自分は「仮の姿」だと思っているため、「一瞬ですべてを解決してくれる魔法がある」と、無意識のうちに信じている。だからこそ「本来の自分を取り戻してくれる魔法」に出会うと、衝動買いに走ってしまうのだ。

しかし機能やスペックの説明では、「運命の出会い」は演出できない。女性に必要なのは、商品やサービスを手に入れた先にある「理想の場面」、そこで得られる「理想的な感情」である。その商品が「簡単に手間なく『本来の自分』を取り戻してくれる魔法」と感じさせなければならない。

女性に現実を見せてはいけない

女性は「理想の自分」を本当の姿だと捉えている。多くの女性は「現実の太っている姿」をそのまま冷静に受けとめてはいない。少しでも痩せて見える角度から自分を見て、ごまかしていることがほとんどだ。「本当の現実」は見たくないのが女性なのである。

したがって商品やサービスを売る際にも、過酷な現実を見せてはならない。ダイエット商品を売るときは、太った女性の写真を使って現実を突きつけるのではなく、スリムな女性が鏡を見ているような写真で、問題をイメージさせる程度にするのが望ましい。

女性に売るデザインの作り方

無意識に訴える
Creatas Images/Creatas/Thinkstock

一般に女性は男性よりも、色などの「パッと見たときの印象」に敏感だ。「なんとなくイヤ」と感じてしまうと、その商品はもう買われなくなってしまう。

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要約公開日 2018.03.06
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